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泣いた赤鬼
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……………………
「ここ、は?」
霞む目の前に、赤い髪の色だけが見える。
まほろばだ。
「ライ……」
顔に落ちる温かい涙。
「ゴホッ」
口から生暖かい血が溢れ出す。
「喋るな……
奴等は石を、お前に投げ付けたんだ」
石。
ただの石が……
胸からも流れ出る血。
心の臓は破れ、動きを止めようとしていた。
「……死ぬ、んだな……」
「死なないでくれ―――」
まほろば……
「奴等は?」
「白い頭かしらを倒して……逃げた」
『殺したのか?』
もう声を出せずに、
ココロで語る。
「そうだ。殺した」
優しい まほろば。
俺の為に“禁忌”を犯した。
黙っていても、それは即座に知れ渡る。
『すまない……』
「嫌だ……死なないでくれ……」
抱き締められる。
もう、目が見えない。
『奴等を……野放しには出来ない……』
「あぁ……ああ、解る」
『なら、俺を……喰え』
「何を言ってる?!」
『奴を見ていて、解った。あれは、本当の事だろう……“力”が付き“生き永らえる”』
「……嫌だ」
『……俺は、きっと戻って来る……お前の下へ……“地獄”では“来世”が無くても、この“楽園”では、叶いそうな気がする。
力ない……人間として』
何時とも知れない“約束”を、まほろば に遺した。
彼の腕の中、吠える様な慟哭を耳にしながら、何も出来ないまま“生”を投げ出した。
…………………………………………
自分勝手な遺言で
彼に苦痛と
募る想いを
遺してしまった。
惨く、
哀しい年月……
……………………………………………
泣きながら目覚めた。
声をかぎりに叫んで居たのだろう、喉も熱く痛い。
でも、体は温かくて。
自分の背中から抱き締める、大きな腕を感じ、安心する。
「まほろば」
名を呼んで、緩くなった腕から後ろを見遣る。
金の瞳が、優しくほほ笑む。
「まほろば……」
また、流れる涙。
起き上がった彼は、本当に優しく、指で拭き取ってくれた。
静かに座る まほろば。
「お前は、どれだけの年月を一人で生きて来たんだ?」
“夢”は、前世の記憶。自分が“青鬼”だったんだと、ココロは理解していた。
ならば、あれからお前はどうしたのか?
頭を軽くまほろばの胸に置く。
また、そっと抱き締められた。
懐かしいニオイ。
「ごめんな……」
きっとお前は、ボクの言葉を実行した。
優しく強い まほろば。
死に逝くボクは、
お前と離れたくなくて、惨い遺言を遺した。
『ライ、お前と再び巡り逢えた。それだけでいい』
頭に響く声。
「まほろば!!」
強く抱き締めると、返す様に彼の腕に力が入った。
『ライ。待って居た……』
まほろばが、泣いて居た。
肩を震わせ、静かに―――
「ここ、は?」
霞む目の前に、赤い髪の色だけが見える。
まほろばだ。
「ライ……」
顔に落ちる温かい涙。
「ゴホッ」
口から生暖かい血が溢れ出す。
「喋るな……
奴等は石を、お前に投げ付けたんだ」
石。
ただの石が……
胸からも流れ出る血。
心の臓は破れ、動きを止めようとしていた。
「……死ぬ、んだな……」
「死なないでくれ―――」
まほろば……
「奴等は?」
「白い頭かしらを倒して……逃げた」
『殺したのか?』
もう声を出せずに、
ココロで語る。
「そうだ。殺した」
優しい まほろば。
俺の為に“禁忌”を犯した。
黙っていても、それは即座に知れ渡る。
『すまない……』
「嫌だ……死なないでくれ……」
抱き締められる。
もう、目が見えない。
『奴等を……野放しには出来ない……』
「あぁ……ああ、解る」
『なら、俺を……喰え』
「何を言ってる?!」
『奴を見ていて、解った。あれは、本当の事だろう……“力”が付き“生き永らえる”』
「……嫌だ」
『……俺は、きっと戻って来る……お前の下へ……“地獄”では“来世”が無くても、この“楽園”では、叶いそうな気がする。
力ない……人間として』
何時とも知れない“約束”を、まほろば に遺した。
彼の腕の中、吠える様な慟哭を耳にしながら、何も出来ないまま“生”を投げ出した。
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自分勝手な遺言で
彼に苦痛と
募る想いを
遺してしまった。
惨く、
哀しい年月……
……………………………………………
泣きながら目覚めた。
声をかぎりに叫んで居たのだろう、喉も熱く痛い。
でも、体は温かくて。
自分の背中から抱き締める、大きな腕を感じ、安心する。
「まほろば」
名を呼んで、緩くなった腕から後ろを見遣る。
金の瞳が、優しくほほ笑む。
「まほろば……」
また、流れる涙。
起き上がった彼は、本当に優しく、指で拭き取ってくれた。
静かに座る まほろば。
「お前は、どれだけの年月を一人で生きて来たんだ?」
“夢”は、前世の記憶。自分が“青鬼”だったんだと、ココロは理解していた。
ならば、あれからお前はどうしたのか?
頭を軽くまほろばの胸に置く。
また、そっと抱き締められた。
懐かしいニオイ。
「ごめんな……」
きっとお前は、ボクの言葉を実行した。
優しく強い まほろば。
死に逝くボクは、
お前と離れたくなくて、惨い遺言を遺した。
『ライ、お前と再び巡り逢えた。それだけでいい』
頭に響く声。
「まほろば!!」
強く抱き締めると、返す様に彼の腕に力が入った。
『ライ。待って居た……』
まほろばが、泣いて居た。
肩を震わせ、静かに―――
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