17 / 30
第一章 神託騎士への転生
第十七話 お土産を心待ちにする
しおりを挟む
「ドラド、さっきはありがとね!」
「いいってことよ!」
「おかげ平和な会談になったよ!」
「そうだな!」
今もなお、敵意を剥き出しにしている監視要員に聞こえる声量で話す。
村に来たときから赤い表示だったが、話し合いの後は徐々に赤い光点が増えていっている。あることないこと吹聴しているのだろう。
自分の目で見たことが全て正しいわけではなく、見ていなくても正しいことはある。
しかし、すぐ側にいるのだから確認くらいは訪れて、自分の五感や心を使って判断しろよ。人から聞いた話を鵜呑みにして善悪を決めているとか……阿呆か?
これじゃあ【聖王国】との取引も鵜呑みにしているパターンだな。
そもそもの話、何もできないと自他ともに認めている王女を一人拘束するよりも、エルフを捕まえて奴隷にした方が大きな利益をもたらすだろう。
王女の身柄は大義名分作りの建前で、エルフの奴隷を確保するついでくらいに思われていそうだな。俺なら確実にそうする。
たった一人のために大規模な部隊を派遣するとか、見逃せない行動を取っているか、リスクを超えるリターンを見込めているかしないとやらないだろうよ。
前者はありえないから、確実に後者だな。
エルフで村規模だから薄れているけど、やっていることは盗賊と同じだからね。
こんな人たち助けたくないわーー!
「憂鬱だけど……やることをやらないと」
「偵察をするんだろ? どうやるんだ? 乗り物に乗るのか?」
「乗りません」
「……じゃあどうやるんだ?」
「ドローンを飛ばす」
「なんだそれは」
「今回使うのは、空を飛ぶおもちゃにカメラや武器をくっつけたものかな」
「なぁ! なんと面白そうなおもちゃなんだ! 早く! 早く見せろ!」
今回はグライダータイプのドローンではなく、空撮や農薬散布に使われる一般的なドローンを使用する。
グライダータイプはコストがかかるし、所持台数が少ない。しかも修理部品含めて《PX》で購入できないから、墜とされるかもしれない状況では使いたくない。……自業自得かもしれないけど。
ヘッドセットに同期して視界の端に表示することも可能だが、ドラドも一緒に見たいだろうから手元のコントローラーで映像を確認しよう。
――え? 他の二人はいいのかって?
彼女たちは特別任務をこなしているため、テントの中にはいないのだ。
教会関係の言葉で表現するなら、『異端審問官』という言葉が適しているかもしれない。懺悔の機会を自ら拒否した者たちに関係する部署で、教会の特殊部隊である。
逃げることができたなら、そのときは許してあげよう。
「じゃあ飛ばすよ!」
「やらせてくれ!」
「……今日は暗いから無理かな」
「……明るいときならいいんだな?」
「もちろん! 約束だ!」
「……分かった! 我慢する!」
二脚の椅子を隣り合うように並べて座る。
手元のコントローラーでドローンを離陸させ、正門の方に向かって飛ばす。
静音設計で黒塗りのドローンは夜空に溶け込み、静かに偵察行動を開始した。
「すごっ! 飛んだぞ! 鳥じゃないのに! ――もしかして……あの大きいのもあるんじゃないのか!?」
ヘリのことかな?
「あるよ」
「何ということだっ! 楽しみなことがたくさんだっ!」
「すぐには使えないけどね」
「……なんで?」
キラキラしていた瞳から光が消えていく。声も低くなっているような気がする。
「ほら、焚き火台のときに言ったでしょ? 【液体魔力】のこと! アレが必要なんだよ! ドラドにもらった分だけじゃあ足りなくて作れないんだ!」
「……材料はどこで手に入るんだ?」
「迷宮か鉱山かな。魔核だけなら魔物から採れるんだけどね。魔石だっけ? それがないんだ」
「【聖王国】の次は魔物だな! 頑張るぞ!」
「頑張ろう!」
機嫌が良くなったドラドの瞳にキラキラが戻る。おかげで可愛さも戻ってきた。一瞬、猛獣の血が蘇ったのかと思うほどの迫力があったもんな。……うん、養母さんにそっくりだ。
「おっ! 見えてきた!」
「よく見えないぞ!」
「暗視モードだからね。位置と規模が分かればいいかなって思ったんだけど……まさか部隊を分けて行動しているとはね。連携も取れていないし」
「謎だな。でも正門の方が近いから、正門側に防衛陣地を造った方がいいよな。村には他に門はないし、閉じこもっている間に各個撃破していけばいいんだから」
ドラドの言うとおりなんだけど、なんとなく嫌な感じが拭えないんだよな。
何かを見落としている気がする。……何だ?
