29 / 116
第一章 隠遁生活
第二十七話 防衛からの酒造取引
しおりを挟む
まずはアルファベットの『P』に見える洞窟の周囲を、約二メートルくらいの間隔をあけて柵を設置していこう。全体的な形は長方形で、一部大きなスペースができるが考えていることに使う予定だ。
早速魔術を使おうとすると、タマさんからお声がかかる。
「魔術を使うつもりなら、その生き物はテントで寝かせてあげた方がいいですよ。あなたの魔力にあてられてビックリしてしまいますからね」
「そ、そんな……。やっとこの手に戻ってきたのに……。すぐに終わらせるからね! 待ってて!」
モフモフを毛布にくるんで寝かすと、木の棒で大まかな設置場所を決めていく。
だいたい一メートル間隔で大きめの石柱でも立てて強度の補強でもしよう。
石柱の場所を丸印をつけて見える位置に立つ。
「地よ、《石柱》」
武骨な円柱を複数同時に設置し、見える位置に行ってはまた設置するの繰り返しで洞窟を一周する。
次は高さ三メートルくらいの柵を石柱と石柱の間に張り巡らせていく。これも洞窟を一周して設置していく。
続いて空堀作りである。
洞窟の北側はあまり森と離れていないし、東側は訓練場にする予定だ。南側はゴミ処理施設や生活排水の浄化槽にしようと思っている。残った西側はあまり森に近づけないようにしようと思っているため、よくよく考えてみると堀の幅はあまり取れない。
あったとしても五メートルくらいだろう。だから深さを五メートルにして、柵と合わせれば八メートルになるだろう。
「地よ、《掘削》」
「……生活魔術の領分を越えてますね……」
「でも広範囲魔術だと消費魔力が多く発動も遅いですし。何よりも魔力量には自信がありますから生活魔術にたくさん魔力を注いだとしても、広範囲魔術よりも比較にならないくらい少なく済みますから」
「それはそうですが……これは生活魔術と言えるのかしら……?」
タマさんの呟きを華麗にスルーしていき、東西南北全てに空堀を作っていく。東側は洞窟の入口だから、森の小道と洞窟の入口を真っ直ぐに繋ぐ直線上は空堀を作らず二つに分けている。
「地よ、数多の刃を持って、敵を切り裂け《地刃霊園》」
今度は面倒だから空堀内の剣山は一気に広範囲魔術を使用し、一気に作ってしまった。元々は地面から剣や槍などの刃が突き出す《地刃》という魔術だが、今回はイメージと魔力量で新たに作ったのだ。
昨日の《地槍剣舞》と同様に魂に刻まれたような感覚を得ることができ、オリジナルかどうかは分からないけど新魔術を習得したということだ。
剣山は南側の空堀には設置せず、周辺に拒馬槍のように剣山を設置した。
空堀に落ちた魔物は食料になるものもあり、ゴミ処理施設に落ちた魔物は食べたくないからだ。
あと東側の空堀周辺と洞窟入口周辺にも柵を設置して落下防止対策をしたあと、仕上げで《硬化》の魔術を使用して強度を上げた。
次は洞窟内をリフォームしようと思ったのだが、モフモフが気になり様子を見に行くことにする。
「起きたかなー?」
「起きたと思いますよ。あれだけ魔術を使いましたからね」
「あのモフモフは兎さんだから餌だと思われずに済みそう」
「……まぁそうですね。全ての魔物が人間を食べるわけではないんですけどね」
あれ? そうだっけ?
