上 下
3 / 16
1章

3 監禁?

しおりを挟む
集まったのは多くの兵士たち。

私は既に部屋に準備されていた服を着る。

これでいいのかと思うほど軽い装備だった。

なんか、その甲冑的なやつじゃないの。

これじゃ何も防げないんだけど。

そう思いながらも、私は強いらしい、私は強いらしい、そう言い聞かせる。

外に出ると、既に多くの兵士が集まっていた。

すごい。

圧巻だった。

「リア様。」

カムイくんが来てくれた。

紳士的な服装でまさに王子様という感じだった。

本当に今から戦うのかと疑問に思うほどに。

しかし、腰には剣が見えそこでようやく戦うんだなと思えた。

時間が過ぎ、私は戦場へ向かう。

これから何が起こるのか。

それは神のみぞ知る。

戦闘は直ぐに始まった。

だけど、私は動けなかった。

私が動かなくても勝てる。

だから、動かなくてもいいよね。

よく分からない私が見てもこの戦いは優勢だ。

大丈夫だ。

安全なところにいよう。

そう思って振り返る私。

そこにはカムイくん。

あれ、なんでここに。

その時私の意識が途絶えた。

どれくらいの間気を失っていたのか分からない。

何が起こったのかも、理解していない。

ただ最後に見たのは、カムイくんの姿。

彼が笑っている姿を見た気がする。

それも笑顔と言うより、少し怖い顔をしていた。

夢を見たていたのだろうか。

どこから、どこまで。

もし、これが夢だったとして、まだこの夢には続きがある。

私は今両手を縛られて座っている。

当たりを見渡すとそこは室内。

電気は着いていないが、下には絨毯が敷かれているようだ。

冷たくは無い。

なんで。

私、弱いじゃん。

そりゃそうか。

強いのはリアさんであって、私じゃない。

何がどうなっているのやら。

その時。

ガチャっと入ってくる音。

扉が空く。

光が差し込む。

その眩しさに慣れ、こちらを見てみると。

やはりそこにいるのはカムイくんだった。

「これはどういうことなの?」

「申し訳ありませんリア様。だけどあなたにこれ以上無理はさせられない。あなたはその強さゆえに今まで戦い続けてきた。だけどもうそれはしなくていい。みんなあなたが本当は戦いたくないことを知っている。だけどあなたは国のためだ真っ先に戦う。誰よりも戦いが好きなふりをして。もうそれも終わりです。ゆっくり休んでください。じろ、リア様の手錠を外して。」

後ろからたろくんが出てきた。

「はい。分かりました。」

そうしてやっと両手の自由が戻ってきた。


「あなたに窮屈な思いをさせないように私どもも頑張りますのでリア様何がありましたら、お申し付けください。」

カムイ君はそう言うと出て行こうとした。

「ちょっと待って、それでもなんで戦いの途中に。」

「貴方はこの戦いで大きな怪我を負ったということにします。そうすればもう貴方は戦いに出る必要はない。これは国民の願いでもあります。でも安心してください。私たちがおりますので。」

