転生したけど、自分は主人公じゃないはずだ

第一章

4-1.5 キャラ設定

ここは、通称『アシェブレ』の世界。

乙女ゲーム『アシェンブレーデルの奇跡～虹の花束を貴方へ～』とは、伯爵令嬢である主人公が『聖アレキサドリア学園』に入学するところから始まり、攻略対象のイケメンたちと親交を深めつつ、主人公らが学園を卒業するまでを描いた女性用疑似恋愛ゲームだ。

アシェンブレーデル国は王宮を中心として造られており、四方に自然豊かな国土を有する美しい国だ。
北方は他国との国境でもある険しい山々が連なっているが、南方には透き通るほどの美しい海が広がっており、船を使った交易は盛況、市場には様々な商品が溢れている為、観光地としても他国からの人気も高い。
…学園卒業後はぜひ外遊と称してあちこち見て周りたいものだ。

さて、このゲームの舞台となる『アレキサンドリア学園』とは…

貴族の子息令嬢が義務教育として、稀にみられる魔力を有した平民は望めば特待生として通うことが出来る。
学問や魔法技術を習得・向上させる為、学生たちが日々切磋琢磨している。
生まれが平民の者でも、実力が高ければ国の中枢で雇用されることは常識としてある為、学園のヒエラルキーは完全に実力(成績)主義で成り立っている。

とはいえ、親から受け継がれる魔力量はもとより、幼い頃からの徹底した英才教育による早熟さなどを鑑みれば、『実力＝身分』という図式が覆ることは滅多にない。

…と、学園についてはここまでにして、肩書きも性格も様々な設定がある攻略対象たちを復習がてらまとめてみることにする。






───攻略対象一人目。
【一番人気】『ウィリアム・ロイ・アレキサンダー王子』
攻略難度はＡ。

金髪碧眼、非の打ち所のない完璧ハイスペックキャラ。
この国の第二王子であり、国民からの人気も厚い。

婚約者:スカーレット・マナ・ハーヴェスト公爵令嬢。

王子という肩書きに対する重圧や第一王子との軋轢、王妃である母との確執も重なり、攻略対象の中では一番シナリオが重い。
学園のイベントを通して交流するうち、スカーレットが嫉妬から主人公をいじめている場面にたびたび遭遇。
愛情パラメーターが高くなると狭量な婚約者は国母に相応しくないと考えるようになり、ウィリアム王子がスカーレットとの婚約を破棄を決意する。
努力の末…王太子に指名され、後に主人公と結婚して幸せに暮らす。
…という乙女ゲームのテンプレ展開ではあるものの、女子の夢を詰め込んだウィリアム王子のハッピーエンドは根強い人気がある。

ちなみにバッドエンドは、スカーレットとの婚約破棄が認められず、主人公が不敬罪に問われ爵位剥奪・国外追放…最悪のパターンは何故か王妃が出てくるルートで王子を誑かした稀代の悪女として処刑されてしまう。

ここは他の攻略対象との愛情パラメーターの値の差などで別れてくる比較的わかりやすいルートだ。



───攻略対象二人目。
『エドワード・オーブ・ガルシア』
攻略難度はＢ。

黒髪に褐色の瞳を持つ、日本人に近い容姿の脳筋キャラ。硬派。
侯爵家次男かつ、騎士団長子息。

婚約者:マリアンヌ・イーダ・オルセウス伯爵令嬢。

光属性の補助魔法を得意とする主人公とは相性が良く、学園で行われるバトルイベントにペアで参加すると、勝手に愛情パラメーターがぐんぐん上がっていくといういかにも脳筋らしい仕様。
優柔不断な長男より優れているため、父である侯爵からの期待は高く、後継者としての立場を守りたい長兄との間で侯爵家を継ぐべきか悩んでいる。
エドワードも入学時点で既にマリアンヌと正式に婚約しており、主人公に対しての嫌がらせイベントは複数ある。
ちなみに、硬派ということもあり、エドワードルートでは婚約破棄はない。
…が、自身で用意していた主人公用の罠に嵌ってしまいマリアンヌが亡くなることで、主人公が婚約者になれる選択肢が解放される。
そこからは甘々ルートでハッピーエンド一直線だ。

しかしこのイベントでマリアンヌが生き残った場合、エドワードと結ばれるというハッピーエンドが不可能となってしまい、友情エンドもしくは国外追放のバッドエンドしかなくなる。


───攻略対象三人目。
『ゲイル・イーダ・オルセウス』
攻略難度はＡ。

緑の鮮やかな髪色にひまわりを思わせる明るい黄色の瞳持つ、派手な見た目の伯爵家長男。
エドワードとは真逆の軟派、いわゆるチャラ男。

婚約者:なし

主人公と幼なじみという設定からか、比較的どのルートでも頻繁に出没する。
更に他の攻略対象者のルートを進んでいても、ゲイルが一緒にいるタイミングでちょっと選択肢を間違えてしまうだけで、いつの間にかゲイルルートに突入していた…なんてことも多々ある。鬱陶しいレベルのおじゃま虫キャラだ。
しかし、博愛主義なゲイルは「他人なんて信用出来ない！」という…幼少時の境遇からくる設定のおかげで、攻略対象の中でも一番友情エンドの幅が広く、ハッピーエンドまで育てるのが難しいキャラでもある。
ちなみにバッドエンドは、ゲイルの幅広い交友関係を駆使した社交界追放＆伯爵家勘当…つまり、平民落ちエンド。
ゲイルルートに悪役令嬢はいないが…
ゲイル本人が悪役令嬢に近い役割を持っているというやりづらいルートだ。

正直…何故、主人公がゲイルと幼なじみでいられたのか不思議で仕方ない。



───攻略対象四人目。
平民ヒーロー『ゴードン・アグニ』

髪も瞳も赤く見た目は派手さに反し、あえてのクールキャラ。
入学した当時から常に学園トップの成績を維持している異例の天才児。
攻略対象中では唯一の先輩キャラで、学年は主人公のひとつ上。火属性が最も得意。転移スキル持ち。

150年ほど前、建国以来初めて平民から選ばれ歴代最強の魔術師団長として名を馳せたジン・グレゴリーの再来と期待されている。
風属性を得意としていたジンは魔術で天変地異をも起こしたとの逸話もあるのだが、それ以上の魔術師となれる可能性を秘めている。

幼い頃に両親は他界しており天涯孤独。
その為幼少期はかなり苦労したらしく、持ち前のハイスペックさも仇となったのか、火属性あるあるの熱血さは皆無。

攻略難度はチートキャラよろしく、まさかのＳ。
ちなみに、ゴードンルートのハッピーエンドは僕も見ていない。
他の攻略キャラと同じように考えていると痛い目を見るタイプで、むしろどの辺りにときめけばいいのか僕には分からなかった。
クーデレならまだしもデレがないのだ。
僕の選択が間違っているだけなのかもしれないが、正直クールを通り越して冷酷無慈悲と言ってもいいレベルだ。

バッドエンドは…
余計なフラグを立てたくないので書き残さないこととする。



【隠し攻略対象の可能性大】
精霊王『オファニエル』
青みがかった銀髪と、透き通るような青い瞳。中性的な完成されたイケメン。俺様キャラ。
全てにおいて謎。