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2章

15.悪魔の王

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まただ。

何かに見られている。

視線を感じる。

私は立ち上がり、窓の外を見る。やはり何もいない。

そして廊下に出て、じろ君の部屋に行く。

じろ君はぐっすり眠っていた。

やっぱり彼じゃない。

何か怖い視線だ。

自分の部屋に戻ろうとしたその時。

ガタッ。

後ろから物音がした。

「だれっ?」

私はすぐに振り返ったが背後を取られた。

まずい。

後ろから口を抑えられる。

まずい。

咄嗟に反撃に出ようとしたけれどその時にはもう遅かった。

もっと早く動けたはずなのに動けなかった。

そのまま意識が遠のいた。



気がついた時、私は椅子に座らされて手首を縛られていた。

辺りを見渡す。

とても開けた場所だった。

しかし、天井がある建物の中であることは分かった。

こんなに高い天井は見たことがなかった。

今まででわたしが見た1番高い天井は、高校の頃の体育館。

ここはその何倍も天井が高い。

辺りを見渡しても何もない場所だった。

ただ一つ見えるのは目の前にあるとても豪華な椅子。

玉座?

それはとても大きい。

現実世界に存在しないような、無駄に豪華な椅子だった。

そこには誰も座っていない。

しかしその時。

「やっとお目覚めかい?」

後ろの方から声が聞こえる。

声のした後ろを見ようとするも首がまわらない。

「この時をどれだけ待ったことか。」

今度は前から声がした。

私は慌てて前を向き直す。

すると先ほどまで誰もいなかったはずのその玉座に座っている。

人がいた。

人のような形をした何か、というべきだろうか。

それはその椅子には似つかわしくないほど華奢な体で。

禍々しいオーラを放つ玉座とは対照的に美しい白い肌をした、だけどどこか影のある美しい青年だった。

「あなたは誰?」

私の問いに対して彼は彼は考えるように手を顎にあてる。

「さて、ここでどう答えるかによってかなり僕の印象が変わるというもんだ。」

考えていることが声に出ている。

「ひとつ言えることは僕はあくまで、君に危害を加える気はないということかな。あとは君の返答次第で大きく状況が変わる。」

彼は私の目を見つめた。

「僕は君に惚れました。」

ん?

よく聞こえなかった。

「えっ、いま、なんて。」

「?」

この人は何を言っているのか。

「なんで。」

率直に疑問に思った。

「あれ、もしかして忘れちゃった。ショックだなー。」

急に口調が変わった。

「前、君と一度会ったんだよ。君とっても強いんだもん。僕は、君に惚れちゃったってわけ。」

そう言って私の方に近づいて来た。

「あれー。だけど、なんか雰囲気違うなー。別人じゃないよねー?」

やばい。

「あっ、確かにあったような。そんな気が、します。」

「そうだよね。」

そう言って彼は私を縛っていたロープを解いた。

「君のための部屋を用意してあるんだ。また食事の時間にね。」

彼はパタパタと手を振った。

私はメイド服を着た人型の何かに連れられて別の部屋に向かった。

私はどうすれば。

どうしようもなかった。
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