ガチャ。

2人は部屋から出て行った。

ドアには外から鍵がかけられていて中からは開けることが出来ない。

えーっと、つまりこれから私はずーっとここで暮らすのか。

退屈だ。

だけどイケメンたちにお世話して貰えるならまあいいか。

そう考えているとガチャッ、とまた部屋のドアが空いた。

「こーんにちは。」

知らない顔だ。

入ってきたのは金髪のチャラそうなイケメンだった。

「早速退屈だと思って来ちゃった。」



なだろうこの窮屈な感じ。

金髪の青年はノックと呼ばれていた。

トイレに行くことは許されたが、ずっとノックがついてくる。

ずっと監視されている。

流石にトイレに入ってくるということはなかったけど、入り口で待っていた。

なんか恥ずかしいんだが。

食事の時もずっと監視されていて疲れた。

就寝時間になった。

やっと部屋からノックが出ていった。

最後に彼が言うには毎日誰かがずっとついて回ると言うことらしい。

私が期待していたチヤホヤされるというのはこういうことではないんだけれど。

ふかふかのベッドで横になる。

大の字になる。

昨日はこんなこと考える余裕がなかったけれど、こんなにしっかりしたベッドで寝るのはいつぶりだろうか。

というかこんなにいいベッドにはもちろん寝たことはないけれど、そもそも最近はずっと布団をひいて寝ていた。

こんなにも違うものなのか。

私はその日はすぐに眠りについた。

はぁ、疲れた。


そして、朝になる。

辺りが明るくなってきているのは分かったがどうせ閉じ込められたままだと思い、私は起き上がらなかった。

トントン。

ドアをノックする音。

聞こえたが私は動かなかった。

動きたくなかった。

またあのうるさい金髪が来るのだろう。

寝たふりで乗り切れるだろうか。

そう考えていると、ドアが空いた。

「失礼します。」

この声は。

この幼くて可愛い声は。

じろくんだった。

私は飛び起きた。

「じろくん?おはよう。」

私が突然飛び起きて話しかけたので彼もかなり驚いたようだった。

「おっ、おはようございます。」

やはりこのおどおどしてる感じ。

可愛い。

なんというかこの母性をくすぐられる感じ。

他のイケメンたちとは違う良さがある。

良さって言っても、昨日のはちょっと苦手だったけど。

「ねえ、じろくん?」

「はい、なんでしょう。」

私から話しかけたのでかなり驚いたようだった。

「私眠いからさ、一緒に寝ようよ。」

「あの、食事の準備ができたから呼んでくるようにと。」

私はその声を遮るように布団から飛び出して、じろくんに抱きついた。

「いいじゃん。少しだけ。」

「えっ、はっ、はい。少しだけなら。」

じろくんはやはり推しに弱いらしい。

いちゃいちゃたーいむ。












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】無垢な花嫁は、青焔の騎士に囚われる

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※R18回には※、竜とのR回には☆ ※第72話が紛らわしいサブタイトルですが、最終話は第73話です。 ※アルファポリス様では本編完結の際に完結設定にしますが、後日談連載が控えています。ムーンライト様にて先行投稿してある後日談につきまして、1〜2月中に連載予定です。 (全11話+特別編2話) 【第1部・第1章〜第4章】  政略結婚により、隣国の将軍の花嫁(実際は捕虜)となったフィオーレ・オルビス・クラシオン。  成人したばかりのフィオーレの、名目上の夫となる人物は、エスト・グランテ王国の愚王の弟であり、数多の騎士を率いる将軍デュランダル・エスト・グランテ。  彼は大陸最強と呼ばれる剣の腕前の持ち主で、自分以上に強い男がおらず何に対しても醒めていた。さらに、天上天下唯我独尊とばかりの不遜な態度に、数多くの女性との浮名を流すという問題の人物だった。  神に認められた夫婦になるために、皆の前で交わらなければならないという、最悪な婚礼の儀式から始まった二人だったが、徐々に愛を育んでいく。  これは――政略結婚で得た純真無垢な幼な妻フィオーレに、何事にも本気になれなかったデュランダルが本気の恋に落ちてしまい、二人が相思相愛になるまでの物語。 【第2部・第5章〜第8章】  王太后に言いなりの愚王に対するエスト・グランテ王国国民らの不満は高まり、竜の血を継ぐ「真の王」と「竜の聖女」の再来を求める声が強くなる。  将軍として王国を護りながら、フィオーレと共に幸せな家庭を育むことを望むデュランダルだが、竜の血や周囲がそれを許さない。  滅びに向かう国の中、波乱に巻き込まれる夫婦二人が、運命に抗いながら、互いの心の傷を乗り越えて幸せを掴むまでの物語。  国王である兄ジョワユースと、王位簒奪を狙う親友シュタールの狭間で揺れる将軍デュランダルが、葛藤の末に選んだ道とは――。 ※ムーンライト様に2020年7月~10月に毎日投稿していた完結作になります「無垢な花嫁は、青焔の騎士に囚われる」。 ※対となる話は、「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」第8章の流れと対比で読むと、裏話的に面白いです。 ※ひたすら旦那が嫁のことを好きすぎるので、苦手な人はご注意を ※ざまあはちょっと ※章ごと、各前中後編ごとに読んでも、性描写等は楽しめます(衆人環視、公開えっち、人に見られちゃう?、野外、素股、クンニ、フェラ等) ※たまにラブコメディーちっく、後日談はギャグっぽい

転生皇太子は、虐待され生命力を奪われた聖女を救い溺愛する。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

美醜逆転した異世界で、絆されてハーレム作ることになりました

SHIRO
BL
ーー実は俺、異世界に行った事があるんだ。 酒の席で同期の山田に打ち明けられた異世界話。 まさか俺がその異世界に行くなんて!山田の話もっと真剣に聞いとけば良かった! しかもこの世界、美醜の感覚が地球とはちょっと違うみたい。 え、この世界男しかいないの?え、俺ハーレム作んの? 醜いと言われるイケメン達が大きな犬に見えてきて、なんかもうほっとけない。 そんな、健気な犬…じゃなかった、俺にとってはイケメンな男達に絆されまくる俺の話。 ・更新不定期です。 ・基本的にヤマなしタニなし、ほのぼのです。 ・R18には※マークつけます。苦手な方は飛ばして読んでいただければ幸いです。 ・男性妊娠表現が含まれます。苦手な方はご注意くださいませ。 ・すぐ行き詰まって心折れます。お気に入りやいいねや感想にとても救われています。ありがとうございます。

気がついたら無理!絶対にいや!

朝山みどり
恋愛
アリスは子供の頃からしっかりしていた。そのせいか、なぜか利用され、便利に使われてしまう。 そして嵐のとき置き去りにされてしまった。助けてくれた彼に大切にされたアリスは甘えることを知った。そして甘えられることも・・・

【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない

かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。 女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。 設定ゆるいです。 出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。 ちょいR18には※を付けます。 本番R18には☆つけます。 ※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。 苦手な方はお戻りください。 基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。

逃がす気は更々ない

恋愛
前世、友人に勧められた小説の世界に転生した。それも、病に苦しむ皇太子を見捨て侯爵家を追放されたリナリア=ヘヴンズゲートに。 リナリアの末路を知っているが故に皇太子の病を癒せる花を手に入れても聖域に留まり、神官であり管理者でもあるユナンと過ごそうと思っていたのだが……。 ※なろうさんにも公開中。

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

【R18】翡翠の鎖

環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。 ※R18描写あり→*

処理中です...