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4.その日なにがあったか

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 家に帰り着く。


「で、どこに行ってたんだ。」

「ごめんなさい。途中で道に迷っちゃって。」

「迷っちゃって彷徨ってたの?ずっと?この時間まで?で、タイミングよく戻ってきたってこと?」

「怒ってる?」

「いや、怒ってないよ。」

 怒ってはいない。それは本当だ。

「そ、そうだ。ほら。ちゃんと薪は拾ってきた。」

 確かに薪はこれ以上ないほどに拾ってきた。

「そういえばお客さんが来た時にたぶん君を見た話をしていたけれど、少なくともその時間にはこの周辺にいたんだよね。」

「あ、うん。そうだね。その時間にはそこにいた。」

「まあ、別にいいんだけどね。君がどこにいようと、君の勝手なんだし。王国に行きたかったらいつでもそうしてくれて構わない。むしろそれが君にとっては1番いいと思う。」

「うーん。」

シュウメイは頭を抱えた。

「これは言わないつもりだったけど。」

えっ、今からなにをいうつもりなんだ。

「あなたと魔王を倒そうと思ってる。」

「はっ?」

「聞こえなかったですか?魔王を」

「聞こえた。よーく聞こえた。だけど意味がわからない。魔王を倒すって。」

「王国よりも先に誰より先に魔王を討伐するんだよ。」

「えーー。?」

王国に呼ばれるほどだから確かに強いのかもしれないけれどそれにしたって無理だろう。
彼が戦えても自分は戦えない。自分になにができるのか。

考えた。考えに考えた。

気づけば日付が変わっていた。

そしてもう一つ外で音がすることに気がついた。

何だろう。ブンブンと何かを振り回すような音が聞こえる。

恐る恐る部屋から出て音がする方向に向かった。

そこにはシュウメイがいた。

木刀での素振り。

月の明かりに照らされて輝く汗がとても美しかった。

「あっ。」

シュウメイがこちらに気づく。

「もしかしてうるさかった?ごめんなさい。」

「いや、なんか眠れなかっだだけだよ。」

「‥‥本当は王国の騎士になりたいんじゃない?」

「なんで?」

「そこまでして強くなりたいっていうのはそれなりの理由が必要でしょ。」

「ある。それなりの理由なら。」

「?」

「王国の騎士になるよりユアさんと一緒にいた方がきっと多くの体験ができる。そういう確信がある。」

「そんなに期待されても困るんだけど。ただの鍛冶屋に。」

「ただの鍛冶屋じゃない。特別だよ。ユアさん。あなたは普通じゃない。」



「まあ、いいや。僕は寝るよ。シュウメイもあまり疲れすぎないように。うちに住むなら明日はしっかり働いてもらうからね。」

「はーい。」

そのあとはしっかりと眠ることができた。
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