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 「なあ、本当に一緒に入るのか?」


 決して狭いわけではないが、大人の男が3人入るにはやはり少し狭く気がする。
すっかりと脱がされてしまった裸体で、今更言うのもおかしいかもしれないが、脱衣所から風呂場を眺めながらハルトヴィーツは、2人に向かって言うと、エミリオはにこやかに、アトラスは複雑そうな顔でこちらを見た。


 「もちろん入るよ。だってそのつもりでここまで来たんだもん。もしかして嫌になっちゃった?」


 エミリオが首を傾げると、ハルトヴィーツは「嫌ってわけじゃない…」と言うと「良かった」と、手を引っ張って風呂場に連れて行かれた。
アトラスは、額に手をあてて大きなため息をついてから後に続いた。


 風呂場は蒸気でむわっとしていたが、床のタイルは冷たい。
ひんやりする足場を温めるように、足にかけ湯をしてから、椅子に湯をかけた。


 「エミリオから洗うか?」


 「ううん、兄さまから。僕、洗ってあげたい」


 「へ?」


 「兄さまのことを僕が洗うから、兄さまはアトラスを洗ってあげてよ」


 「そんな俺は…」


 アトラスは青い顔で首を横に振っている。ハルトヴィーツは、そんなアトラスをじっと見てから「洗う。アトラスを洗いたい」と、アトラスの手を掴んで、有無を言わせずに自分の前に座らせた。
エミリオはそんな様子を微笑ましそうに眺めてから、ゆっくりとハルトヴィーツの後ろに立った。


 石鹸をあわあわに泡立てると、ハルトヴィーツはアトラスの筋肉のついたたくましい背中に、ふんわりとした泡を持ち上げてそっと触れた。
アトラスがチラリと困ったような視線を一瞬こちらを送るのが見えた。
ゾクッとなんとも言えない気持ちがこみ上げてきて、ハルトヴィーツは急にドキドキとしてきた。


 「洗う、からな」


 自分にも言い聞かせるようにハルトヴィーツは言ってから、ゴクッと息をのんで両手で泡を広げるようにゆっくりとゆっくりと手を動かした。
洗ってるだけなのに、なんだかすごく悪いことをしている気分だ、とハルトヴィーツは心の中で思った。



 ふわふわした泡を時々足しながら、鍛えられた体に触れるたびに艶かしく体が光って見えて色っぽい。
こんなことを考えているのはおかしいのだろうか、と思いながらハルトヴィーツは自分の気持ちを隠しながら懸命に洗った。


 「兄さまの背中洗い終わったよー、兄さまはどう?終わった?」


 ひょこっとエミリオの顔が急に目の前出てきて、ハルトヴィーツは心臓が飛び出すかと思うほどにびっくりした。


 「え!?あ、ああ。終わった」


 誤魔化すように何度もコクコクと頷くと、エミリオはニコッと笑って「じゃあ今度はアトラス、兄さまの方向いて。向かい合うようにして」


 アトラスが困ったような表情でハルトヴィーツの方に向き直る。
さすがに腰にタオルをかけているから目のやり場に困るというわけではないが、さっきからの妙なドキドキのせいで体が直視できない。


 「兄さま、洗うよ」


 耳元でエミリオが息のかかる距離で囁いて、体がビクッと震えた。


 「わかっ、た」


 なんとか甘い声になりそうなのを堪えて答えると、ハルトヴィーツも泡を手に取ってアトラスの体に触れていく。
背中を洗っている時とは違い、アトラスの視線が自分に向いていることに気づいて、体が熱くなるような気がした。


 「ひゃっ」


 エミリオが背中から抱きつくように手を回すと、ハルトヴィーツの鎖骨の辺りに泡をつけて優しく撫でた。
滑らすように胸や腹を触られると、先程のドキドキとした気持ちのせいか、気持ちよく感じてしまう。


 「兄さま、手が止まってるよ。ほら、アトラスが待ってるよ」


 「ん…っ、ぁ…まって…?」


 甘い刺激のせいでぼんやりとしてきた思考で言われたことを追いかけるように復唱すると、ハルトヴィーツは、アトラスを見上げるように見た。
潤んだ視界には、さっきまでとは違い熱っぽい瞳でアトラスが自分を見ていることに気づき、恥ずかしくてどうにかなりそうだと思った。


 「えみり…っ!やぁ、だ…ヘンになる」


 「大丈夫だよ、兄さま。気持ちよくなってるだけだよ。ほら、ココ見て?」


 エミリオに促されて、エミリオの指を目で追うと腰にあるタオルが足の間にあるモノが形を作ったために持ち上がっていることがわかる。
かあぁ、と顔がますます赤くなって、とっさに隠そうとするのをエミリオにやんわりと止められた。


 「隠しちゃだめ。もっと気持ちよくしてあげるね、兄さまの可愛い姿もっと見たいな」


 「だめ、だ…」


 「だめ?ほんとに?」


 タオルが山になっている頂をエミリオが人差し指でちょんと触れると、ハルトヴィーツは声を出して震えた。


 「兄さまのウソつき」


 エミリオは意地悪く微笑むと、タオルの下に手を滑りこませると、問答無用でハルトヴィーツの昂ったモノを握りこむと容赦なく上下に動かした。


 「ぁ…ああぁ、だめだっ、そんなことしたら…」


 「はじめて触っちゃった、兄さま…気持ちいい?さっきよりも硬くなってきてる…嬉しいな」


 刺激が欲しかったところに、手で直接与えられる快感は気持ちよくてすぐにでも理性が飛びそうになる。
グラつく体をアトラスの腿を掴むように手で支えると、アトラスに肩を掴まれて奪われるようにキスをされた。


 「んんっ、ぁんんん…」


 絡みつく舌は刺激的で、求められるままに絡め合い熱にのぼせるように頭は快感以外何も考えられそうにない。
巧みに動くエミリオの手と激しく口内で動き回るアトラスの舌に犯されながら、ハルトヴィーツは乱れながら爆ぜるように欲望を散らした。
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