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ケンと魔法の虫眼鏡
しおりを挟む5歳の少年ケンは、お父さんとお母さんと一緒に、にぎやかで温かい家に暮らしていました。
最近、お母さんのお腹に赤ちゃんがいることがわかり、家族は新しい命の誕生に胸を躍らせていました。
しかし、お母さんは赤ちゃんを産むために静かな場所で過ごす必要がありました。
そこで、ケンとお母さんは、おじいちゃんの家に遊びに行くことにしました。
おじいちゃんの家は広い庭があり、ケンにとっては楽しい冒険の場所でもありました。
ある日の朝、ケンはお母さんと一緒に朝食をとりながら、お父さんとお母さんの会話を聞いていました。
「お父さん、お母さん、今日は何をするの?」
「今日は、おじいちゃんの家に行くのよ。お母さんのお腹の赤ちゃんが産まれるまで、しばらくおじいちゃんの家で過ごすことにしたの」
「おじいちゃんの家かあ!庭が広くて楽しそうだね!」
ケンが目を輝かせました。
「そうだね、ケン。おじいちゃんの家にはたくさんの楽しい場所があるんだ。きっと君も楽しめるよ」
お父さんが笑顔で言いました。
「おじいちゃんもケンに会えるのを楽しみにしているから、いっぱい遊んでおいで」
お父さんが優しく言いました。
ケンは好奇心旺盛で、いつも新しい発見を楽しみにしていました。
彼は小さな体に無限のエネルギーを持ち、冒険心に満ちていました。
そして、おじいちゃんの家に行くことを考えると、胸がわくわくしてたまりませんでした。
庭にはどんな宝物が隠れているのか、どんな冒険が待っているのか、彼の心は期待でいっぱいでした。
おじいちゃんの家に着いたケンとお母さんは、玄関先でおじいちゃんに迎えられました。
「おじいちゃん、久しぶり!」
ケンは笑顔で駆け寄りました。
「やあ、ケン。元気にしてたかい?」
おじいちゃんは優しくケンを抱きしめました。
「お父さん、しばらくお世話になります。ケン、いい子にしてるのよ」
「ケン、一緒に楽しく過ごそうな」
おじいちゃんの家に到着すると、ケンは早速探検気分で家の中を駆け回りました。
おじいちゃんの家には、ケンが大好きな冒険の匂いが詰まっていました。
ケンは楽しくなって、自然と鼻歌を歌いながら家の中を探索し始めました。
「♪ラララ、冒険の匂いがする、ラララ♪」
ケンは楽しそうに鼻歌を歌いながら、家の中を駆け回りました。
書斎に足を踏み入れると、ケンは目を輝かせました。
「うわあ、ここにはすごいものがたくさんある!」
古い本がびっしりと並び、地図が壁に貼られ、奇妙な道具が棚に置かれていました。
「この本、すごく古いなぁ…どんなことが書いてるのかな?」
ケンは一冊の古い本を取り出し、ページをめくりながらつぶやきました。
「それに、この地図…おじいちゃんが冒険した場所なのかな?」
ケンは壁に貼られた地図を見つめながら考えました。
ふと、部屋の隅にほこりをかぶった古い箱が目に入りました。
「え?あの箱には何が入ってるんだろう?」
ケンはその箱に興味を引かれ、慎重に近づいてみました。
箱を開けると、その中には金色の縁取りが施された古めかしい虫眼鏡が入っていました。
「なんだこれ…すごく古い虫眼鏡だ!」