「魔物って何を食べるんですか?」
「基本的に魔力を吸収できれば、あとは趣味嗜好で変わります。魔素を魔力に変換して吸収できる個体もいますよ。ただそういったことができなかったり、理性や知性がない魔物が人間を襲うのです」
なるほど。じゃあ魔王に理性と知性を持たせれば魔王軍も消滅するんじゃないか? まぁ俺には関係ないからどうでもいいけど。
「あっ! 起きたみたいだね! おはようー!」
「……」
兎さんは熊親分みたく熊さん座りをして辺りをキョロキョロと見回していた。
可愛い。
第一印象が重要である。逃げられることなく従魔になってもらえるようにアピールせねば。
「俺の名前は『アクナイト』。お腹空いてない? 何か食べる? 干し肉とドロンの干し果実があるよ?」
「……それしかないんですか?」
「昨日ここに来たばかりですしね」
「素材ならさっきたくさんもらっていましたよね?」
「正確には料理ができないんです。俺の料理はまだ美味しくないんです」
そう、まだなのだ。これから伸びていく予定である。モフモフテイマーモノでの定番と言えば、美味しいものを食べさせて餌付けすることだろう。
次いでモフモフマッサージとかじゃないかな。俺には幼児のような可愛らしさはないから、守ってあげたいとは思われないはずだ。それに逆に俺がモフモフを守ってあげたい。
「では、ドロンの果実のお酒造りは不可能では?」
「あぁ! それならもう希望の材料が揃えば今すぐにでも造れますよ?」
「はっ? あの酒好きのドワーフも諦めたドロンの果実のお酒ですよ? 完成しても香りが飛んでしまって何を飲んでいるのか分からない完成度で、世界的に見ても未だ完全なドロン酒なるものは存在していません! そんな幻の果実酒が造れるとあなたは言うのですか!?」
興奮しすぎだろ……。しかも詳しすぎる。タマさんもお酒好きなのかな? 天使なのに?
「だから熊親分は『はいはい』みたいな態度で本気にしてなかったのか。これは完成したらハグしてもらえるかも……。ヤバい。やる気が止まらない!」
「聞いてる!? できるの!? できないの!?」
ん? 口調が変わった……? もしかしてこっちが素ではないか?
「できます」
「よし! うっうん! わたしが協力してあげます。もちろん味見の協力もしますよ」
「え? 初めては熊親分がいいかなって……」
「未完成の物を恩熊にご馳走すると言うことは毒味させることと同義です! 完成品をご馳走することに意味があるのですよ! 熊親分を驚かせるのならば、味見は絶対に不可欠ですよ!」
確かに一理ある。ただ……。
「天使様に味見させることの方が不敬では? それにスキルなのにどうやって味見するんですか? ということで自分で味見します」
「不敬ではありません! 味見させないことの方が不敬です! それに情報のやり取りをするために画面の下に窓口があります。そこに入れていただければわたしの元に届くようになっていますよ。あと、お子様がお酒を飲むことは禁止されていますよ。お酒は大人になってからにしましょう!」
「前世を含めれば成人していますよ?」
「身体年齢のことを言っています。五歳でしょ?」
どうしても味見に参加したいようだ。タマさんが割り込んだからモフモフを放置している状況なんだが、タマさんの声は俺にしか聞こえていないから、俺がブツブツと独り言を言うヤバいやつに見えてしまっていることだろう。
第一印象……死んだ。
「と……とりあえず味見のことはあとで話しましょう。まずはモフモフくんのことに集中させてください」
「……分かりました。あとでじっくり話し合いましょう!」
なんとか落ち着かせることができ、意識をモフモフに集中させる。
ふと合う視線。
視線に含まれる感情はおそらく「お前は大丈夫なのか?」とか「そこに何かいるのか?」と言ったものだろう。わずかに怯えて見えるような気がする。
「……何かいるの?」
「――しゃべった……!」
モフモフくんは話せる兎さんだったのだ。奇跡、俺の前に奇跡が舞い降りたのだ。
「誰と話してたの?」
「天使さんと話していたんだ」
「……変な子じゃないよね?」
かなりオブラートに包んだ言い方をしてくれたようだ。モフモフに気を遣われるなんて……。感動だ。
「違うよ。俺の職業のおかげで天使様と話せるようになったんだ」
「どの天使?」
「どの? 天使の種類は分からないな。真名も教えてはダメって言われたし。でもアルテア様の直属の部下って聞いたんだけど、何か分かるかな?」
「……ううん。分からない」
そうだよな。いくら話せるほど賢いモフモフでも天使の種類は分からないだろうな。
モフモフくんは天使と話しているということを証明させるために、天使のことを聞いたんだろうし。
「じゃあ何でここにいるの?」
