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魔法のある世界で
011.”卵”の中で現状確認
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『綺羅様、ロイス博士は人間達の言う”神”とは違います。彼は管理者にすぎません』
そのロイス博士が作った人工知能タマチャンは、そう言った。
つまりは、地球人類はもう一段階高度な知的生命体もしくは人類に管理されていたのだという。
それを人類は勝手に”神”と崇めていたというのだ。
「でも、じゃあ、それじゃあ何故?何故、地球は滅ばねばならなかったの?どうして私だけ助けたの?」
『申し訳ありません。それは私のデータの中にはございません』
「…そう、それはデータに残してはくれなかったのね」
全くもって納得など行く筈もなかったが、すでに地球どころか私がいた銀河そのものがもう消えて今ある世界は全く別の世界である。
納得が行こうが行くまいがそれは変わらない事実だった。
それがどんなに荒唐無稽でどんなに受け入れがたい事実だったとしてもである。
とりあえず、何とか気持ちを切り替え、ほかの質問をしてみた。
「それで私の体が推定三歳くらいなのは?」
『それは、たまたま再生のためのクローン体が、その成長の時にこの世界での安定が確認されたからです』
「偶然、このくらいに成長した時に、この世界の安定が確認され尚且つ、この”卵”が掘り返されたのが今の体のサイズだったという訳ね…まぁ、そうよね、いくら地球人類外のロイス博士でも百億年以上もの先の未来のそこまで細かく設定なんて出来ないわよね。そもそも今私の意識が百億年以上たった今も存在している事さへ奇跡中の奇跡ですものね」
『ご理解頂けて良かったデス』
「いや、理解できない事が理解できたっつ~か…まぁ、いいや、それでタマチャンは、この世界の事、既に学習済みなのよね?それで私が生きていくのに適していると判断した上で蘇生させたんですものね?」
『はい、この世界は綺羅様の望み通り、最初の目覚めの時に綺羅様の細胞を種として分子レベルの粒子はこの星に取り込まれ根づき知的生命体…人類を生み出す種となりました』
「それは、嬉しいし本当に奇跡中の奇跡の連続連打なのだけどね?タマチャン、この世界には魔法というものが実在しているらしいのだけど、これは間違いではない?」
『はい!この世界では、科学という観念は無く、魔法がこの世界での生活の基盤になっているようです』
「マ・ジ・ですかぁあああああ?」
『はい、マジでございマス!』
「うそっ!私の科学者としての知識はこの世界では意味を成さないのっ?魔法なんて無理よ?どうやってそんな世界でやっていけと言うのよぅ~」
私はもうお先真っ暗で半泣きである。
いや、もう、何て言うか、まさか、こんな異世界転生チックな感じの未来に蘇生されるなんて完璧に想定外だった。
しかしながら、タマチャンは冷静に私に言った。
『ですが、この世界にあった魔素(魔力を含み※素粒子)も綺羅さまの今の身体に取り込んでございますので、学べば綺羅様にも魔法が使えるようになる筈です』
「え?ほ、ほんとに?」
まさかの希望に私は、思わず喰いついた。
我ながらゲンキンだと思うが、自分も使える可能性があると言うのならそれは、ちょっと…いや大分、嬉しい。
生まれつき知能指数の高かった私は、前世(前世でいいんだよね?もともとの体は既に消え去ってる訳だし)では、物覚えつく頃には天才児を研究育成する機関に預けられていた。
およそ普通の女の子の夢見るような物語や童話すら取り上げられ、与えられたのは分厚い参考書や解析データだった。
しかし、十一歳の頃、そんな研究所から出る機会を得た私は博士号をいくつも取り自然科学者、地質学者として自立し手世界を飛び回るうちに、行った先の土着民や知り合った人たちに聞いた神話や童話、どう考えても理屈や辻褄が合わないアニメや漫画、小説など、それまで禁止されていたあらゆる情報を見たり聞いたりする機会を得て、あり得ないとわかりつつもあったら楽しいのにと心躍らせたものだったのである。
そう、そんな事はもちろん、心に秘めて決して他の誰にも見せはしなかったけれど。
”卵”の中で私は、混沌とした記憶が徐々に整理されていき自分の中で消化されていくのが分かった。
そしてたどり着いた答え!
