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第7章 時の思い出

命令は

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「はいはーい!」
1番最初に名乗りを上げたのは隼歌だった。
「隼歌。命令は?」
僕が隼歌に聞くと、隼歌は
「霊也君!一緒に映画見に行こー!」
なるほどなるほど。
「それはみんながハッピーになれるな。」
「2人でね」
隼歌がじとっとした目で僕を見てきた。2人で…。
「正気か?」
僕は真っ直ぐ隼歌を見つめた。
「僕と2人で映画なんて…。楽しくないぞ。」
僕がそう言うと、
「め、い、れ、い。何でも聞いてくれるんでしょ?楽しいと思うかどうかは私次第でしょ!?」
隼歌にそう言われ、
「分かった。」
そう返すしか無いのだった。








「…はい!」
次に手を上げたのは愛澄花だった。
「愛澄花、命令は?」
僕がそう聞くと、愛澄花は
「3日間お泊まり勉強会。」
なるほど…。
「僕抜きでみんなでお泊まりか!それはみんなが笑顔になれるな!」
「雨流射君も参加に決まってるじゃん。」
…。
「男だぞ?お前のお母さんとか許してくれないだろ…。」
愛澄花は首を振った。
「お母さんは雨流射君に恩義があるの。だから霊也君を絶対に優しく迎え入れると思うよ。」
愛澄花がニコッと笑った。そして一言、
「するよね?」
その笑顔で圧力がすごい雰囲気に僕は押されて、
「あ、あぁ。命令だもんな。断る気は無いからそんな目で見ないでくれ。あの時も怖かったんだ。お前の目が。」
あの時とはスピード違反の車がぶつかって死にかけた時である。
まぁ、みんながお泊まり会で、僕が参加して笑顔になれるのならそれでいい。僕は邪魔だと思うんだけどな…。







「はい!私からの命令いいですか?」
夢叶が手を上げた。
「夢叶はどんな命令だ?」
僕がそう聞くと、
「隼歌とちょっと被るかもだけど…ショッピングモールに行きたいな。」
「…み「もちろん霊也君と私の2人っきりでね。」
僕の言うことをを読んだように被せて夢叶は言ってきた。
「…分かった。命令だもんな。」
僕は遊びに行く時の服とかお金の量とか調べておこうと思うのだった。








「あとは未咲紀だけ…ど。」
未咲紀の方を見ると、未咲紀うーと唸っていた。
「どうした?」
僕がそう聞くと、
「悩ましくて…どんな命令にしようかと…。」
「1ヶ月ご飯を作るじゃないのか?」
と僕が聞くと、
「みんなの命令より普通だと思って…悩んでるの。」
別にみんなより断然に命令時間が長いしそういう意味では1番命令っぽいけど。
「別にいいんじゃない。」
僕は未咲紀の顔を覗いた。
「未咲紀が心からして欲しいことを言ってくれ。可能な限り僕は命令に答えよう。」
ニコッと僕は笑って言った…と思う。未咲紀は
「…そうよね!決めた!私は1ヶ月ご飯を作ってもらう!」
僕は笑って
「あぁ了解だ。」
真っ直ぐなところが未咲紀らしいと僕は思う。だから未咲紀にはうじうじして欲しくないな。
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