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【番外編】

ティトの魔法学園の一日 13

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「「大事な、話……?」」

 二人の声が、そろう。

「うん、二人に聞いてほしいことが……」

 神妙に頷く俺に、二人は息を呑んだ。



「本当かっ、本当なのかっ、ティト!!!!」

「まさか、こんなに早く? でも嬉しいよっ! 3人でお祝いしよう!!」


 食べていたパンを放り出し、またファビオとオルランドが立ちあがって身を乗り出した。


「え……? 二人とも、どうして……」

 予想外の反応に驚く俺に、二人は目を輝かせた。


「わかってるよ、ティト! 私達に新しい家族が増えるんだろう?」

 オルランドが俺をまっすぐ見据える。


 ――ポチのこと、なんで知ってるんだ!!?


「さっそく名前を考えなきゃな!」

 ファビオが上気した頬で言う。


 ――いや、もう、名前は、あるんだけど……。



「じゃあ、二人は、反対したり、しないの?」

「反対? どうして? いったい何を反対するんだ?」

 ファビオが目を丸くする。


「ティト、心配しないで!
どちらの子どもだって、私たちは全身全霊込めて慈しんで育てるつもりだよ。ねえ、ファビオ」

 オルランドの言葉に、俺の頭の中ははてなマークでいっぱいになった。


「どちらの……、子ども……?」

 ――二人は、何を言っているんだ!?


「で、予定日はいつなんだ?」

「ああ、待ちきれないよ、早く私たちの可愛い赤ちゃんに会いたいな!」

 ーー赤、ちゃん??



「出産となると、さすがにアイツらにも報告しないとまずいかな?
兄貴たち、ティトのことになると目の色変わるから、会わせたくないんだよなー!」

 ーー出産!!??


「こっちだって同じようなものだよ。あの母上がここに現れないように、私がどれくらい腐心しているか知っているだろう?
 今日だって、ティトがお客様が来たっていうから、母上がついに乗り込んできたのかと肝が冷えたよ!」


「オルランドの母上くらい、可愛いもんじゃないか! あの兄貴たちは、スキあらばティトに閨教育したいっつー変態たちだぞ!
ああ、妊娠をネタに、またセクハラ案件が……」

 二人が頭を抱えだしたところで、俺はようやく二人が一体何を勘違いしているのかに気づいた。



「ちーがーうーっ!!!!」

 勝手に話を進めていこうとする二人に、俺は大声を出した。


「二人ともっ、いったい何を考えてるんだよっ!? 俺は男だよっ! 妊娠なんて、するわけないだろっ!!!!」

 ーー国の象徴である剣聖と大魔道士たるものが、どうしてこういう当たり前のことに気づけないのか……。ファビオとオルランドはたまにどうしようもなくおかしな思考回路になることがある……。


「だってさ、アレだけ毎日してたら、ひょっとしてって思うだろ!?」

 ファビオのぐうの音もでないほどの美しい顔。


「あれだけ私達に愛を注ぎ込まれたら、もしかしたら不可能も、可能に……」

 そして相変わらず、落ち着いた大人の魅力に満ちたオルランド。



 二人は俺の理想そのもので、誰よりも愛しくかけがえのない人たちだけど……、


 でもーー!!!!



「ならないっ!! そうじゃなくって、俺の話っていうのは、ペットを飼いたいってこと!!」

 
 ドサクサに紛れて、俺は二人についにポチの話を切り出すことができた!



 だが……、


 俺の目の前の二人は、みるみるうちにその瞳に絶望の色を浮かべた。



「ペット、だって!!?? ティト、いったい私達のどこに不満があるというんだっ!?」


「ひどいじゃないか、ティト! 君にとって俺たちなんて、所詮その程度の存在だったんだな!」




 ーー話はなぜか、また思いもしない方向へ向かっていくのだった……。












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