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第6章 谷海合 未咲紀の秘密
決意と猛炎
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僕は勢いよくドアを開けた。
「未咲紀!大丈夫か!?」
「びっくりしたぁー!いきなりなんなのさ。ノックぐらいしてよ!」
少しご立腹のようだ。…間に合ったのか?近くに人の気配はない。僕と未咲紀だけ…ということは…。
「はめられた…。クソ!」
僕は怒りを廊下の壁にぶつけた。
「ねぇ!いきなり人の部屋に入って来たと思ったら壁叩くってどういうこと?ちゃんと説明してよ!」
未咲紀もだいぶ怒っているようで、僕は順を追って説明した。
「お、お父様が…偽物…?」
未咲紀は力無くその場に座り込んだ。
「本物のお父様とお母様は死んでいる…?」
未咲紀の声がだんだんと絶望の声音に変わっているのをはっきりと感じた。
「あぁ。酷なのは分かってる…。でもそれは今、一旦置いとかなくちゃならない。」
と、僕がそう言った瞬間、
「何でなのよ!」
と近くにあった小型の時計を僕に投げてきた。僕は飛んできた時計を片手でキャッチした。
「何で一旦置いとくの…。そんなの無理よ。私はお父様もお母様も大好きだったのに…。一気に2人を失ってそれを置いとけ何て無理よ…。」
未咲紀の周りのカーペットはだんだん色が濃くなっていった。
「うぅ。」
僕が未咲紀の手を握ろうとしたその刹那、館が揺れ、僕は臭いを感じていた。
「!揺れ…た。それに…この臭いは…!」
僕は未咲紀の腕を掴んだ。
「未咲紀!立て!このままじゃ…お前も死ぬぞ!」
「いい!じゃあ死なせてよ!お父様達のところに行かせてよ!」
僕はそう叫ぶ未咲紀の頬を叩いた。
「立て!お前の両親を殺したあいつらが憎くないのか!お前は…谷海合家の娘だろ!プライドは無いのか!お前の両親が居なくなったなか、谷海合財閥を動かせるのはお前しかいないんだろ!!立て!抗え!どんな困難が待ち受けていても、どんな運命が待っていたとしても、」
僕は一呼吸置いて、
「お前のことは何がなんでも護ってやる!」
僕はそう叫んだ。未咲紀は目を見開き僕を見据えて言った。目からは大量の涙が零れていた。
「…うん…うん。そうだよね…。みんな殺したあいつらを見返してやらないと…私は死ねない!父と偽り、騙してきたあの男の手のひらの上で死ぬなんてありえない!」
未咲紀はさっきとは違う決意に満ちた目を僕に向けて言った。
「だから護って!霊也!あいつは私がぶっ飛ばす。それまで…
背中、預けたわよ?」
その宣言とお願いに僕は、
「あぁ、任せろ。」
と答えるのだった。
僕らは走った。奴がいるであろう外へ、僕らは全力で走った。そして、館の1番大きい玄関まで来た。だが僕らは出ることが出来ないかった。それは何故か、
燃え盛る炎が僕らを囲っているから。
「未咲紀!大丈夫か!?」
「びっくりしたぁー!いきなりなんなのさ。ノックぐらいしてよ!」
少しご立腹のようだ。…間に合ったのか?近くに人の気配はない。僕と未咲紀だけ…ということは…。
「はめられた…。クソ!」
僕は怒りを廊下の壁にぶつけた。
「ねぇ!いきなり人の部屋に入って来たと思ったら壁叩くってどういうこと?ちゃんと説明してよ!」
未咲紀もだいぶ怒っているようで、僕は順を追って説明した。
「お、お父様が…偽物…?」
未咲紀は力無くその場に座り込んだ。
「本物のお父様とお母様は死んでいる…?」
未咲紀の声がだんだんと絶望の声音に変わっているのをはっきりと感じた。
「あぁ。酷なのは分かってる…。でもそれは今、一旦置いとかなくちゃならない。」
と、僕がそう言った瞬間、
「何でなのよ!」
と近くにあった小型の時計を僕に投げてきた。僕は飛んできた時計を片手でキャッチした。
「何で一旦置いとくの…。そんなの無理よ。私はお父様もお母様も大好きだったのに…。一気に2人を失ってそれを置いとけ何て無理よ…。」
未咲紀の周りのカーペットはだんだん色が濃くなっていった。
「うぅ。」
僕が未咲紀の手を握ろうとしたその刹那、館が揺れ、僕は臭いを感じていた。
「!揺れ…た。それに…この臭いは…!」
僕は未咲紀の腕を掴んだ。
「未咲紀!立て!このままじゃ…お前も死ぬぞ!」
「いい!じゃあ死なせてよ!お父様達のところに行かせてよ!」
僕はそう叫ぶ未咲紀の頬を叩いた。
「立て!お前の両親を殺したあいつらが憎くないのか!お前は…谷海合家の娘だろ!プライドは無いのか!お前の両親が居なくなったなか、谷海合財閥を動かせるのはお前しかいないんだろ!!立て!抗え!どんな困難が待ち受けていても、どんな運命が待っていたとしても、」
僕は一呼吸置いて、
「お前のことは何がなんでも護ってやる!」
僕はそう叫んだ。未咲紀は目を見開き僕を見据えて言った。目からは大量の涙が零れていた。
「…うん…うん。そうだよね…。みんな殺したあいつらを見返してやらないと…私は死ねない!父と偽り、騙してきたあの男の手のひらの上で死ぬなんてありえない!」
未咲紀はさっきとは違う決意に満ちた目を僕に向けて言った。
「だから護って!霊也!あいつは私がぶっ飛ばす。それまで…
背中、預けたわよ?」
その宣言とお願いに僕は、
「あぁ、任せろ。」
と答えるのだった。
僕らは走った。奴がいるであろう外へ、僕らは全力で走った。そして、館の1番大きい玄関まで来た。だが僕らは出ることが出来ないかった。それは何故か、
燃え盛る炎が僕らを囲っているから。
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