「俺はこの近くの貴族の子どもだったんだけど、いろいろあって追い出されちゃったんだけど、本当はモフモフの王様を捜すためにモフモフの領域に来たんだよね。ついでに訓練もできるしね」
「モフモフの王様って何?」
「【霊王】様っていう神獣様だよ」
また聞くのを忘れたんだよな。どんな巨大なモフモフなのかを。
「れ、霊王を捜して……ど、どうするの?」
「アルテア様に頼まれたんだよ。助けてあげてって。正確に言うと、見つけて完全復活させて欲しいって言ってたんだけどね。でもアルテア様に聞いた話では人間にいじめられたみたいだから、絶対傷ついていると思うから癒す手伝いをしたいんだよ。そのために俺の職業が活躍すると思うんだよね!」
「た、助ける……? 霊王は最強なんだよ? その霊王が負けたんだよ? 君は世界最強にでもなるの?」
「うん。モフモフを守ることができるなら、何をしてでも最強を目指すよ。それが使命でもあるし、転生してでもやりたかったことだからね」
【霊王】を頂点としたモフモフパラダイスを作り上げ、スローライフもいいなと妄想すること五年。この五年間で、実行するにはどんな理不尽にも対抗できる力が必要であると確信する。
だからこそ魔の森でレベルを上げつつ、新魔術の開発や武術の習熟に精を出すことに決めたのだ。
「では、わたしも協力することにしましょう。わたしはこれでも前世は魔術が得意な【天使族】という神族で、武術も魔術以上に得意なんですよ。ですから、アルテア様の守護天使の任を負い転生を果たすことになったのです」
「え? そうだったのですか? だからお酒に詳しかったんですね?」
「えぇ。お礼をしたいというのなら、ドロン酒でいいんですよ?」
それが本命だろ……。
だが、アルテア様に実力を認められて天使に転生を果たした人物に師事できるのは望外の喜びだ。たかが酒くらいで強くなれる可能性があるのなら、ほとんどタダみたいなもんだろ。
「それではお願いします!」
「えぇ。任せてください」
早速魔術を使おうとすると、タマさんからお声がかかる。
「魔術を使うつもりなら、その生き物はテントで寝かせてあげた方がいいですよ。あなたの魔力にあてられてビックリしてしまいますからね」
「そ、そんな……。やっとこの手に戻ってきたのに……。すぐに終わらせるからね! 待ってて!」
モフモフを毛布にくるんで寝かすと、木の棒で大まかな設置場所を決めていく。
だいたい一メートル間隔で大きめの石柱でも立てて強度の補強でもしよう。
石柱の場所を丸印をつけて見える位置に立つ。
「地よ、《石柱》」
武骨な円柱を複数同時に設置し、見える位置に行ってはまた設置するの繰り返しで洞窟を一周する。
次は高さ三メートルくらいの柵を石柱と石柱の間に張り巡らせていく。これも洞窟を一周して設置していく。
続いて空堀作りである。
洞窟の北側はあまり森と離れていないし、東側は訓練場にする予定だ。南側はゴミ処理施設や生活排水の浄化槽にしようと思っている。残った西側はあまり森に近づけないようにしようと思っているため、よくよく考えてみると堀の幅はあまり取れない。
あったとしても五メートルくらいだろう。だから深さを五メートルにして、柵と合わせれば八メートルになるだろう。
「地よ、《掘削》」
「……生活魔術の領分を越えてますね……」
「でも広範囲魔術だと消費魔力が多く発動も遅いですし。何よりも魔力量には自信がありますから生活魔術にたくさん魔力を注いだとしても、広範囲魔術よりも比較にならないくらい少なく済みますから」
「それはそうですが……これは生活魔術と言えるのかしら……?」
タマさんの呟きを華麗にスルーしていき、東西南北全てに空堀を作っていく。東側は洞窟の入口だから、森の小道と洞窟の入口を真っ直ぐに繋ぐ直線上は空堀を作らず二つに分けている。
「地よ、数多の刃を持って、敵を切り裂け《地刃霊園》」
今度は面倒だから空堀内の剣山は一気に広範囲魔術を使用し、一気に作ってしまった。元々は地面から剣や槍などの刃が突き出す《地刃》という魔術だが、今回はイメージと魔力量で新たに作ったのだ。
昨日の《地槍剣舞》と同様に魂に刻まれたような感覚を得ることができ、オリジナルかどうかは分からないけど新魔術を習得したということだ。
剣山は南側の空堀には設置せず、周辺に拒馬槍のように剣山を設置した。
空堀に落ちた魔物は食料になるものもあり、ゴミ処理施設に落ちた魔物は食べたくないからだ。
あと東側の空堀周辺と洞窟入口周辺にも柵を設置して落下防止対策をしたあと、仕上げで《硬化》の魔術を使用して強度を上げた。
次は洞窟内をリフォームしようと思ったのだが、モフモフが気になり様子を見に行くことにする。
「起きたかなー?」
「起きたと思いますよ。あれだけ魔術を使いましたからね」
「あのモフモフは兎さんだから餌だと思われずに済みそう」
「……まぁそうですね。全ての魔物が人間を食べるわけではないんですけどね」
あれ? そうだっけ?