「うーん……まぁこのままじゃあ明日の昼くらいには着きそうだな。陣も張ってないようだし、休憩を取っているだけだったら時間がないか」
「それなら早く準備しないとな!」
「……そうだな。じゃあ片付けしていくか」
「あっ! 留守番がいないもんな!」
「その通り! 泥棒がいないとも限らないからな!」
俺とドラドは盛り上がった土の上に載っているテントやテーブル、調理器具などの細々している物を《コンテナ》に入れていった。
そのあと、ドラドが地面をならして元通りだ。
「ちょっと行ってくる!」
「お、おい! どこに!?」
ポテポテと走ってツリーハウスを目指すドラド。食事の後に「また明日」って言ってたじゃん。
「おーい! おれたちがやっつけてくるからな! 疑っているなら、戦闘が始まったら壁の上から見てみろ! ボッコボコにしていると思うぞ! じゃあ、また明日な!」
「……」
「よしっ! ディエス、行くぞーー!」
「……ドラドって勇者みたいだね」
「そ、そうかな?」
照れてる……。可愛い。
――あれ? 待てよ。そうなると……俺って勇者パーティーにいる聖騎士のポジションになるのでは?
嫌すぎるぅぅぅぅぅーーー!
怨敵と同じポジションとか……。
これから騎士らしくせず治療ばかりしていれば、もしかしたら神官ポジションに転職できるかも……。頑張ろう。
閑話休題。
「じゃあ簡単に説明するね」
「おう!」
「穴を掘ってその中に隠れられるようにする。穴の上を覆って頑丈にし、相手からの攻撃を受けても大丈夫な盾というか甲羅? を造る。その際、銃眼と呼ばれる穴を開けておく。攻撃するための窓だね」
「ふーん。地魔法でできるな!」
「それじゃあ門の外に出たらよろしく!」
「任せろ!」
ちなみにドローンは、コントローラーについているGPSに向かって自動で帰還する機能を使っている。
ゆえに、放って置いても合流できる手はずだ。
「門を開けてもらえますか?」
「夜間の開門は禁止している!」
「話は通っているはずですが?」
「協力しなくてもいいと聞いている!」
「はぁ……。懺悔の機会を与えたのに、つまらん罪を自分で積み上げるとは……。間抜けか?」
「何だとッ!? この野郎ッ!!!」
「もう我慢ならねぇッ!」
門番二人が殴りかかってきたため、近くにいた方のエルフの右腕を取って無理矢理左を向かせ、勢いがついているもう一人にぶつける。
横を向いたエルフの脇腹を殴打して退けた後、仲間にぶつかって転倒したエルフの頭を蹴り飛ばす。
腕を取っている方のエルフを無理矢理引き起こして追撃を行う。
髪を掴んで顔面に膝蹴りを一発。
最後に、寝転がっているエルフの上に叩き落として終わりだ。
「二人がかりのくせに弱いな」
「だけど、おかげで門番がいなくなったぞ!」
「それもそうか。門を守れない門番が悪いのであって、無人の門を通った者が悪いわけではないはずだ。――あぁそうそう。諸君、協力感謝する!」
周囲で指を咥えて見ていただけの者たちにも感謝しておく。
「殴りかかってきてくれて助かった! 正当防衛が成立するからな!」
ドラドは純粋に門番に感謝しているようだった。素直な子だ。
感謝の言葉を告げ終わったドラドと協力して無人の門を開けて通り、トーチカを造るのに適している場所を探しながら移動する。
すると、特別な任務をこなしている別働隊から連絡が来た。
『ディエス、捕まえたけどどうする?』
『俺たちのところに連れてきて。あっ! 分かっていると思うけど、村の外にいるからね!』
『はーい!』『分かったの!』
『よろしくねー!』
できれば手の内を晒したくはないが、いちゃもんをつけられるのも面倒だから、確認できるように村から比較的近く、【聖王国】の兵士が陣形をとれるくらいに開けた場所。
さらに狙撃ポイントからカバーができ、敵の陣形に対して横撃できる位置。
「うーん……ここかな」
「サクサク掘るから、見張りよろしく!」
「任せろ!」