それは…。
とりあえずは『過去より未来』だ!
そのロイス博士が作った人工知能タマチャンは、そう言った。
つまりは、地球人類はもう一段階高度な知的生命体もしくは人類に管理されていたのだという。
それを人類は勝手に”神”と崇めていたというのだ。
「でも、じゃあ、それじゃあ何故?何故、地球は滅ばねばならなかったの?どうして私だけ助けたの?」
『申し訳ありません。それは私のデータの中にはございません』
「…そう、それはデータに残してはくれなかったのね」
全くもって納得など行く筈もなかったが、すでに地球どころか私がいた銀河そのものがもう消えて今ある世界は全く別の世界である。
納得が行こうが行くまいがそれは変わらない事実だった。
それがどんなに荒唐無稽でどんなに受け入れがたい事実だったとしてもである。
とりあえず、何とか気持ちを切り替え、ほかの質問をしてみた。
「それで私の体が推定三歳くらいなのは?」
『それは、たまたま再生のためのクローン体が、その成長の時にこの世界での安定が確認されたからです』
「偶然、このくらいに成長した時に、この世界の安定が確認され尚且つ、この”卵”が掘り返されたのが今の体のサイズだったという訳ね…まぁ、そうよね、いくら地球人類外のロイス博士でも百億年以上もの先の未来のそこまで細かく設定なんて出来ないわよね。そもそも今私の意識が百億年以上たった今も存在している事さへ奇跡中の奇跡ですものね」
『ご理解頂けて良かったデス』
「いや、理解できない事が理解できたっつ~か…まぁ、いいや、それでタマチャンは、この世界の事、既に学習済みなのよね?それで私が生きていくのに適していると判断した上で蘇生させたんですものね?」
『はい、この世界は綺羅様の望み通り、最初の目覚めの時に綺羅様の細胞を種として分子レベルの粒子はこの星に取り込まれ根づき知的生命体…人類を生み出す種となりました』
「それは、嬉しいし本当に奇跡中の奇跡の連続連打なのだけどね?タマチャン、この世界には魔法というものが実在しているらしいのだけど、これは間違いではない?」
『はい!この世界では、科学という観念は無く、魔法がこの世界での生活の基盤になっているようです』
「マ・ジ・ですかぁあああああ?」
『はい、マジでございマス!』
「うそっ!私の科学者としての知識はこの世界では意味を成さないのっ?魔法なんて無理よ?どうやってそんな世界でやっていけと言うのよぅ~」
私はもうお先真っ暗で半泣きである。
いや、もう、何て言うか、まさか、こんな異世界転生チックな感じの未来に蘇生されるなんて完璧に想定外だった。
しかしながら、タマチャンは冷静に私に言った。
『ですが、この世界にあった魔素(魔力を含み※素粒子)も綺羅さまの今の身体に取り込んでございますので、学べば綺羅様にも魔法が使えるようになる筈です』
「え?ほ、ほんとに?」
まさかの希望に私は、思わず喰いついた。
我ながらゲンキンだと思うが、自分も使える可能性があると言うのならそれは、ちょっと…いや大分、嬉しい。
生まれつき知能指数の高かった私は、前世(前世でいいんだよね?もともとの体は既に消え去ってる訳だし)では、物覚えつく頃には天才児を研究育成する機関に預けられていた。
およそ普通の女の子の夢見るような物語や童話すら取り上げられ、与えられたのは分厚い参考書や解析データだった。
しかし、十一歳の頃、そんな研究所から出る機会を得た私は博士号をいくつも取り自然科学者、地質学者として自立し手世界を飛び回るうちに、行った先の土着民や知り合った人たちに聞いた神話や童話、どう考えても理屈や辻褄が合わないアニメや漫画、小説など、それまで禁止されていたあらゆる情報を見たり聞いたりする機会を得て、あり得ないとわかりつつもあったら楽しいのにと心躍らせたものだったのである。
そう、そんな事はもちろん、心に秘めて決して他の誰にも見せはしなかったけれど。
”卵”の中で私は、混沌とした記憶が徐々に整理されていき自分の中で消化されていくのが分かった。
そしてたどり着いた答え!
それは…。
とりあえずは『過去より未来』だ!
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