ケンは手を伸ばして虫眼鏡を取り出し、その重さと冷たさを感じました。
「この虫眼鏡、何か特別なものなのかな…」
ケンは虫眼鏡を手に取り、光にかざしてみました。
ガラス越しに見える景色が少し歪んで、キラキラと輝いて見えました。
ケンはますます興味をそそられ、虫眼鏡を持ったまま書斎を後にしました。
新しい発見に胸を膨らませました。
「♪ラララ、不思議な虫眼鏡、何が見えるかな、ラララ♪」
ケンは楽しそうに鼻歌を歌いながら、庭に向かいました。
ケンは虫眼鏡を通して見る世界が、どのように変わるのか興味津々で庭を歩き回りました。
庭に出たケンは、おじいちゃんを見つけました。
おじいちゃんは花壇の手入れをしていました。
「おじいちゃん、この虫眼鏡、書斎で見つけたんだ。これは何?」
ケンが虫眼鏡をおじいちゃんに見せながら尋ねました。
おじいちゃんは虫眼鏡を見て、優しく微笑みました。
「おお、その虫眼鏡はとても古いものなんだ。私が若い頃に使っていたものだよ。この虫眼鏡を通して見ると、普通の景色が少し違って見えるんだ。」
「どうしてそんな風に見えるの?」
ケンがさらに興味を持って尋ねました。
「それはね、この虫眼鏡にはちょっとした魔法がかかっているんだよ」
「魔法?」
ケンの目が輝きました。
「そうだよ。この虫眼鏡を通して見ると、普段は見えないものが見えるようになるんだ。例えば、庭に住む小さな妖精や、話す花たちがね」
おじいちゃんが説明しました。
「ほんとうに?それってすごい!」
ケンは興奮して虫眼鏡をもう一度覗き込みました。
「さあ、ケン。虫眼鏡を持って庭を探検してみなさい。きっと素晴らしい冒険が待っているよ」
ケンは虫眼鏡を手に持って、胸を高鳴らせながら庭の中を歩き始めました。
彼の目の前に広がる魔法の世界は、想像を超えるものばかりでした。
「♪ラララ、魔法の庭、何が見えるかな、ラララ♪」
ケンは楽しそうに鼻歌を歌いながら歩き回りました。
虫眼鏡を通して見る世界は、普段の庭とはまるで違うものでした。
花々は鮮やかな色で輝き、葉っぱの間から小さな光がちらちらと見えました。
ケンがその光を追いかけると、突然、羽のある小さな少女が現れました。
美しい羽を持ち、光り輝く衣を纏った小さな少女でした。
「やっほー!こんにちは。君、誰?」
小さな少女が問いかけました。
「僕はケン。おじいちゃんの家に遊びに来たんだ」
ケンは驚きながらも答えました。
「ふーん、ケンっていうんだ。私はティア。君は何してるの?」
ティアが興味津々に尋ねました。
「僕は虫眼鏡を使って、庭を探検してるんだ。ティア、君はここで何してるの?」
ケンが聞き返しました。
「私はこの庭に住んでるの。毎日いろんなものを見つけるのが楽しいんだよ。でもね、特におしゃべりな花たちがいる場所があって、そこに行くと楽しいお話ができるの」
ティアが目を輝かせて言いました。
「おしゃべりな花たち?それってどこにいるの?」
ケンが興味津々に尋ねました。
「こっちだよ、ケン。私が案内してあげる!」
ティアがケンの指を引っ張りながら言いました。
「ありがとう、ティア!行ってみたい!」
ケンはワクワクしながら答えました。
ティアはケンの指を取り、庭の奥へと導きました。