重機はあるけど、音がうるさいし【液体魔力】も使うから使いたくない。
ドラドの楽しみにしている乗り物が重機だけになってしまうとか……可哀想だろ。魔法で代用できるならば、積極的に節約していかなければ。
「ただいま!」「ギリギリだったの!」
「おかえりーー!」
なでなでモフモフして労う。同時に俺も癒される。
「ギリギリだったって言ってたけど、なんかあったの?」
「精霊魔術を使っていたみたいで、マップ上の位置と目視の位置が違ったのよね」
「――え? そんなこともできるのか。それで、どっちが合ってたの?」
「マップよ!」
「よかったーー! マップが間違っていたら優位性が低くなるところだった」
「カグヤのおかげだったのよ!」
何故かモジモジしている。褒められているのに、意を決して何かを言おうとしているみたいな。
「カグヤの《魔眼》のおかげで、魔力で創った幻影だって分かったの!」
「ワ、ワイバーンも……《魔眼》を使ったの……」
「そうだったんだ! 元々狙撃だけで死んだとは思ってなかったから、どうかしたの? ってくらいにしか思ってないんだけど」
「鈍いなぁーー! カグヤは嫌われたくなくて隠してたに決まってるだろ!」
穴の中から顔を出したドラドが知りたかったことを教えてくれる。
「なるほど! 《魔眼》は俺のいたところでは憧れの能力だから、とっても羨ましいなって思っているんだけど。封印されていると思っている《魔眼》は、一生封印されたままで生涯を終えるんだよ。たまにオーラを視ることができる人もいるけどね」
「「「へぇーー!」」」
特殊な病気の症状だったから、感心されると心苦しい。
「だから気にしなくていいよ。使える力はドンドン使っていかないとね!」
「うん!」
「じゃあ、二人からのお土産で遊ぼうか」
「いいってことよ!」
「おかげ平和な会談になったよ!」
「そうだな!」
今もなお、敵意を剥き出しにしている監視要員に聞こえる声量で話す。
村に来たときから赤い表示だったが、話し合いの後は徐々に赤い光点が増えていっている。あることないこと吹聴しているのだろう。
自分の目で見たことが全て正しいわけではなく、見ていなくても正しいことはある。
しかし、すぐ側にいるのだから確認くらいは訪れて、自分の五感や心を使って判断しろよ。人から聞いた話を鵜呑みにして善悪を決めているとか……阿呆か?
これじゃあ【聖王国】との取引も鵜呑みにしているパターンだな。
そもそもの話、何もできないと自他ともに認めている王女を一人拘束するよりも、エルフを捕まえて奴隷にした方が大きな利益をもたらすだろう。
王女の身柄は大義名分作りの建前で、エルフの奴隷を確保するついでくらいに思われていそうだな。俺なら確実にそうする。
たった一人のために大規模な部隊を派遣するとか、見逃せない行動を取っているか、リスクを超えるリターンを見込めているかしないとやらないだろうよ。
前者はありえないから、確実に後者だな。
エルフで村規模だから薄れているけど、やっていることは盗賊と同じだからね。
こんな人たち助けたくないわーー!
「憂鬱だけど……やることをやらないと」
「偵察をするんだろ? どうやるんだ? 乗り物に乗るのか?」
「乗りません」
「……じゃあどうやるんだ?」
「ドローンを飛ばす」
「なんだそれは」
「今回使うのは、空を飛ぶおもちゃにカメラや武器をくっつけたものかな」
「なぁ! なんと面白そうなおもちゃなんだ! 早く! 早く見せろ!」
今回はグライダータイプのドローンではなく、空撮や農薬散布に使われる一般的なドローンを使用する。
グライダータイプはコストがかかるし、所持台数が少ない。しかも修理部品含めて《PX》で購入できないから、墜とされるかもしれない状況では使いたくない。……自業自得かもしれないけど。
ヘッドセットに同期して視界の端に表示することも可能だが、ドラドも一緒に見たいだろうから手元のコントローラーで映像を確認しよう。
――え? 他の二人はいいのかって?
彼女たちは特別任務をこなしているため、テントの中にはいないのだ。
教会関係の言葉で表現するなら、『異端審問官』という言葉が適しているかもしれない。懺悔の機会を自ら拒否した者たちに関係する部署で、教会の特殊部隊である。
逃げることができたなら、そのときは許してあげよう。
「じゃあ飛ばすよ!」
「やらせてくれ!」
「……今日は暗いから無理かな」
「……明るいときならいいんだな?」
「もちろん! 約束だ!」
「……分かった! 我慢する!」
二脚の椅子を隣り合うように並べて座る。
手元のコントローラーでドローンを離陸させ、正門の方に向かって飛ばす。
静音設計で黒塗りのドローンは夜空に溶け込み、静かに偵察行動を開始した。
「すごっ! 飛んだぞ! 鳥じゃないのに! ――もしかして……あの大きいのもあるんじゃないのか!?」
ヘリのことかな?
「あるよ」
「何ということだっ! 楽しみなことがたくさんだっ!」
「すぐには使えないけどね」
「……なんで?」
キラキラしていた瞳から光が消えていく。声も低くなっているような気がする。
「ほら、焚き火台のときに言ったでしょ? 【液体魔力】のこと! アレが必要なんだよ! ドラドにもらった分だけじゃあ足りなくて作れないんだ!」
「……材料はどこで手に入るんだ?」
「迷宮か鉱山かな。魔核だけなら魔物から採れるんだけどね。魔石だっけ? それがないんだ」
「【聖王国】の次は魔物だな! 頑張るぞ!」
「頑張ろう!」
機嫌が良くなったドラドの瞳にキラキラが戻る。おかげで可愛さも戻ってきた。一瞬、猛獣の血が蘇ったのかと思うほどの迫力があったもんな。……うん、養母さんにそっくりだ。
「おっ! 見えてきた!」
「よく見えないぞ!」
「暗視モードだからね。位置と規模が分かればいいかなって思ったんだけど……まさか部隊を分けて行動しているとはね。連携も取れていないし」
「謎だな。でも正門の方が近いから、正門側に防衛陣地を造った方がいいよな。村には他に門はないし、閉じこもっている間に各個撃破していけばいいんだから」
ドラドの言うとおりなんだけど、なんとなく嫌な感じが拭えないんだよな。
何かを見落としている気がする。……何だ?
「うーん……まぁこのままじゃあ明日の昼くらいには着きそうだな。陣も張ってないようだし、休憩を取っているだけだったら時間がないか」
「それなら早く準備しないとな!」
「……そうだな。じゃあ片付けしていくか」
「あっ! 留守番がいないもんな!」
「その通り! 泥棒がいないとも限らないからな!」
俺とドラドは盛り上がった土の上に載っているテントやテーブル、調理器具などの細々している物を《コンテナ》に入れていった。
そのあと、ドラドが地面をならして元通りだ。
「ちょっと行ってくる!」
「お、おい! どこに!?」
ポテポテと走ってツリーハウスを目指すドラド。食事の後に「また明日」って言ってたじゃん。
「おーい! おれたちがやっつけてくるからな! 疑っているなら、戦闘が始まったら壁の上から見てみろ! ボッコボコにしていると思うぞ! じゃあ、また明日な!」
「……」
「よしっ! ディエス、行くぞーー!」
「……ドラドって勇者みたいだね」
「そ、そうかな?」
照れてる……。可愛い。
――あれ? 待てよ。そうなると……俺って勇者パーティーにいる聖騎士のポジションになるのでは?
嫌すぎるぅぅぅぅぅーーー!
怨敵と同じポジションとか……。
これから騎士らしくせず治療ばかりしていれば、もしかしたら神官ポジションに転職できるかも……。頑張ろう。
閑話休題。
「じゃあ簡単に説明するね」
「おう!」
「穴を掘ってその中に隠れられるようにする。穴の上を覆って頑丈にし、相手からの攻撃を受けても大丈夫な盾というか甲羅? を造る。その際、銃眼と呼ばれる穴を開けておく。攻撃するための窓だね」
「ふーん。地魔法でできるな!」
「それじゃあ門の外に出たらよろしく!」
「任せろ!」
ちなみにドローンは、コントローラーについているGPSに向かって自動で帰還する機能を使っている。
ゆえに、放って置いても合流できる手はずだ。
「門を開けてもらえますか?」
「夜間の開門は禁止している!」
「話は通っているはずですが?」
「協力しなくてもいいと聞いている!」
「はぁ……。懺悔の機会を与えたのに、つまらん罪を自分で積み上げるとは……。間抜けか?」
「何だとッ!? この野郎ッ!!!」
「もう我慢ならねぇッ!」
門番二人が殴りかかってきたため、近くにいた方のエルフの右腕を取って無理矢理左を向かせ、勢いがついているもう一人にぶつける。
横を向いたエルフの脇腹を殴打して退けた後、仲間にぶつかって転倒したエルフの頭を蹴り飛ばす。
腕を取っている方のエルフを無理矢理引き起こして追撃を行う。
髪を掴んで顔面に膝蹴りを一発。
最後に、寝転がっているエルフの上に叩き落として終わりだ。
「二人がかりのくせに弱いな」
「だけど、おかげで門番がいなくなったぞ!」
「それもそうか。門を守れない門番が悪いのであって、無人の門を通った者が悪いわけではないはずだ。――あぁそうそう。諸君、協力感謝する!」
周囲で指を咥えて見ていただけの者たちにも感謝しておく。
「殴りかかってきてくれて助かった! 正当防衛が成立するからな!」
ドラドは純粋に門番に感謝しているようだった。素直な子だ。
感謝の言葉を告げ終わったドラドと協力して無人の門を開けて通り、トーチカを造るのに適している場所を探しながら移動する。
すると、特別な任務をこなしている別働隊から連絡が来た。
『ディエス、捕まえたけどどうする?』
『俺たちのところに連れてきて。あっ! 分かっていると思うけど、村の外にいるからね!』
『はーい!』『分かったの!』
『よろしくねー!』
できれば手の内を晒したくはないが、いちゃもんをつけられるのも面倒だから、確認できるように村から比較的近く、【聖王国】の兵士が陣形をとれるくらいに開けた場所。
さらに狙撃ポイントからカバーができ、敵の陣形に対して横撃できる位置。
「うーん……ここかな」
「サクサク掘るから、見張りよろしく!」
「任せろ!」
重機はあるけど、音がうるさいし【液体魔力】も使うから使いたくない。
ドラドの楽しみにしている乗り物が重機だけになってしまうとか……可哀想だろ。魔法で代用できるならば、積極的に節約していかなければ。
「ただいま!」「ギリギリだったの!」
「おかえりーー!」
なでなでモフモフして労う。同時に俺も癒される。
「ギリギリだったって言ってたけど、なんかあったの?」
「精霊魔術を使っていたみたいで、マップ上の位置と目視の位置が違ったのよね」
「――え? そんなこともできるのか。それで、どっちが合ってたの?」
「マップよ!」
「よかったーー! マップが間違っていたら優位性が低くなるところだった」
「カグヤのおかげだったのよ!」
何故かモジモジしている。褒められているのに、意を決して何かを言おうとしているみたいな。
「カグヤの《魔眼》のおかげで、魔力で創った幻影だって分かったの!」
「ワ、ワイバーンも……《魔眼》を使ったの……」
「そうだったんだ! 元々狙撃だけで死んだとは思ってなかったから、どうかしたの? ってくらいにしか思ってないんだけど」
「鈍いなぁーー! カグヤは嫌われたくなくて隠してたに決まってるだろ!」
穴の中から顔を出したドラドが知りたかったことを教えてくれる。
「なるほど! 《魔眼》は俺のいたところでは憧れの能力だから、とっても羨ましいなって思っているんだけど。封印されていると思っている《魔眼》は、一生封印されたままで生涯を終えるんだよ。たまにオーラを視ることができる人もいるけどね」
「「「へぇーー!」」」
特殊な病気の症状だったから、感心されると心苦しい。
「だから気にしなくていいよ。使える力はドンドン使っていかないとね!」
「うん!」
「じゃあ、二人からのお土産で遊ぼうか」
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
【書籍化決定】神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜
きのこのこ
ファンタジー
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…?
え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの??
俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ!
____________________________________________
突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった!
那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。
しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」
そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?)
呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!)
謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。
※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。
※他サイト先行にて配信してますが、他サイトと気が付かない程度に微妙に変えてます。
※昭和〜平成の頭ら辺のアレコレ入ってます。わかる方だけアハ体験⭐︎
⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる