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しおりを挟むよし、やる。
やると決めたら徹底的に煽る。アイツら本当、もう、なんか腹立つし。
普段であれば二人の前でなんて頼まれても恥ずかしがり屋のハルトヴィーツなら絶対にしないが、腹を決めたら絶対に完璧にやりとげるのもまたハルトヴィーツなのだ。
自分でする時は手なんて濡らさないが、煽る為に指をパクっと咥えてじゅるじゅると吸う。
右手、左手と交互にしながら、キスをするようにしたり、奉仕するように吸い上げたり、ペロペロと舌をわざと見えるように出して舐めた。
夢中になって手を舐めながら、時折二人の方をチラリと見ると、熱っぽい瞳を向けているのがわかる。作戦成功だ、と全く色っぽくないガッツポーズを頭の中ですると、手もびちゃびちゃに仕上がっていた。
足の間で待ち遠しいと言わんばかりに勃ち上がった自分自身を両手で掴む。
「…っん」
感じやすくなってしまった体は敏感で、少し触れただけなのに甘い声が漏れてしまって顔を赤らめた。
しまった、照れている場合じゃない。集中、集中。
片手でゆっくりと上下させて、もう一方の手で剥き出しになった先端を手のひらでこねるように優しく撫でると、電撃が走るように刺激が駆け巡った。
「んっ…ぁ」
濡れた手は少し滑りやすくて、気持ちが良かった。煽るためにしたけど、ラッキーだ。
快感を求めるように手を動かして、自分のいいところを探す。
ちゃんと艶かしく動かすようにして、二人を煽るのを忘れない。
「ん…ぁ、あ…んん」
だんだん気持ちよくなってきて、快感に酔ってきた。
目がとろんとして、夢中で触れていると、二人が食い入るように目の前でゴクッと息を飲んでいた。
「ち、近いぞ…」
見るのはいいけど、と小さく付け足して上目遣いでハルトヴィーツが二人を見ると、また喉が鳴るのが聞こえた。
「気持ちいいですか?」
ハルトヴィーツは問いかけるアトラスに、色っぽく微笑むと「気持ちいいよ」と答え、両手をベッドにつけると、勃ち上がった自分自身を見せつけるように腰を持ち上げて揺らす。
「見ろ。ほら、オレのえっちな液が我慢できずに先っぽから垂れてるだろ」
いつもなら憤死しそうな台詞だが、徹底的に煽ると決めたら容赦はしない。
恥ずかしい台詞だろうがなんだろうが言ってやる。
効果は抜群のようで、アトラスの息は荒く、獣のような瞳で顔を赤くしていた。
ハルトヴィーツはその様子に満足するように微笑むと、座り直してまた両手を自身に戻して動かす。
エミリオの方を見て、煽るように微笑むと両手で口を押さえて顔を真っ赤にしていた。
あ、あれ?引かれてるわけじゃないよな…?