草むらや花壇を抜け、光が差し込む美しい小道を進むと、やがておしゃべりな花たちが集まる場所にたどり着きました。
「ここがおしゃべりな花たちの場所だよ。みんなすごく賢くて、たくさんのことを知ってるんだ」
ティアが誇らしげに言いました。
ケンはその光景に目を見張り、心が躍るのを感じました。
「ほんとうだ、すごい!花たちが話してる!」
「うん、話してるんだよ。ケン、みんなに挨拶してみて!」
ティアがにっこりと笑いました。
ケンは期待に胸を膨らませながら、おしゃべりな花たちに近づきました。
「こんにちは、僕はケン。君たちのこと、教えてくれる?」
ケンが優しく尋ねました。
ケンは楽しさで胸がいっぱいになり、自然と鼻歌を歌い始めました。
「♪ラララ、おしゃべりな花たち、何が話せるかな、ラララ♪」
花たちは一斉に花びらを揺らしながら答えました。
「こんにちは、ケン!私たちはこの庭に住む花たちだよ。君はどこから来たの?」
「僕はおじいちゃんの家に遊びに来てるんだ。君たちはここでどんなことをしてるの?」
ケンが興味津々に尋ねました。
「私たちは毎日、太陽の光を浴びて風に揺られて、楽しいおしゃべりをしているの。お互いのことを話したり、庭で起こった出来事を共有したりしているよ」
「それって楽しそうだね!僕も君たちと話すのが楽しいよ」
「私たちもケンと話せて嬉しいよ。ねえ、ケンはどんなことが好きなの?」
「僕、探検するのが大好き!おじいちゃんのお話を聞くのも楽しいし、歌を歌うのも大好きなんだ!」
「探検かぁ、素敵だね。私たちも庭の中を探検するのが大好きだよ。ケンと一緒に探検したら、もっと楽しいかもね」
「それはいいね!一緒に探検しようよ。あ、そうだ。君たちはどんなことが楽しいの?」
「私たちは雨の後のしずく遊びが大好きだよ。葉っぱの上の水滴を転がしたり、お互いにしずくを飛ばして遊んだりするんだ」
「それ、楽しそう!僕も一緒にやってみたいな」
「ケン、君はとっても楽しい人だね。私たちも君と一緒に過ごせて幸せだよ」
花たちがにっこり笑いました。
ケンは花たちと一緒に過ごす時間を心から楽しんでいました。
彼は花たちといろんな話をし、庭の中での楽しい出来事を共有しました。
ケンは楽しさで胸がいっぱいになり、自然と鼻歌を歌い始めました。
「♪ラララ、花たちと、お話楽しいな、ラララ♪」
「君たちといると、本当に楽しいよ。ありがとう」
ケンが感謝の気持ちを伝えました。
「私たちもケンと友達になれて嬉しいよ。これからもたくさんおしゃべりしようね」
ケンと花たちはその後も楽しい会話を続け、仲良くなることができました。
彼らはお互いのことをもっと知り、友情を深めていきました。
ケンと花たちはすぐに仲良くなり、庭で楽しい時間を過ごしていました。
しかし、花たちは少し悩んだ表情を浮かべ、ケンに相談を持ちかけました。
「ケン、ちょっと相談があるんだけど…」
花たちが一斉に話し始めました。
「どうしたの?何か困っていることがあるの?」
ケンが心配そうに尋ねました。
「実はね、私たちの王様がずっと寝てばかりで、全然起きてくれないの。私たちは一緒に遊びたいんだけど、どうしても目覚めてくれなくてさみしいんだ」
花たちが悲しそうに言いました。
「花の王様が寝てばかりいるんだね…それは困ったことだね。どうすれば起きてくれるのかな?
