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プロローグ
プロローグ 電車に揺られて
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季節は春。
カタンコトンと心地よく響く音の中、一人の男子が電車に揺られながら寝ていた。
ーーーー『うちがトーキョーさ行ってもうちのこと忘れないでけろ!?』
可愛らしい少女が涙を流しながら言った。
まだ小学生だった僕は、泣きじゃくって枯れそうな声を振り絞った。
『おら、やくそくする!ぜってぇ…ぜってぇユキのことトーキョーまでむかいにいぐ!』
涙が溢れてくる。
『ほんと…?』
ユキはしゃくりあげながら聞いた。
『約束するっ!』
キー………
駅に電車が止まった。
ユキが乗る電車だ。
『うち、けんちゃんが…けんちゃんがだいすきだ!!!』
『ユキっ!』
シュー…
電車が音をたてた。
ユキが行ってしまう合図だ。
『うち、どんなにつらくでも、どんなにさびしくでも、けんちゃんのことおもいだして頑張る!』
『ユキっ!!!』
小学生だった僕には、なんて答えてあげればいいかなんて分からなかった。
『何日たっでも、何年たっでもずっとずっと!』
『うち、けんちゃんのこと、待ってんべ!』ーーーーーー
「……きゃくさん。お客さん。」
目を覚ますと、電車は止まっていた。
「着きましたよ、お客さん。ほら、降りて下さいな。」
いつの間にか電車の中は僕と車掌さんだけだった。
「す、すまねぇですっ!」
急いで膝の上に広げた東京のパンフレットとお母さんが握ってくれたおにぎりのアルミホイルをバックに無理やり詰め込んだ。
そして、田舎あるあるの古いリュックサックをしょって
初めての東京に足を踏み入れた。
カタンコトンと心地よく響く音の中、一人の男子が電車に揺られながら寝ていた。
ーーーー『うちがトーキョーさ行ってもうちのこと忘れないでけろ!?』
可愛らしい少女が涙を流しながら言った。
まだ小学生だった僕は、泣きじゃくって枯れそうな声を振り絞った。
『おら、やくそくする!ぜってぇ…ぜってぇユキのことトーキョーまでむかいにいぐ!』
涙が溢れてくる。
『ほんと…?』
ユキはしゃくりあげながら聞いた。
『約束するっ!』
キー………
駅に電車が止まった。
ユキが乗る電車だ。
『うち、けんちゃんが…けんちゃんがだいすきだ!!!』
『ユキっ!』
シュー…
電車が音をたてた。
ユキが行ってしまう合図だ。
『うち、どんなにつらくでも、どんなにさびしくでも、けんちゃんのことおもいだして頑張る!』
『ユキっ!!!』
小学生だった僕には、なんて答えてあげればいいかなんて分からなかった。
『何日たっでも、何年たっでもずっとずっと!』
『うち、けんちゃんのこと、待ってんべ!』ーーーーーー
「……きゃくさん。お客さん。」
目を覚ますと、電車は止まっていた。
「着きましたよ、お客さん。ほら、降りて下さいな。」
いつの間にか電車の中は僕と車掌さんだけだった。
「す、すまねぇですっ!」
急いで膝の上に広げた東京のパンフレットとお母さんが握ってくれたおにぎりのアルミホイルをバックに無理やり詰め込んだ。
そして、田舎あるあるの古いリュックサックをしょって
初めての東京に足を踏み入れた。
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