少し不安になり、エミリオの股間に目をやるとしっかりとズボンが山に膨らんでいるのを確認できたので、ホッとした。
良かった、引かれてるわけじゃないらしい。
なら、いい。
「んん…っ、ぁ」
だらだらと溢れてくる液をくちゅくちゅとぬりつけるように指で先端を弄りながら、反対の手は昂りを導くように上下させてこする。
「ハル…」
愛おしそうに自分の名前を呼ばれると、体が反応するように感じてしまう。
「なに…っん、アトラス…ンん」
はぁはぁ、と熱い息を吐きながら見上げると、すっかりと発情した表情のアトラスがハルトヴィーツを見つめていた。
「触れたいです」
「だーめ」
ハルトヴィーツがいたずらに微笑むと、アトラスは「うっ」と、自分の胸のあたりを掴んだ。
エミリオが呻くように「うう…可愛すぎる…」と言っている。今のは可愛いらしい、わからん。
とにかく煽れているなら結果は上々だ。
「だって、お前ムカつく…っ、こんな体にしやがって…ぁ、ふ…、ところ構わず抱くくせに、オレがこんなに好きってぇっぁあ、言ってるのに信じないしっ、妬くくせに手放そうとっするしぃいっ」
「すみません、お叱りを受けているのはわかるんですが、可愛らしい声とそんな色っぽい姿で言われても全く言葉が入ってきません」
「ばかっ…お前、ばかだって…ぁ、言ってるんだ!!」
「そうですね、俺は馬鹿です」
「愛してるって…ぁあ、言ってるんだ!!」
「…っ、俺も愛しています、ハル」
「わかれば…いい、んんっ、近い!!」
「うう…、ハルぅ…」
ハルトヴィーツに怒られて、しゅんとするアトラスは待てをできなくて怒られた犬のようだ。
「あの、兄さま…僕は…触れちゃ、だめですか?」
もじもじと顔を赤くするエミリオは可愛くて、いいぞー!と、笑顔で即答したくなるのは長年溺愛し続けて染み付いてしまった兄ゆえなのかもしれないが、ここは心を鬼にして「だ、だめ…!」と、断る。ちょっと弱気な言葉になってしまったが、なんとか断ることができた。
なんか、エミリオちょっと嬉しそうに笑って可愛い可愛い言ってるけど、可愛いのお前だからな!!!
「エミリオは…っ、お前は、なんなんだよ…っ、オレが好きで抱いたんじゃないのか!?ぁ…っ、遠慮してんのか、後悔…っん、してるのかしらんが、離れるなんて…んんっ、許さないからな!後悔するくらいなら抱くなよぉ…っ、弟に見れない、だろ!」
「えっ、えっ、ごめんね、可愛すぎて何に怒られてるのかわかんない…っ」
「お前もかよ馬鹿!!愛してるって言ってんだよ!!!」
「~ッ!!!兄さま!!!」
「わっ!?ばか、誰が触っていいって…んんんん」
エミリオはガバッと飛びつくように抱きしめると、嬉しくてしょうがないとじゃれつくようなキスをする。ただし、濃厚。
「ん…ふ、ぁ…んんっ」
甘い刺激に翻弄されるように絡みつく舌に応えてしまう。快楽に弱くなってしまった思考は拒むはずだったものを簡単に受け入れてしまう。
ぴちゃぴちゃと唾液が混ざり合う音を室内に響せて、快感を味わうように舌を貪欲に絡ませ合う。
乱暴でも強引でもない、でも愛していると言われているようなキスは痺れるほどに官能的で唇が離れた後も余韻でうっとりとしてしまう。
「もう僕、兄さまを離してあげないからね。愛しているよ、兄さま…」
「お前に抱かれた時からお前のこと恋人として愛しているんだから、オレだって離してやれないんだよ、気づけよ、ばか」
「うん…!僕ばかだった!もう絶対に離さないよ!大好き兄さま!愛してる!!」
エミリオがぎゅーっと抱きついてきたので、応えるように抱きしめる。
抱きしめながら、アトラスに目をやると悔しそうな、耐えるような顔でこちらを見ていたので微笑んでエミリオの頭に頬を擦り寄せ、挑戦的に見てやると、アトラスは顔を真っ赤にしていた。
「ハル…」
切なげに名前を呼ばれる。
「なんだ」
それに気づかないような素振りで、微笑んでわざとらしく言うと、アトラスはぐっと一回言葉を飲んだが、意を決するような瞳で見つめると口を開いた。
「触れたいです。ハルを抱きたい、です」
苦しげで遠慮がちなくせに、意思が揺るぎないような声でアトラスが言う。
ハルトヴィーツは、ふっと息を出して笑うように魅力的な微笑みを浮かべて、誘うような甘い声で言葉を紡いだ。
「いいよ、愛してくれるなら」
「全身全霊で愛し尽くします」
アトラスの言葉に満足そうに微笑むと、ハルトヴィーツは両手を広げた。
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