ケンが考え込むように言いました。
「私たちもいろいろ試したけど、全然効果がなくて…ケンなら何か良い方法を思いつくかもしれないって思ったんだ」
花たちが期待を込めて言いました。
ケンは花たちのために何とかしてあげたいと思い、一生けんめいに考え始めました。
ケンはどうすれば花の王様を目覚めさせることができるのかを考えました。
その時、ケンはティアが近くにいるのに気づきました。
「ティア、君も一緒に考えてくれる?」
ケンが尋ねました。
「もちろんだよ、ケン。私も王様が目覚めるのを手伝いたい」
ティアは優しく微笑み、答えました。
ケンとティアは花たちの周りに座り込み、どうすれば王様を目覚めさせることができるかを話し合いました。
「どうやったら王様を起こせるかな…?」
ケンが悩みながら言いました。
「特別なダンスを踊るのはどう?」
ティアが提案しました。
「ダンスか…それはいいアイデアだね!みんなも一緒に踊ってくれる?」
ケンが花たちに尋ねました。
「もちろん!私たちも一緒に踊って王様を目覚めさせたい!」
花たちが楽しそうに答えました。
ケンとティア、そして花たちは、花の王様を目覚めさせるために特別なダンスを踊ることにしました。
まずはみんなで練習をすることにしました。
みんなで手を取り合い、楽しいリズムに合わせて踊り始めました。
しかしケンはこれまでにダンスを踊ったことがなく、どうしても上手に踊れませんでした。
彼の足は何度ももつれ、踊りのリズムに乗ることができません。
花たちやティアが軽やかに踊る姿とは対照的に、ケンの動きはぎこちなく感じられました。
「うーん、うまく踊れない…」
ケンはがっかりして立ち止まりました。
ティアはケンのもとに駆け寄り、優しく肩にそっと乗りました。
「大丈夫だよ、ケン。誰でも最初はうまくできないものだよ。私も最初は全然踊れなかったし、花たちもね。」
「ありがとう、ティア。でも、僕、ダンスが苦手なんだ…」
ケンは少し元気を取り戻しながら、言いました。
「わかるよ、ケン。でも、君には他にも素晴らしい才能があるよ。例えば、君の歌声は本当に素敵だと思うよ。」
ティアはケンを優しく慰めました。
ケンはティアの言葉に少し元気を取り戻しました。
「歌…そうだね、僕は歌が好きだよ!」
その時ティアがひらめきました。
「そうだ!歌を使って王様を目覚めさせるのはどう?」
ケンはその提案に興味を持ちました。
「それはいいアイデアかも!僕の歌で王様を起こせるかな?」
「うん、きっとケンの歌声は王様の心に響くよ。だから、試してみよう!」
ケンとティア、そして花たちは、ケンの歌声が王様の心に響くことを信じて、次の挑戦に向けて準備を始めました。
ケンとティア、そして花たちは、花の王様を目覚めさせるために、どんな歌を歌えばいいのか相談を始めました。
「どんな歌を歌えばいいんだろう?」
ケンが疑問を口にしました。
「うーん、明るくて元気な歌がいいかもね」
ティアが提案しました。
「そうだね、元気な歌なら王様の心に響くかも!」
ケンが同意しました。
「私たちの庭の歌を歌ってみたらどうかな?」
花たちが提案しました。
「庭の歌?どんな歌なの?」
ケンが興味津々に尋ねました。
「それはね、庭に咲く花々や草木のことを歌った歌なんだよ。毎朝、太陽の光を浴びながら歌うんだ」
花たちが説明しました。
「それはいいね!でも、ほかにも何かいい歌があるかな?」
ケンが考え込むように言いました。
「うーん、どうしよう…何が一番王様に響くかな?」
ケンは頭をかかえました。
「もしかして、おじいちゃんが教えてくれた歌を歌ってみたらどうかな?」
ケンがふと思いついて言いました。
「それはどんな歌なの?」
ティアが興味津々に尋ねました。
「それはね、とても特別な歌なんだ。でも、王様が目を覚ますかはわからないな…」
ケンが少し不安そうに言いました。
「じゃあ、いろんな歌を試してみたらどうかな?王様のところに行って、いろんな歌を歌うっていうのは?」
