鬼に成る者

なぁ恋

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蜜月鬼

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*ライside*

目覚めたら天井があった。懐かしい染み。

ここは、
ばぁちゃん家!

勢い良く起き上がり、痛みに顔をしかめる。

身体が軋んで怠い。


「ライ、目覚めたのか?」

襖の戸口から現われたまほろば。

黒いGパンにタンクトップを身に付けていた。
丈の短いGパンは、ボクのだ。

「おはよう」
言葉と共に落ちて来た唇。
軽く触れて離れる。
物足りない気がして眼を瞑る。

「誘うな……また一昼夜止まらなくなる」

その言葉に本気でびくついて目を開けると、
肩を震わせ笑うまほろばが居た。

「ジョ……ジョーダンを言うなよ!」

「至って本気だ」

笑みを浮かべたまほろば。
吹き出していた。

「傷は癒したが、内側の筋肉痛はしつこくてな」


赤らむ頬。

頭に躰に染み付いた情事。




「喉が渇いた……」

本当に、渇いて喉かくっついていた。

頷いたまほろばが、コップに水を汲んで来た。


「ありがとう」

受け取り飲む。

水。水道水。
まだ十分に住める家。

どうにも手放せなくて使用料等止めずに引き落とされる様にしていた。
だから水も電気もガスも使える。


「何故ここに?」
「身体を休める為に」

疲れている。
それは分かる。

ここはボクの部屋で、長く使ってた布団。
ここで再会したまほろばと一緒に寝転んだ。

そして、夢に視て、前世を思い出した。

人生の変わった大事な所でもある。
 
 
  
沢山の思い出が浮かんで来た。
ゆっくりと立ち上がると軋む身体をまほろばが支えてくれて、隣りの部屋へ行く。
ばぁちゃんの仏壇へ。
出掛ける時に立て掛けた絵本がそのままあった。

手に取り、表紙を撫でる。

「ボクは覚えてた。ココロの奥底で、まほろばの事覚えてたんだ」

「そうだろうな。ライの気配を感じた時、それは俺に訴えかける様に頭に飛び込んで来た」

背中を撫でられる温かい手の平。
後ろを見遣ると、まほろばの柔らかい笑顔があり、安心して寄り掛かる。

「角を手に入れた」
額の角に触れてその感触を確認する。

「俺はライを手に入れた」
まほろばがボクの首元に頭を預ける。

「今からはずっと一緒に」
つぶやくと。

「これからは未来を共に」

首元に口付けられる。
優しさが、愛情が流れて来る。
絡んで来た指を強く握り返し、

「もう離れない」誓う。
「離さない」

強く強く抱き締められて、吐息が出る。
後ろから伸びたその手に手を重ねると、強い想いが全身を包む。





ただ、強い愛を
互いを想う気持ちが全身を包んで。


幸せだけが
ココロを一杯にした。
 
 


 
絵師様:紅葉さん
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