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蜜月鬼
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しおりを挟む*ライside*
洞窟の前に立ってまほろばを呼ぶ。
返事はなくとも彼がここに居るのが分かる。
この山がすべての始まり。
ここで死に、
ここで出逢った。
ここが終わりで始まりの場所。
洞窟に足を踏み入れ進む。奥に違和感。
肌をピリピリ と刺す様な……これは“封印”
問題の場所は、岩が左右に散らばり、その中心に空いた穴。
違和感を押して穴の近くに。覗くと、まほろばが居た。
眼を瞑り、両手を広げ長い足を投げ出し座って居た。
「まほろば!!」
呼んでも動かない。
穴に手を出すと、そこには見えない壁が在って入れない。
陽介の鬼封じ?
そうまでしてまほろばは耐えて居る。
ボクは、
「まほろば!」
呼んでも呼んでも、彼はビクとも動かない。
失うかもしれない絶望感。
心底から沸き上がるこの感情、
まほろばはこんな思いを抱えながらも、ボクを、俺を、喰べたんだ。
ボクの為に。
ねぇ?
まほろば。
どうなったって良い。
お前に触れて、
お前を感じたい。
“壁”に触れた両掌が熱くなる。
見えない封印がうねるアメーバに成り、身体を電気が走り抜ける。
痛い。
陽介の鬼封じよりも更に頑丈に封じられたまほろばの封印。
「まほろば!」
負ける訳にはいかない。
まほろば。
まほろば。
まほろば!!
両掌が燃える様に熱くなりアメーバが溶け、そのまま穴に落ちた。
ドスン と、まほろばの上に落ちた。
「まほろば!!」
叫ぶが反応がない!
瞼は閉じて、呼吸も浅い
「まほろば!」
必死に叫び、身体を揺する。
嫌だ!
嫌だ!!
零れる涙が、まほろばの頬に落ちた。
瞼が動き、眼が開く。
「ラ……イ」
名を呼ばれ、押し倒されて居た。
「ライ」
光る金の瞳。
暗い穴の中でも燃える赤い髪。
牙が覗く口が大きく開く。
ココロは落ち着いていて、
「まほろば」
声を掛ける。
眼の光りが揺れ、瞬きをしてボクを見るまほろば。
「ライ」
言って、上からどこうとする。
それを首に腕を回し押し留め、唇を押し付ける。
覗いた牙が唇を切った。構わず角度を変える。
「ライ」
まほろばが顔を上げ、視線が絡む。
狭い空間で、躰を曲げる様に重なった二人。
「まほろば……ボクは大丈夫だから」
探る様にまほろばの視線がボクを撫でる。
眼が妖しく光り、切れた唇を舌が舐める。
そのまま塞がれ、舌を牙が掠める。その傷から溢れる血を彼の舌が絡めとり吸い上げる。
頭の芯まで痺れる感覚。
鉄の味が口内に広がる。
それでも、冷静で居られる自分に安心して、まほろばの首に触れた。その手を取られ、左右に開かれる。
唇から離れたまほろばの舌が血の筋を残しながら顎をなぞり、首に……そして、牙が食い込み
躰が熱く、跳ねた。
*まほろばside*
意識ははっきりして居て、ライを組み伏せて居るのが解る。
舌から血を吸い取り止血し、両手を握り、首に噛み付く。
跳ねるライの躰。
そのまま両腕で左右を押さえ付け、牙を放す。
苦しげな声が聞こえるが、止める気はなく、
両腕は押さえたまま、服を食み破く。
覗く白い肌に喉が鳴る。首に掛けたライの角……それを舐め、千切り取り呑み込む。
ライを喰う。
「まほろば……」
苦しげに荒い息を吐くライ。
肩を舐め、牙を立てる。
「あ……」
ライの声を聞くだけで疼く躰。
血を流させたまま、腕を噛み、続く脇の下から胸の横を食む。
幾つもの血筋が流れる。
俺が、ライを喰った道筋。
脇腹を噛み、腹を舐める。
のけ反る躰。腰を支え、下の衣服を剥ぎ取る。
あるがままの姿に
震えるライ。
上半身は血だらけで、でも、足りない。
舌を腹から下へ
「まほろばっ!ーーー」
興奮状態にある彼自身を口に含み、それさえ牙を立てる。高い悲鳴を上げるライを感じながら、腰を押さえそのまま吸い上げた。
血を、
彼の精を……
すべてを俺の中に。
恍惚として、
残酷な行為を続けた。
胃に落ちたライが溶け俺自身に混じり消えるのを感じながら
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