ティアが提案しました。
「それはいいアイデアだね!」
ケンが笑顔で答えました。
「よし、それじゃあみんなで王様のところに行って、いろんな歌を歌ってみよう!」
ティアが楽しそうに言いました。
ケンとティア、そして花たちは、王様を目覚めさせるためにいろんな歌を試してみる決心をしました。
みんなで手を取り合い、王様のもとへ向かいました。
彼らはさまざまな歌を用意し、王様のそばに立ちました。
まずは、ティアが提案した明るくて元気な歌から始めることにしました。
ケンは深呼吸をして、元気いっぱいに歌い始めました。
ケンは笑顔を浮かべながら、リズムに合わせて元気よく歌いました。
ティアと花たちも一緒に手を叩いたり、軽やかに踊ったりして、盛り上げました。
しかし、王様は目を覚ます気配がありませんでした。
ケンは少しがっかりしながら、つぶやきました。
「元気な歌でもダメみたい…」
次に、花たちが提案した庭の歌を歌うことにしました。
ケンは花たちから歌を教わり、優しいメロディーで歌い始めました。
ケンの声は柔らかく、メロディーは穏やかで心地よいものでした。
花たちも一緒にメロディーに合わせて揺れ、歌の響きに耳を傾けました。
しかし、王様は依然として目を閉じたままでした。
「庭の歌でも効果がないみたい…」
ケンはますます悩みました。
「おじいちゃんが教えてくれた特別な歌を歌ってみてはどう?」
ティアが提案しました。
「わかった、やってみるよ」
ケンは深呼吸をして、おじいちゃんに教わった特別な歌を歌い始めました。
「♪星が輝く夜空の下で
夢見る花たちよ、目を覚まして
静かな風が歌うメロディ
君の心に届くように
光る夜空に願いを込めて
優しい夢を君に届け
花たちよ、目を覚まして
新しい朝が君を待ってる♪」
ケンが歌い終わると、王様の大きな花がゆっくりと動き始めました。
花びらが優雅に開き、王様が目を覚ましたのです。
「なんだか気持ちの良い歌が聞こえたような…」
王様は目をこすりながら、つぶやきました。
ケンとティア、そして花たちは喜びの声を上げました。
「やったね、ケン!王様が目を覚ました!」
「本当に良かった。みんなの助けがあってこそだよ」
ケンは笑顔で答えました。
王様が目を覚ましたことに大喜びしたケンとティア、そして花たちは、王様と楽しくお話をすることにしました。
「ケン、もう一度あの素敵な歌を歌ってくれるかい?」
王様がお願いしました。
「もちろんだよ、王様!」
ケンはにっこりと笑い、再び歌い始めました。
「♪星が輝く夜空の下で
夢見る花たちよ、目を覚まして
静かな風が歌うメロディ
君の心に届くように
光る夜空に願いを込めて
優しい夢を君に届け
花たちよ、目を覚まして
新しい朝が君を待ってる♪」
王様は優しく微笑みながら、ケンの歌を聞いていました。
「ケン、その歌はどこで知ったんだい?」
王様が尋ねました。
「おじいちゃんに教えてもらったんだ。小さい頃からずっとおじいちゃんが歌ってくれてたんだよ」
ケンが答えました。
「そうか…おじいちゃんのお名前は?」
王様が続けて尋ねました。
「おじいちゃんの名前は健太郎だよ」
ケンが教えました。
「健太郎か…彼は昔からの友人なんだ。素晴らしい人だよ」
王様は納得したように頷き、言いました。
「おじいちゃんが友達だったんだね!」
ケンは驚きました。
その後、王様とケンたちはしばらく楽しい会話を続けました。
ケンは自分のことや家族のことを話しました。
「もうすぐ赤ちゃんが生まれるんだ。僕、お兄ちゃんになるんだよ」
ケンが嬉しそうに話しました。
「それは素晴らしいことだね、ケン。お兄ちゃんになるなんて、とても誇らしいことだよ」
王様が微笑みました。
その時、おじいちゃんの声が聞こえてきました。
「ケン、もう晩御飯の時間だよ!」
ケンは王様に別れを告げる時間が来たことを悟りました。
「王様、僕もう行かなきゃ。晩御飯の時間なんだ」
王様はケンに優しく微笑みながら、小さな帽子を手渡しました。
「これは赤ちゃんにあげるように。元気に育つようにという願いが込められているよ」
「ありがとう、王様。本当にありがとう」
ケンは感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。
「また遊びに来てね、ケン。楽しかったよ!」
ティアもケンに微笑みながら言いました。
「ケン、ありがとう。また来てね!」
花たちも一斉に揺れながら、別れの言葉をかけました。
王様は最後にケンに向かって優しく言いました。
「またいつでも会えるよ、ケン」
ケンはティアと花たちに別れを告げ、おじいちゃんの声が聞こえる方へと向かいました。
晩御飯の時間になり、ケンはテーブルに座って、お母さんとおじいちゃんと一緒に食事を始めました。
お母さんは優しくケンに微笑みかけました。
「ケン、今日はどんな一日だった?」
おじいちゃんが尋ねました。
「すっごいことがあったんだよ!」
ケンは目を輝かせながら、答えました。
「まあ、何があったのかしら?」
お母さんが興味津々に尋ねました。
「まずね、おじいちゃんの書斎で不思議な虫眼鏡を見つけたんだ。その虫眼鏡を通して見える世界が、まるで魔法のように変わるんだよ」
ケンが説明しました。
「それからね、小さな妖精のティアと出会って、彼女がおしゃべりな花たちがいる場所に案内してくれたんだ」
ケンが続けました。
「妖精のティア?」
お母さんが驚いた様子で聞きました。
「うん、ティアはすごく可愛くて、おしゃべりな花たちもすごく楽しかったんだ。それでね、花たちの王様がずっと寝てばかりで困ってるって言われて、僕たちで王様を起こす方法を考えたんだ」
ケンが言いました。
「それで、どうやって起こしたんだ?」
おじいちゃんが興味深げに尋ねました。
「最初はいろんな歌を試してみたんだけど、どれもダメで。でも、最後におじいちゃんに教えてもらった特別な歌を歌ったら、王様が目を覚ましたんだ!」
ケンが興奮気味に話しました。
「そうか、あの歌が王様を起こしたんだね」
おじいちゃんが感心しました。
「王様はおじいちゃんの友達だったんだって。昔からの友人なんだって」
ケンが教えました。
「へえ、そうだったんだ」
お母さんが驚きました。
「それだけじゃないんだ。王様がね、赤ちゃんにあげるようにって可愛い帽子をくれたんだよ。元気に育つようにという願いが込められているんだって」
ケンが言いました。
「それは素晴らしいプレゼントだわ、ケン」
お母さんが微笑みました。
「ありがとう、ケン。今日はとても楽しい話を聞かせてくれて」
おじいちゃんが感謝の意を示しました。
「またいつでも王様やティアたちに会えるんだ。今日は本当に楽しかったよ」
ケンは満足そうに微笑みました。
その晩、ケンはベッドに入ると、昼間の冒険を思い返しました。
魔法の虫眼鏡、妖精のティア、そしておしゃべりな花たち。
彼らとの出会いがケンの心に深く刻まれていました。
ケンは王様の微笑みを思い浮かべながら、赤ちゃんに贈る可愛い帽子を手に取りました。
その帽子には、元気に育つようにという願いが込められていることを思い出し、温かい気持ちになりました。
「今日のは本当に楽しかったな…」
ケンは心の中でつぶやきました。
目を閉じると、ティアや花たち、そして王様と過ごした時間が鮮明に蘇りました。
楽しい会話、笑顔、そして歌。
すべてが特別で、かけがえのない思い出として心に残りました。
「また会えるんだ…」
ケンは静かに微笑みながら、深い眠りにつきました。
その日の出来事は、ケンの心に刻まれ、彼を温かく包み込みました。
魔法の虫眼鏡が見せてくれた冒険は、ケンにとって大切な思い出となりました。
新しい朝が訪れるたびに、ケンはその素晴らしい経験を胸に抱き、また新たな冒険へと旅立つことでしょう。
完
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