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第一章 隠遁生活
第四十八話 分配からの任務報酬
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悲しむラビくんは呑兵衛仲間に泣きつき、モフモフ優待権と師匠優待権を主張。結果、俺が折れてラビくんの機嫌が元に戻った。
「では、次に行こうかー!」
「次は、ワイバーンとランスバイパーの能力をリムくん食べてもらうことかな。それぞれ一体分の能力だから、リムくんを優先しようか!」
ワイバーンとランスバイパーは能力ごとスライムさんに吸収してもらったから、それぞれ一体分しか残っていない。
ちなみに、スライムさんは能力を取り込んだはずなのに、少しも痛がっていなかった。魔境にいすぎると感覚が変化するのかな? それともワニと同居していたせいで麻痺しちゃったのかな? 少し心配だ。
俺も麻痺したらどうしよう……。
それはさておき、ワイバーンの能力は《飛翔》と《火炎弾》の二つだ。これらと魔力が手に入ったわけだが、魔力はすでにリムくんが全て吸収している。
リムくんの翼がようやく役に立つわけだ。
続いてランスバイパーの能力は《槍角》と《隠密》の二つで、毒持ちの大蛇の割りには毒関係の能力ではない。毒はデフォルトだから選択肢から除外されたのかも。解体された素材の中に毒腺があったから、たぶんそうだと思う。
それから《槍角》っていうのは、頭についてた槍みたいな角のことだろうな。種族名の由来にもなってる特徴だし、待ち伏せからの一突きが得意らしいから順当ではある。
ワニの攻撃を避けた先にいたときは気づけなかったから、《隠密》の能力も納得だ。
「次は十五体もいる子どもワニかな?」
「うん! 大本命だね! たくさんいるから、分けれるよ! アークの分もあるね!」
「俺を入れても六人だから、大分余ると思うんだけど……」
「全部が同じとは限らない! ワイバーンたちはたまたま同じだっただけだよ!」
「なるほど。ちょっと仕分けてみるね」
「うん!」
地魔術でテーブルを作ってワニの能力を並べていくと、確かにラビくんの言うとおり三種類のグループに分けることができた。
それぞれ『A』『B』『C』と分ける。
『A』と『B』のグループはともに六個ずつあるから全員に行き渡るのだが、『C』は現状で三つしかない。スライムさんが吸収する前は四つだった。
リムくんは確定しているが、残りの二つをどう分け合うか悩む。
「ガウ、ガウ!」
「ふむふむ。なるほど! リムくんが言っています! 女王のスキルと被っているから、エントさんたちで分けてほしいと!」
ラビくんの言葉を聞き、脇に避けておいた女王のスキルを確認する。確かに全く同じ名前が表示されていた。それならばリムくんの意見を採用させてもらおう。
「リムくん、ありがとう!」
「ガウ!」
「ラビくんも通訳ありがとう!」
「うん!」
ついでに二人の体をモフる。最高に幸せだが、ハイドラさんたちの視線を感じて吸収に取りかかることにした。
「まずは『A』グループ。《高速再生》と《身体硬化》だね。近距離戦闘部隊だったのかな?」
「きっと盾役だね! 釣りのせいで見せ場はなかったけど!」
ラビくんの視線が痛いけど、俺は悪くない。安全な手段を取ったまでだ。
「……さて、お次は『B』グループだね。《武威》と《竜鰐闘技》だね。こっちが攻撃役かな?」
「そうだと思うよ! 《武威》は、人間の威圧みたいなものだよ!」
「なるほどね。それから最後の『C』グループだけど、《咆哮:毒》と《死毒魔法》の二つだね。自分の魔核に近いところで魔力操作すれば、自動的に能力が吸収されるからね。……痛いけど」
俺も痛みを我慢して、『A』グループと『B』グループの能力を吸収した。エルフのときの痛みを参考にして分類すると、《武威》はノーマルスキルで、他の三つはユニークスキル相当になる。
魔物や魔獣から入手した能力はレベルアップしないから、習熟を気にしなくてもいい。しかし、誰かに鑑定されたときはどうすればいいんだ? 《隠蔽》スキルでなんとかなるのか? 目の前で《高速再生》を使用されたら、俺だったら使用した者を人間かどうか確認するけど……。
「相変わらず痛いね。みんなは大丈夫?」
「別になんともないが?」
「え? もしかして……。タマさん!」
「――んぁ? 呼んだ……?」
寝てたな? ラビくんが泣きついた後から静かだなって思っていたら、まさか寝ているとは……。
「エントさんたちが痛くないそうだけど、魔物や魔獣は痛くないんですか?」
「ん? 従魔じゃないからよ。自分や仲間に能力を与えると痛みが発生するのよ? 彼らとはグレーな関係でしょ? どこの世界に敵になるかもしれない存在を強化する阿呆がいるのよ。魔王討伐用の神器なのよ? 魔物を攻撃するための武器で、魔物を強化するなんて想定されていないわ。よって、現状痛みを感じることはない!」
めちゃくちゃディスられた。
エントさんはともかく、異世界版三竦みをペットにしようって言ったのは呑兵衛三人組だったはずだが? まぁ痛くないならいいのかな? 俺だけ痛い思いをしていることに多少の不満はあるが、【霊王】様を救うため、痛みだけで強くなれるなら安いものだ。
「じゃあ本命の女王だね。なんと六つも入手できます! 苦労した甲斐がある!」
「ガウガウーー!」
スリスリとお礼をしてくるリムくんが可愛い。
「どういたしまして!」
お礼を受け取った後、次々に宝珠を口に放り込んでいく。能力は、《咆哮:水》《咆哮:毒》《死毒魔法》《眷属召喚》《分体創造》《王威》の六つ。
ラビくん曰く、《分体創造》の能力が子どもワニを生み出すらしい。魔力だけで作った場合は、魔力供給が中断すると消滅する。
だが、体の一部を媒体にして魔力を必要量供給すれば、子どもワニのように実体を持ったまま存在できるそうだ。
女王ワニはハイドラさんとの戦闘のとき重傷を負ったらしく、そのときに流した血液に魔力を混ぜ、子どもワニを創り出したらしい。
……リムくんよ、血液を使ってモフモフの狼を量産してくれてもいいんだよ?
「リムくん、《分体創造》は必殺技にするんだよ!」
「そうよ! ラビくんの言うとおりにするのよ!」
「ガウッ!」
ラビくんはチラッと俺を見た後、リムくんに必殺技にするように伝える。それに賛成するタマさんと、力強く頷くリムくん。いったい誰に対する必殺技なんだろうか……。
「《眷属召喚》は? どう使うの?」
「基本的にリムくんの種族に近い魔物や魔獣を眷属にして呼び出せるんだけど、配下にしないと無理なんだよね。力づくだったり助けたりとかね!」
「モフモフの子を早めに頼むね!」
「第二の必殺技だね!」
「ガウッ!」
異世界版三竦みたちも嬉しそうに頷いているけど、モフモフじゃないから絡みが少ないわけじゃないんだよ? スライムさんは普通に可愛いし。
だから、眷属か分体を求む!
「やっと終わったわねー」
「そういえば話があるって言ってましたね。どうせなら朝食を摂りながらでもいいですか?」
「そうね! みんなで食べましょう!」
「タマさんは今日も食べますか?」
「もちろんです!」
いつも御布施という名のドロン酒を奉納する投入口に、一日三食おやつ付きで食事も奉納しているのだが、今日は時間も遅いし疲れていたから食べないと思っていた。
相変わらずの食欲大魔神だな。
「エントさんたちもよかったらどうぞ!」
「うむ。お呼ばれしよう!」
「タベル」
「ゲコッ」
「シュルルーー」
ハイドラさんたちも食べれるようにオークの丸焼きも用意した。事前に彼女たちに聞いたところ、焼いたものを食べてみたいといことだったから、朝食は調理済みのものを食べてもらう。
スライムさんは何でも食べれるから心配はしていない。エントさんはエルフの体を得たから、人間向きの食べ物がいいそうだ。問題は蛙さんなんだけど、ハイドラさんと同じでいいそうだ。
虫取りに行かなくてよかったと思ったのは内緒である。
それからエントさんはメスらしいが、今はエルフの体の割合に引っ張られて股間に不要なものがついている。早めにメスの人間の死体が欲しいと言われたが、それも無理はないだろう。
タマさんの話の後に、侵入者用の収容施設を造ろう。
「さて、今回あたしのクエストを達成させたことをアルテア様に報告したところ、今後も似たようなことが起きたときに報酬をあげやすいように、アルテア様が新システムを構築してくださったわよ。あんたが住んでいたところで定番だった【ガチャ】システムよ!」
「いや……報酬うんぬんよりも、二度とクエストを発行しないという約束の方が嬉しいんですけど……」
「【ガチャ】のレアリティは三段階よ。誰が発行したクエストかによって、レアリティが変化する仕組みよ!」
相変わらずの無視か……。
「女神であるアルテア様からのクエスト報酬は【ゴッドガチャ】で、あたしたち天使クラスからのクエスト報酬は【レジェンドガチャ】ね。その他のクエストは【モフモフガチャ】よ! 大精霊は天使クラスに該当するわ!」
「【モフモフガチャ】かぁ……。なんで?」
「【モフモフガチャ】相当のクエストを発行できる格を持った生物は、幻獣や古豪の魔獣などが多いからよ。精霊は高位精霊以上の格が必要よ!」
「へぇ~。それで何がもらえるんですか?」
「基本的にクエスト一つにつき一回だけ回せるんだけど、レアリティ関係なく同じものが入っているわ!」
「……それは詐欺というんですよ?」
「待ちなさい! 初期レベルが違ったり当たりスキルの獲得確率が変化したりと、決して詐欺ではないんです!」
新しいモフモフの従魔をプレゼントとかじゃないのか……。できればカプセルからモフモフが飛び出すところを見たかった。
でも、あまりモフモフモフモフ言えない。拗ねてしまうペットが増えてしまったからだ。
「じゃあ今回は【レジェンドガチャ】を一回ですか?」
「二回よ。ワニの討伐と水の浄化の二つよ。回復魔術も使ってもらったしね!」
「よし!」
なんだかんだ言って、思わずガッツポーズをしてしまった。仮にも神様が創ったシステムだ。ハズレはないだろう。
「どうやればいいんですか?」
「【トイストア】のホーム画面の右下隅に小さくガチャアイコンを創ったから、そこをタップすれば三つのガチャが表示されるわよ」
早速光る板を操作する。
【ゴッドガチャ】は、アルテア様をデフォルメした感じの女神様の周囲に、フワフワと惑星風の球体が回っている。
【レジェンドガチャ】は、翼が九大精霊の属性色に色づけされたデフォルメ天使が、ドロンの果実入りの籠を側に置いて寝そべっている。
直感で「タマさんだ!」と思ったけど、あながち間違っていないと思う。
最後に【モフモフガチャ】だけど、何故かラビくんがスライムを抱えている。タマさん曰く、それぞれのガチャカプセルは天地と海を表していて、スライムに見えるのは水滴の大きいものらしい。
今回はドロンの果実を二回受け取るタイプのガチャらしい。
いざ! 勝負! 当たりよ、来い!
==================
すみません。遅くなりました。
「では、次に行こうかー!」
「次は、ワイバーンとランスバイパーの能力をリムくん食べてもらうことかな。それぞれ一体分の能力だから、リムくんを優先しようか!」
ワイバーンとランスバイパーは能力ごとスライムさんに吸収してもらったから、それぞれ一体分しか残っていない。
ちなみに、スライムさんは能力を取り込んだはずなのに、少しも痛がっていなかった。魔境にいすぎると感覚が変化するのかな? それともワニと同居していたせいで麻痺しちゃったのかな? 少し心配だ。
俺も麻痺したらどうしよう……。
それはさておき、ワイバーンの能力は《飛翔》と《火炎弾》の二つだ。これらと魔力が手に入ったわけだが、魔力はすでにリムくんが全て吸収している。
リムくんの翼がようやく役に立つわけだ。
続いてランスバイパーの能力は《槍角》と《隠密》の二つで、毒持ちの大蛇の割りには毒関係の能力ではない。毒はデフォルトだから選択肢から除外されたのかも。解体された素材の中に毒腺があったから、たぶんそうだと思う。
それから《槍角》っていうのは、頭についてた槍みたいな角のことだろうな。種族名の由来にもなってる特徴だし、待ち伏せからの一突きが得意らしいから順当ではある。
ワニの攻撃を避けた先にいたときは気づけなかったから、《隠密》の能力も納得だ。
「次は十五体もいる子どもワニかな?」
「うん! 大本命だね! たくさんいるから、分けれるよ! アークの分もあるね!」
「俺を入れても六人だから、大分余ると思うんだけど……」
「全部が同じとは限らない! ワイバーンたちはたまたま同じだっただけだよ!」
「なるほど。ちょっと仕分けてみるね」
「うん!」
地魔術でテーブルを作ってワニの能力を並べていくと、確かにラビくんの言うとおり三種類のグループに分けることができた。
それぞれ『A』『B』『C』と分ける。
『A』と『B』のグループはともに六個ずつあるから全員に行き渡るのだが、『C』は現状で三つしかない。スライムさんが吸収する前は四つだった。
リムくんは確定しているが、残りの二つをどう分け合うか悩む。
「ガウ、ガウ!」
「ふむふむ。なるほど! リムくんが言っています! 女王のスキルと被っているから、エントさんたちで分けてほしいと!」
ラビくんの言葉を聞き、脇に避けておいた女王のスキルを確認する。確かに全く同じ名前が表示されていた。それならばリムくんの意見を採用させてもらおう。
「リムくん、ありがとう!」
「ガウ!」
「ラビくんも通訳ありがとう!」
「うん!」
ついでに二人の体をモフる。最高に幸せだが、ハイドラさんたちの視線を感じて吸収に取りかかることにした。
「まずは『A』グループ。《高速再生》と《身体硬化》だね。近距離戦闘部隊だったのかな?」
「きっと盾役だね! 釣りのせいで見せ場はなかったけど!」
ラビくんの視線が痛いけど、俺は悪くない。安全な手段を取ったまでだ。
「……さて、お次は『B』グループだね。《武威》と《竜鰐闘技》だね。こっちが攻撃役かな?」
「そうだと思うよ! 《武威》は、人間の威圧みたいなものだよ!」
「なるほどね。それから最後の『C』グループだけど、《咆哮:毒》と《死毒魔法》の二つだね。自分の魔核に近いところで魔力操作すれば、自動的に能力が吸収されるからね。……痛いけど」
俺も痛みを我慢して、『A』グループと『B』グループの能力を吸収した。エルフのときの痛みを参考にして分類すると、《武威》はノーマルスキルで、他の三つはユニークスキル相当になる。
魔物や魔獣から入手した能力はレベルアップしないから、習熟を気にしなくてもいい。しかし、誰かに鑑定されたときはどうすればいいんだ? 《隠蔽》スキルでなんとかなるのか? 目の前で《高速再生》を使用されたら、俺だったら使用した者を人間かどうか確認するけど……。
「相変わらず痛いね。みんなは大丈夫?」
「別になんともないが?」
「え? もしかして……。タマさん!」
「――んぁ? 呼んだ……?」
寝てたな? ラビくんが泣きついた後から静かだなって思っていたら、まさか寝ているとは……。
「エントさんたちが痛くないそうだけど、魔物や魔獣は痛くないんですか?」
「ん? 従魔じゃないからよ。自分や仲間に能力を与えると痛みが発生するのよ? 彼らとはグレーな関係でしょ? どこの世界に敵になるかもしれない存在を強化する阿呆がいるのよ。魔王討伐用の神器なのよ? 魔物を攻撃するための武器で、魔物を強化するなんて想定されていないわ。よって、現状痛みを感じることはない!」
めちゃくちゃディスられた。
エントさんはともかく、異世界版三竦みをペットにしようって言ったのは呑兵衛三人組だったはずだが? まぁ痛くないならいいのかな? 俺だけ痛い思いをしていることに多少の不満はあるが、【霊王】様を救うため、痛みだけで強くなれるなら安いものだ。
「じゃあ本命の女王だね。なんと六つも入手できます! 苦労した甲斐がある!」
「ガウガウーー!」
スリスリとお礼をしてくるリムくんが可愛い。
「どういたしまして!」
お礼を受け取った後、次々に宝珠を口に放り込んでいく。能力は、《咆哮:水》《咆哮:毒》《死毒魔法》《眷属召喚》《分体創造》《王威》の六つ。
ラビくん曰く、《分体創造》の能力が子どもワニを生み出すらしい。魔力だけで作った場合は、魔力供給が中断すると消滅する。
だが、体の一部を媒体にして魔力を必要量供給すれば、子どもワニのように実体を持ったまま存在できるそうだ。
女王ワニはハイドラさんとの戦闘のとき重傷を負ったらしく、そのときに流した血液に魔力を混ぜ、子どもワニを創り出したらしい。
……リムくんよ、血液を使ってモフモフの狼を量産してくれてもいいんだよ?
「リムくん、《分体創造》は必殺技にするんだよ!」
「そうよ! ラビくんの言うとおりにするのよ!」
「ガウッ!」
ラビくんはチラッと俺を見た後、リムくんに必殺技にするように伝える。それに賛成するタマさんと、力強く頷くリムくん。いったい誰に対する必殺技なんだろうか……。
「《眷属召喚》は? どう使うの?」
「基本的にリムくんの種族に近い魔物や魔獣を眷属にして呼び出せるんだけど、配下にしないと無理なんだよね。力づくだったり助けたりとかね!」
「モフモフの子を早めに頼むね!」
「第二の必殺技だね!」
「ガウッ!」
異世界版三竦みたちも嬉しそうに頷いているけど、モフモフじゃないから絡みが少ないわけじゃないんだよ? スライムさんは普通に可愛いし。
だから、眷属か分体を求む!
「やっと終わったわねー」
「そういえば話があるって言ってましたね。どうせなら朝食を摂りながらでもいいですか?」
「そうね! みんなで食べましょう!」
「タマさんは今日も食べますか?」
「もちろんです!」
いつも御布施という名のドロン酒を奉納する投入口に、一日三食おやつ付きで食事も奉納しているのだが、今日は時間も遅いし疲れていたから食べないと思っていた。
相変わらずの食欲大魔神だな。
「エントさんたちもよかったらどうぞ!」
「うむ。お呼ばれしよう!」
「タベル」
「ゲコッ」
「シュルルーー」
ハイドラさんたちも食べれるようにオークの丸焼きも用意した。事前に彼女たちに聞いたところ、焼いたものを食べてみたいといことだったから、朝食は調理済みのものを食べてもらう。
スライムさんは何でも食べれるから心配はしていない。エントさんはエルフの体を得たから、人間向きの食べ物がいいそうだ。問題は蛙さんなんだけど、ハイドラさんと同じでいいそうだ。
虫取りに行かなくてよかったと思ったのは内緒である。
それからエントさんはメスらしいが、今はエルフの体の割合に引っ張られて股間に不要なものがついている。早めにメスの人間の死体が欲しいと言われたが、それも無理はないだろう。
タマさんの話の後に、侵入者用の収容施設を造ろう。
「さて、今回あたしのクエストを達成させたことをアルテア様に報告したところ、今後も似たようなことが起きたときに報酬をあげやすいように、アルテア様が新システムを構築してくださったわよ。あんたが住んでいたところで定番だった【ガチャ】システムよ!」
「いや……報酬うんぬんよりも、二度とクエストを発行しないという約束の方が嬉しいんですけど……」
「【ガチャ】のレアリティは三段階よ。誰が発行したクエストかによって、レアリティが変化する仕組みよ!」
相変わらずの無視か……。
「女神であるアルテア様からのクエスト報酬は【ゴッドガチャ】で、あたしたち天使クラスからのクエスト報酬は【レジェンドガチャ】ね。その他のクエストは【モフモフガチャ】よ! 大精霊は天使クラスに該当するわ!」
「【モフモフガチャ】かぁ……。なんで?」
「【モフモフガチャ】相当のクエストを発行できる格を持った生物は、幻獣や古豪の魔獣などが多いからよ。精霊は高位精霊以上の格が必要よ!」
「へぇ~。それで何がもらえるんですか?」
「基本的にクエスト一つにつき一回だけ回せるんだけど、レアリティ関係なく同じものが入っているわ!」
「……それは詐欺というんですよ?」
「待ちなさい! 初期レベルが違ったり当たりスキルの獲得確率が変化したりと、決して詐欺ではないんです!」
新しいモフモフの従魔をプレゼントとかじゃないのか……。できればカプセルからモフモフが飛び出すところを見たかった。
でも、あまりモフモフモフモフ言えない。拗ねてしまうペットが増えてしまったからだ。
「じゃあ今回は【レジェンドガチャ】を一回ですか?」
「二回よ。ワニの討伐と水の浄化の二つよ。回復魔術も使ってもらったしね!」
「よし!」
なんだかんだ言って、思わずガッツポーズをしてしまった。仮にも神様が創ったシステムだ。ハズレはないだろう。
「どうやればいいんですか?」
「【トイストア】のホーム画面の右下隅に小さくガチャアイコンを創ったから、そこをタップすれば三つのガチャが表示されるわよ」
早速光る板を操作する。
【ゴッドガチャ】は、アルテア様をデフォルメした感じの女神様の周囲に、フワフワと惑星風の球体が回っている。
【レジェンドガチャ】は、翼が九大精霊の属性色に色づけされたデフォルメ天使が、ドロンの果実入りの籠を側に置いて寝そべっている。
直感で「タマさんだ!」と思ったけど、あながち間違っていないと思う。
最後に【モフモフガチャ】だけど、何故かラビくんがスライムを抱えている。タマさん曰く、それぞれのガチャカプセルは天地と海を表していて、スライムに見えるのは水滴の大きいものらしい。
今回はドロンの果実を二回受け取るタイプのガチャらしい。
いざ! 勝負! 当たりよ、来い!
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すみません。遅くなりました。
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