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<やまねこのふえ>のお話
8 北の森
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カラスの自警団の中には、
もちろん、北の森のカラスもいたので、
うさぎの楽器やさんは、北の森への案内をお願いしました。
と、いっても、
ベッタリ同行するわけではなく、
北の森のカラスが、一羽、先に行って、
北の森の動物たちに、うさぎの楽器やさんのことを伝えることになっています。
カラスたちに、くわえていってもらいたいところですが、
やわらかく、おいしそうなうさぎの身に、間違いがあっては困るので、
うさぎの楽器やさんは、いま、ひとりで、
ひたすら北の森に向かって走っているところです。
われわれカラスは、あんたに協力する。
と、言ってくれたのは、とてもありがたいのですが、
その言葉には、続きがありました。
「ふえとふえ吹きを
許すわけにはいかない。」
カラスたちは、やまねこを生かしてはおけないと考えているのです。
「当然の怒りだけど…、困ったなぁ。」
うさぎの楽器やさんは、くれぐれも、
見つけ次第すぐに襲うようなことは、しないでほしいと、カラスたちに頼みました。
「なんとかするから、ねっ。」
うさぎの楽器やさんの、ノープランの、ざっくりした自信に、
カラスたちは納得したわけではありませんでしたが、
協力すると言った手前、約束はしてくれました。
「これで、ニノくんが見つかったら、
連絡がくるはずだ。」
うさぎの楽器やさんは、山道にさしかかりました。
山の陰に入ると、涼しく、
風が少し冷たいくらいです。
北の森は、この山の向こうがわにあります。
冬桜がよく育つ、寒い地方ですが、
芳醇な森です。
きれいな川が、すぐ横を流れていて、
この気候と土地だからこそ、おいしい、
みごとなフルーツや穀物が育っています。
「そういえば、
北の森のフルーツは、オリーブの木の1階にあるレストランでも、使っていたよなぁ。」
うさぎの楽器やさんは、ふと、銀色の森を思い出していました。
この山の、高いところに登っていったら、
銀色の森が見えるだろうか。
めずらしい銀色トウヒの森をあわせ持つ、銀色の森は、
銀色トウヒの葉が日に照らされて、
森全体が銀色に光って見えるときがあるのだという。
見てみたいもんだ。
さて、周りには、冬桜の木が、ちらほら、
見えるようになってきました。
まだ、花が咲く時期ではありませんが、
秋になり、葉が落ち、
するするとした、まっすぐな枝が、めだちます。
「ほんとうに、冬桜は、
ふえに向いている。」
ふえに仕立てたら、ステキだろうに。と思う枝が、いくつも見つかります。
やっと、北の森の入り口までたどり着くと、
近くにいたきつねの子どもが、
うさぎの楽器やさんの姿にすぐに気がつき、
「来たよー‼︎」
と言って、森の中に走っていきました。
「白いうさぎのおじさんが、一生懸命走ってくるから、見てな。
おもしろいぞ。」
きつねの子どもは、北の森のカラスにそう言われて、森の入り口で、遊びながら待っていたようです。
うさぎの楽器やさんは、きつねの子どもの後ろ姿を追いかけました。
ぐんぐん離されましたけどね!
とうとう、きつねの子どもの後ろ姿を見失ったところに、
北の森のカラスが、来てくれました。
「こっちだ。」
カラスの低空飛行について、
森の中を走っていくと、
広場のような場所に、先ほどのきつねの子どもと、
きつねの長老がいました。
もちろん、北の森のカラスもいたので、
うさぎの楽器やさんは、北の森への案内をお願いしました。
と、いっても、
ベッタリ同行するわけではなく、
北の森のカラスが、一羽、先に行って、
北の森の動物たちに、うさぎの楽器やさんのことを伝えることになっています。
カラスたちに、くわえていってもらいたいところですが、
やわらかく、おいしそうなうさぎの身に、間違いがあっては困るので、
うさぎの楽器やさんは、いま、ひとりで、
ひたすら北の森に向かって走っているところです。
われわれカラスは、あんたに協力する。
と、言ってくれたのは、とてもありがたいのですが、
その言葉には、続きがありました。
「ふえとふえ吹きを
許すわけにはいかない。」
カラスたちは、やまねこを生かしてはおけないと考えているのです。
「当然の怒りだけど…、困ったなぁ。」
うさぎの楽器やさんは、くれぐれも、
見つけ次第すぐに襲うようなことは、しないでほしいと、カラスたちに頼みました。
「なんとかするから、ねっ。」
うさぎの楽器やさんの、ノープランの、ざっくりした自信に、
カラスたちは納得したわけではありませんでしたが、
協力すると言った手前、約束はしてくれました。
「これで、ニノくんが見つかったら、
連絡がくるはずだ。」
うさぎの楽器やさんは、山道にさしかかりました。
山の陰に入ると、涼しく、
風が少し冷たいくらいです。
北の森は、この山の向こうがわにあります。
冬桜がよく育つ、寒い地方ですが、
芳醇な森です。
きれいな川が、すぐ横を流れていて、
この気候と土地だからこそ、おいしい、
みごとなフルーツや穀物が育っています。
「そういえば、
北の森のフルーツは、オリーブの木の1階にあるレストランでも、使っていたよなぁ。」
うさぎの楽器やさんは、ふと、銀色の森を思い出していました。
この山の、高いところに登っていったら、
銀色の森が見えるだろうか。
めずらしい銀色トウヒの森をあわせ持つ、銀色の森は、
銀色トウヒの葉が日に照らされて、
森全体が銀色に光って見えるときがあるのだという。
見てみたいもんだ。
さて、周りには、冬桜の木が、ちらほら、
見えるようになってきました。
まだ、花が咲く時期ではありませんが、
秋になり、葉が落ち、
するするとした、まっすぐな枝が、めだちます。
「ほんとうに、冬桜は、
ふえに向いている。」
ふえに仕立てたら、ステキだろうに。と思う枝が、いくつも見つかります。
やっと、北の森の入り口までたどり着くと、
近くにいたきつねの子どもが、
うさぎの楽器やさんの姿にすぐに気がつき、
「来たよー‼︎」
と言って、森の中に走っていきました。
「白いうさぎのおじさんが、一生懸命走ってくるから、見てな。
おもしろいぞ。」
きつねの子どもは、北の森のカラスにそう言われて、森の入り口で、遊びながら待っていたようです。
うさぎの楽器やさんは、きつねの子どもの後ろ姿を追いかけました。
ぐんぐん離されましたけどね!
とうとう、きつねの子どもの後ろ姿を見失ったところに、
北の森のカラスが、来てくれました。
「こっちだ。」
カラスの低空飛行について、
森の中を走っていくと、
広場のような場所に、先ほどのきつねの子どもと、
きつねの長老がいました。
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