「魔物って何を食べるんですか?」
「基本的に魔力を吸収できれば、あとは趣味嗜好で変わります。魔素を魔力に変換して吸収できる個体もいますよ。ただそういったことができなかったり、理性や知性がない魔物が人間を襲うのです」
なるほど。じゃあ魔王に理性と知性を持たせれば魔王軍も消滅するんじゃないか? まぁ俺には関係ないからどうでもいいけど。
「あっ! 起きたみたいだね! おはようー!」
「……」
兎さんは熊親分みたく熊さん座りをして辺りをキョロキョロと見回していた。
可愛い。
第一印象が重要である。逃げられることなく従魔になってもらえるようにアピールせねば。
「俺の名前は『アクナイト』。お腹空いてない? 何か食べる? 干し肉とドロンの干し果実があるよ?」
「……それしかないんですか?」
「昨日ここに来たばかりですしね」
「素材ならさっきたくさんもらっていましたよね?」
「正確には料理ができないんです。俺の料理はまだ美味しくないんです」
そう、まだなのだ。これから伸びていく予定である。モフモフテイマーモノでの定番と言えば、美味しいものを食べさせて餌付けすることだろう。
次いでモフモフマッサージとかじゃないかな。俺には幼児のような可愛らしさはないから、守ってあげたいとは思われないはずだ。それに逆に俺がモフモフを守ってあげたい。
「では、ドロンの果実のお酒造りは不可能では?」
「あぁ! それならもう希望の材料が揃えば今すぐにでも造れますよ?」
「はっ? あの酒好きのドワーフも諦めたドロンの果実のお酒ですよ? 完成しても香りが飛んでしまって何を飲んでいるのか分からない完成度で、世界的に見ても未だ完全なドロン酒なるものは存在していません! そんな幻の果実酒が造れるとあなたは言うのですか!?」
興奮しすぎだろ……。しかも詳しすぎる。タマさんもお酒好きなのかな? 天使なのに?
「だから熊親分は『はいはい』みたいな態度で本気にしてなかったのか。これは完成したらハグしてもらえるかも……。ヤバい。やる気が止まらない!」
「聞いてる!? できるの!? できないの!?」
ん? 口調が変わった……? もしかしてこっちが素ではないか?
「できます」
「よし! うっうん! わたしが協力してあげます。もちろん味見の協力もしますよ」
「え? 初めては熊親分がいいかなって……」
「未完成の物を恩熊にご馳走すると言うことは毒味させることと同義です! 完成品をご馳走することに意味があるのですよ! 熊親分を驚かせるのならば、味見は絶対に不可欠ですよ!」
確かに一理ある。ただ……。
「天使様に味見させることの方が不敬では? それにスキルなのにどうやって味見するんですか? ということで自分で味見します」
「不敬ではありません! 味見させないことの方が不敬です! それに情報のやり取りをするために画面の下に窓口があります。そこに入れていただければわたしの元に届くようになっていますよ。あと、お子様がお酒を飲むことは禁止されていますよ。お酒は大人になってからにしましょう!」
「前世を含めれば成人していますよ?」
「身体年齢のことを言っています。五歳でしょ?」
どうしても味見に参加したいようだ。タマさんが割り込んだからモフモフを放置している状況なんだが、タマさんの声は俺にしか聞こえていないから、俺がブツブツと独り言を言うヤバいやつに見えてしまっていることだろう。
第一印象……死んだ。
「と……とりあえず味見のことはあとで話しましょう。まずはモフモフくんのことに集中させてください」
「……分かりました。あとでじっくり話し合いましょう!」
なんとか落ち着かせることができ、意識をモフモフに集中させる。
ふと合う視線。
視線に含まれる感情はおそらく「お前は大丈夫なのか?」とか「そこに何かいるのか?」と言ったものだろう。わずかに怯えて見えるような気がする。
「……何かいるの?」
「――しゃべった……!」
モフモフくんは話せる兎さんだったのだ。奇跡、俺の前に奇跡が舞い降りたのだ。
「誰と話してたの?」
「天使さんと話していたんだ」
「……変な子じゃないよね?」
かなりオブラートに包んだ言い方をしてくれたようだ。モフモフに気を遣われるなんて……。感動だ。
「違うよ。俺の職業のおかげで天使様と話せるようになったんだ」
「どの天使?」
「どの? 天使の種類は分からないな。真名も教えてはダメって言われたし。でもアルテア様の直属の部下って聞いたんだけど、何か分かるかな?」
「……ううん。分からない」
そうだよな。いくら話せるほど賢いモフモフでも天使の種類は分からないだろうな。
モフモフくんは天使と話しているということを証明させるために、天使のことを聞いたんだろうし。
「じゃあ何でここにいるの?」
「俺はこの近くの貴族の子どもだったんだけど、いろいろあって追い出されちゃったんだけど、本当はモフモフの王様を捜すためにモフモフの領域に来たんだよね。ついでに訓練もできるしね」
「モフモフの王様って何?」
「【霊王】様っていう神獣様だよ」
また聞くのを忘れたんだよな。どんな巨大なモフモフなのかを。
「れ、霊王を捜して……ど、どうするの?」
「アルテア様に頼まれたんだよ。助けてあげてって。正確に言うと、見つけて完全復活させて欲しいって言ってたんだけどね。でもアルテア様に聞いた話では人間にいじめられたみたいだから、絶対傷ついていると思うから癒す手伝いをしたいんだよ。そのために俺の職業が活躍すると思うんだよね!」
「た、助ける……? 霊王は最強なんだよ? その霊王が負けたんだよ? 君は世界最強にでもなるの?」
「うん。モフモフを守ることができるなら、何をしてでも最強を目指すよ。それが使命でもあるし、転生してでもやりたかったことだからね」
【霊王】を頂点としたモフモフパラダイスを作り上げ、スローライフもいいなと妄想すること五年。この五年間で、実行するにはどんな理不尽にも対抗できる力が必要であると確信する。
だからこそ魔の森でレベルを上げつつ、新魔術の開発や武術の習熟に精を出すことに決めたのだ。
「では、わたしも協力することにしましょう。わたしはこれでも前世は魔術が得意な【天使族】という神族で、武術も魔術以上に得意なんですよ。ですから、アルテア様の守護天使の任を負い転生を果たすことになったのです」
「え? そうだったのですか? だからお酒に詳しかったんですね?」
「えぇ。お礼をしたいというのなら、ドロン酒でいいんですよ?」
それが本命だろ……。
だが、アルテア様に実力を認められて天使に転生を果たした人物に師事できるのは望外の喜びだ。たかが酒くらいで強くなれる可能性があるのなら、ほとんどタダみたいなもんだろ。
「それではお願いします!」
「えぇ。任せてください」
0
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説
一人だけ竜が宿っていた説。~異世界召喚されてすぐに逃げました~
十本スイ
ファンタジー
ある日、異世界に召喚された主人公――大森星馬は、自身の中に何かが宿っていることに気づく。驚くことにその正体は神とも呼ばれた竜だった。そのせいか絶大な力を持つことになった星馬は、召喚した者たちに好き勝手に使われるのが嫌で、自由を求めて一人その場から逃げたのである。そうして異世界を満喫しようと、自分に憑依した竜と楽しく会話しつつ旅をする。しかし世の中は乱世を迎えており、星馬も徐々に巻き込まれていくが……。
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
レベルカンストとユニークスキルで異世界満喫致します
風白春音
ファンタジー
俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》は新卒で入社した会社がブラック過ぎてある日自宅で意識を失い倒れてしまう。誰も見舞いなど来てくれずそのまま孤独死という悲惨な死を遂げる。
そんな悲惨な死に方に女神は同情したのか、頼んでもいないのに俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》を勝手に転生させる。転生後の世界はレベルという概念がある世界だった。
しかし女神の手違いか俺のレベルはカンスト状態であった。さらに唯一無二のユニークスキル視認強奪《ストック》というチートスキルを持って転生する。
これはレベルの概念を超越しさらにはユニークスキルを持って転生した少年の物語である。
※俺TUEEEEEEEE要素、ハーレム要素、チート要素、ロリ要素などテンプレ満載です。
※小説家になろうでも投稿しています。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる