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本編
ほのぼのちょい話 3「ユキの失敗」
しおりを挟む(今日からうち、東京生活や!)
中学一年生になったユキの母と父との東京での三人暮しが始まった。
きっと、東京には楽しいことが沢山ある!
と信じて、今日から始まる東京生活の不安を払っていた。
秋田より人が多い。
秋田より物がすごい。
秋田より凄いことがいっぱいある。
秋田より……秋田より……
(けんちゃん…………)
秋田のことを考えると、やはり思い浮かんでしまう。
(いけねいけね。けんちゃんと約束したんだべ!絶対迎えに来てくれるっぺ!)
よしっ、と気合を入れ直した。
「あ、そだ!けんちゃんが来る時には美味しいご飯食わせてやりたいべ!うち、料理……シチューでもつくってみっぺ!」
ユキの、けんちゃんがシチューを食べてくれた時の妄想が始まった。
「これ、おらのために作ってくれたんだが!?すんげぇうめぇ!ユキ、おらユキのこと好きだ!」
(なんてことになんないべか~!)
ユキは少しにやけていた。
初めての料理スタート。
(えっと、ニンジンは……乱切り?乱切りってこうだべか……。クリーム!?シチューってクリーム入ってんだべが!あ!?シチュー焦げてるべや!?)
そして出来た初めてのシチューは……
「最悪だべ…………。」
野菜の切り方もバラバラで、オマケに焦げてしまったシチュー。
(で、でも料理は見た目より味が大切だっぺよ!)
味見。ぱくっ。
……
…………!?
(美味しくないだべさ!?)
全く美味しくなかった。酷すぎる。人になんか食べさせられないレベルに。
(ど、どうすっぺ。こんなんじゃ、けんちゃんが食べてくれた時……)
『シチュー?こんなんが?全然美味しくないべ。ユキなんて嫌いだ……。』
「あぁぁぁぁ!そんなのいやだべよぉぉぉぉ!?」
その日から、ユキの料理の特訓は始まったのであった。
ちょい話 3 おわり。
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