上 下
11 / 12

11.地下ボス

しおりを挟む
目を開けるとシュウメイの顔があった。

ん?

「大丈夫?ユア?」

心配してくれたのか。って、いやいや。膝枕っ。

飛び起きようとしたらシュウメイに頭を抑えられる。

「そんなに急に動いちゃダメだよ。まだ休んでないと。」

「そう言われても。休んでいられる状況じゃないでしょ。今日中に帰らなきゃなんだし。」

「なに言ってんの。帰れると本気で思ってる?」

「いや、まぁ、それはなんとも。」

「ね。休もう。」

首を動かす。
マメ太はというと隅の方で丸くなっている。
本当に魔王なのか怪しくなるほどに犬だ。

しばらくすると寝息が聞こえてくる。シュウメイも寝てしまったようだ。疲れていたのだろう。だけどそれにしてもこんなところで全員寝てしまうというのはあまりにも不用心すぎる。

疲れも取れてきたし。

そろりと起き上がる。

マメ太の耳がぴくりと動くが、起きてくる様子はないようだった。

そして考えた。まず第一に安全にここから出る。だけど出るとしても道に迷ってしまっているから‥。

マメ太は鼻が利くんじゃないか。

ちょんちょん。

マメ太ー。起きてー。

「なんだい?寝てるのを起こすとはいい度胸じゃないか。」

「あのさ。ここから出る方法なんだけど。」

「んぁ。」

「マメ太鼻が利くんじゃないかなーって。」

「犬のように這いつくばれと?」

「今も這いつくばってるじゃん。そして犬じゃん。」

「なっ。」

改めてショックを受けているようだった。

「そうやって言われると。なんか堪えるな。」

「まぁ。だけど。その必要はないよ。」

「えっ。」

「もっと手っ取り早い方法がある。聞きたいか?」

うんうん。

「ここにいるボスを倒すことだよ。」

「ボス?」

「そう。」

「ボスったってどこにいるんだい。」

「ずっと僕たちを見ている。すぐ近くにいる。君達は本当に気づいていなかったのかい。あきれるなー。」

「こそこそ見てないで姿を現しなよ。」

「仕方ない。気づかれていたとはな。」

どこからともなく声が聞こえる。

目の前を複数の蝙蝠型のモンスターが飛び回る。

それはやがて一つの塊となり。

そのボスとやらが姿を現す。

「大きい。」

そこに現れたのは人型の魔物。だが、大きさは5メートルはあるだろう。

その瞬間。

「なっ、なんだっ。」

シュウメイが目を覚ましたようだった。 

「シュウメイ。こいつ。ボス。」

シュウメイは戸惑っていた。

「どうしたの、シュウメイ?」

「武器が。」

先ほど使った錆びた剣はエンチャントをしていたとはいえ話、継続して使えるものではなかった。
捨ててきたらしい。

それにしても武器がなにもないとは。

「おいおい、なにしてるんだ。お前、どうにかしろー。」

マメ太が騒いでいる。

「魔王なんだろ。こんなやつ簡単に倒せるだろ。」

「この姿じゃ無理なのー。」

「はっ?」

結局誰も戦えない。
こうなったら。

一応持ってきた。あれを使うしかないか。

持ってきたカバンに入った小さなナイフ。

シュウメイはそれを取り出すと魔物に向かって行った。

相変わらずすごい動きだ、人間を超越した動き。

だが、シュウメイは弾き飛ばされた。

目の前にシュウメイが飛んでくる。

「いたた。」

流石にこの武器じゃアイツと戦って勝つのは難しいかもしれない。

なんとかしないと。

「シュウメイ。ちょっと。」

手招きする。

シュウメイがこちらによってくる。

「シュウメイ‥。あのさ。」






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

執着男に勤務先を特定された上に、なんなら後輩として入社して来られちゃった

パイ生地製作委員会
BL
【登場人物】 陰原 月夜(カゲハラ ツキヤ):受け 社会人として気丈に頑張っているが、恋愛面に関しては後ろ暗い過去を持つ。晴陽とは過去に高校で出会い、恋に落ちて付き合っていた。しかし、晴陽からの度重なる縛り付けが苦しくなり、大学入学を機に逃げ、遠距離を理由に自然消滅で晴陽と別れた。 太陽 晴陽(タイヨウ ハルヒ):攻め 明るく元気な性格で、周囲からの人気が高い。しかしその実、月夜との関係を大切にするあまり、執着してしまう面もある。大学卒業後、月夜と同じ会社に入社した。 【あらすじ】  晴陽と月夜は、高校時代に出会い、互いに深い愛情を育んだ。しかし、海が大学進学のため遠くに引っ越すことになり、二人の間には別れが訪れた。遠距離恋愛は困難を伴い、やがて二人は別れることを決断した。  それから数年後、月夜は大学を卒業し、有名企業に就職した。ある日、偶然の再会があった。晴陽が新入社員として月夜の勤務先を訪れ、再び二人の心は交わる。時間が経ち、お互いが成長し変わったことを認識しながらも、彼らの愛は再燃する。しかし、遠距離恋愛の過去の痛みが未だに彼らの心に影を落としていた。 更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl 制作秘話ブログ: https://piedough.fanbox.cc/ メッセージもらえると泣いて喜びます:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした

和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。 そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。 * 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵 * 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

悩ましき騎士団長のひとりごと

きりか
BL
アシュリー王国、最強と云われる騎士団長イザーク・ケリーが、文官リュカを伴侶として得て、幸せな日々を過ごしていた。ある日、仕事の為に、騎士団に詰めることとなったリュカ。最愛の傍に居たいがため、団長の仮眠室で、副団長アルマン・マルーンを相手に飲み比べを始め…。 ヤマもタニもない、単に、イザークがやたらとアルマンに絡んで、最後は、リュカに怒られるだけの話しです。 『悩める文官のひとりごと』の攻視点です。 ムーンライト様にも掲載しております。 よろしくお願いします。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

処理中です...