44 / 79
はじまり
42.決戦当日--07-ルークの秘密と親友ルミアーナ
しおりを挟む
これでもか?という程に、やらかしつくす?マルガリータに周りは驚愕の嵐だった。
(ぬおおぅっ、マルガリータ様?ってば、地雷の上でタップダンスおどってらっしゃるわ)とラフィリアード公爵夫人ルミアーナは思った。
いつもならルークは、ルミアーナの考えが読めてしまうので、そんなルミアーナの言葉に噴き出すところなのだが…ルークは静かにマルガリータを睨んでいた。
そう…これまでルークが他人に心を開いてこなかったのは、ひとえにこの能力のせいである。
ルークは生まれつき魔力が高く小さな頃から人の心が読めてしまうのだ。
そのせいで魔力が不安定で危険な魔力が暴発する危険があったため、王家の第二王子という身分でありながら、わずか五歳のころから神殿預けとなり幼少期を家族と離れ、自分の魔力や感情を制御できる術を学んだのである。
王子が王城で家族とやっと過ごせるようになったのは、神殿から学園へ進み卒業できた十五歳のころからである。
心が読める…読めてしまう。
人の良き心も悪しき心も…醜い気持ちや欲望も…。
それは、ルークにとって決して喜べる事ではなかった。
この秘密はルミアーナと精霊たち、そしてラフィリル大神殿の神官長だけが知るルークの秘密である。
従兄弟であるであるダルタスも両親であるラフィリル国王夫妻も兄や弟ですら知らぬ秘密である。
(あれま、ルークってば、まだ怖い顔して、本気で怒ってるのね?)と、ルミアーナがルークにちらりと視線をおくるとルークがルミアーナにふんっという視線を送った。
(当たり前だろう?)と思っているようだ。
(こわっ!心なんか読めなくても言いたい事はわかるわよ~…何となくねっ!はいはい!イリューリアを突き飛ばした事とか馬鹿にしたことが許せないのよね~?)と思うルミアーナだった。
そう、ルミアーナ自身は精霊たちの主で自国では女神と称えられているものの、心を読んだり、魔法を使ったりはできない。
自分に魔力があるなど知らずに育ったルミアーナはそれを魔法として使う方法を知らないのである。
特に人の心が読めてしまうような事もなかった。
血族の中でも精霊に選ばれしルミアーナの中には無尽蔵な魔力が溢れているが、ルークのように、感情に左右されるタイプのものではなく安定しすぎて自分や周りさえも、その内なる魔力に気づかないくらいだったのだ。
ルークの持つ魔力とルミアーナの内なる魔力は、全く異なるものだった。
そして、それをよりどころに精霊たちが精霊界からやってきてはルミアーナの創り出す”月の石”に宿る。
創り出すと言ってもルミアーナの、感情がたかぶると、勝手に月の石が、生まれてきてしまうのである。
それ故、精霊はルミアーナを主としてつき従うのである。
ルミアーナとルークが知り合ったのは二人が十六歳の頃である。
その頃からの親友なのだ。
出会ったその頃、既にルミアーナはダルタスのことが好きで好きでたまらず、それはダルタスも同じなのに、変に勘違いして、婚約破棄したり、家出したり、かと思ったら思い叶いあったのに国王の反対にあって駆け落ちしたりと、とにかく、めまぐるしかった。
ルークはそれまで、身内以外の人間に気を許すことはなかったが、ルミアーナだけは特別だった。
ルミアーナの破天荒すぎで、面白すぎで、とびきり純粋で元気で無垢な魂が、非常に気に入ってしまったのである。
だからと言ってルミアーナに恋することはなかった。
何故なら出会ったころから「ダルタス命!」のルミアーナが、超絶!面白かったからである。
当時から強面で女子供から恐れられていた鬼将軍ダルタスに何の裏もなく本気も本気で恋しているルミアーナはとても好ましかったし、男の格好をして騎士団に入って修行し、第一王子と決闘してぶちのめした事もあるルミアーナは、本当に面白すぎて、とてもじゃないが、ルークにとっては恋する対象とかにはならなかった。
ある日、ルミアーナが、ルークに「心を読めるのも大変ね~」と笑って言った事があった。
ルークは、驚いた。
これまでルークの秘密に気づいた者は皆、驚愕し、そして怯え狼狽えたからである。
そうした者達の記憶をルークは消していった。
心が読まれていると知った上であっけらかんとしていたのはルミアーナが、今のところ初めてで最後である。
「僕の事が、気味悪くはないのか?心を読まれるなんて嫌じゃないか?」と聞いた事があった。
ちなみにルミアーナがその時に言った言葉をルークは今も覚えている。
「私なんて、うじゃうじゃいる精霊たち全部に普段から心なんて読まれまくりだから、慣れちゃてるわよ。プライバシーなんて、あったもんじゃないわよね!まぁ、魔法使いも精霊も似たようなもんでしょ?ルークは魔法使いなんだし、気にしてないわよ!だからルークも私が黒い事とかダルタス様相手にエッチな事考えてるの、うっかり読んじゃってもバラしちゃダメよ?あははははっ!」と笑い飛ばしたのである。
人知れず、我が身を厭わしいと感じる事すらあったルークは、自分が心から崇める精霊と同じようなものだと言われ、その言葉の裏のなさに喜び、涙した事は忘れようもない。
(なんて、男前な奴なんだ!ルミアーナ!お前とは生涯、親友だ!)と心から思ったものである。
ルークは親友ルミアーナと尊敬する従兄の恋を心から応援し、すったもんだの末、今のラフィリアード一家ができたのである。
(その愉快にも慌ただしい数々のエピソード、それは、また別のルミアーナとダルタス将軍の恋のお話である。)
それ故、ルークとダルタス一家との絆は深かった。
(ぬおおぅっ、マルガリータ様?ってば、地雷の上でタップダンスおどってらっしゃるわ)とラフィリアード公爵夫人ルミアーナは思った。
いつもならルークは、ルミアーナの考えが読めてしまうので、そんなルミアーナの言葉に噴き出すところなのだが…ルークは静かにマルガリータを睨んでいた。
そう…これまでルークが他人に心を開いてこなかったのは、ひとえにこの能力のせいである。
ルークは生まれつき魔力が高く小さな頃から人の心が読めてしまうのだ。
そのせいで魔力が不安定で危険な魔力が暴発する危険があったため、王家の第二王子という身分でありながら、わずか五歳のころから神殿預けとなり幼少期を家族と離れ、自分の魔力や感情を制御できる術を学んだのである。
王子が王城で家族とやっと過ごせるようになったのは、神殿から学園へ進み卒業できた十五歳のころからである。
心が読める…読めてしまう。
人の良き心も悪しき心も…醜い気持ちや欲望も…。
それは、ルークにとって決して喜べる事ではなかった。
この秘密はルミアーナと精霊たち、そしてラフィリル大神殿の神官長だけが知るルークの秘密である。
従兄弟であるであるダルタスも両親であるラフィリル国王夫妻も兄や弟ですら知らぬ秘密である。
(あれま、ルークってば、まだ怖い顔して、本気で怒ってるのね?)と、ルミアーナがルークにちらりと視線をおくるとルークがルミアーナにふんっという視線を送った。
(当たり前だろう?)と思っているようだ。
(こわっ!心なんか読めなくても言いたい事はわかるわよ~…何となくねっ!はいはい!イリューリアを突き飛ばした事とか馬鹿にしたことが許せないのよね~?)と思うルミアーナだった。
そう、ルミアーナ自身は精霊たちの主で自国では女神と称えられているものの、心を読んだり、魔法を使ったりはできない。
自分に魔力があるなど知らずに育ったルミアーナはそれを魔法として使う方法を知らないのである。
特に人の心が読めてしまうような事もなかった。
血族の中でも精霊に選ばれしルミアーナの中には無尽蔵な魔力が溢れているが、ルークのように、感情に左右されるタイプのものではなく安定しすぎて自分や周りさえも、その内なる魔力に気づかないくらいだったのだ。
ルークの持つ魔力とルミアーナの内なる魔力は、全く異なるものだった。
そして、それをよりどころに精霊たちが精霊界からやってきてはルミアーナの創り出す”月の石”に宿る。
創り出すと言ってもルミアーナの、感情がたかぶると、勝手に月の石が、生まれてきてしまうのである。
それ故、精霊はルミアーナを主としてつき従うのである。
ルミアーナとルークが知り合ったのは二人が十六歳の頃である。
その頃からの親友なのだ。
出会ったその頃、既にルミアーナはダルタスのことが好きで好きでたまらず、それはダルタスも同じなのに、変に勘違いして、婚約破棄したり、家出したり、かと思ったら思い叶いあったのに国王の反対にあって駆け落ちしたりと、とにかく、めまぐるしかった。
ルークはそれまで、身内以外の人間に気を許すことはなかったが、ルミアーナだけは特別だった。
ルミアーナの破天荒すぎで、面白すぎで、とびきり純粋で元気で無垢な魂が、非常に気に入ってしまったのである。
だからと言ってルミアーナに恋することはなかった。
何故なら出会ったころから「ダルタス命!」のルミアーナが、超絶!面白かったからである。
当時から強面で女子供から恐れられていた鬼将軍ダルタスに何の裏もなく本気も本気で恋しているルミアーナはとても好ましかったし、男の格好をして騎士団に入って修行し、第一王子と決闘してぶちのめした事もあるルミアーナは、本当に面白すぎて、とてもじゃないが、ルークにとっては恋する対象とかにはならなかった。
ある日、ルミアーナが、ルークに「心を読めるのも大変ね~」と笑って言った事があった。
ルークは、驚いた。
これまでルークの秘密に気づいた者は皆、驚愕し、そして怯え狼狽えたからである。
そうした者達の記憶をルークは消していった。
心が読まれていると知った上であっけらかんとしていたのはルミアーナが、今のところ初めてで最後である。
「僕の事が、気味悪くはないのか?心を読まれるなんて嫌じゃないか?」と聞いた事があった。
ちなみにルミアーナがその時に言った言葉をルークは今も覚えている。
「私なんて、うじゃうじゃいる精霊たち全部に普段から心なんて読まれまくりだから、慣れちゃてるわよ。プライバシーなんて、あったもんじゃないわよね!まぁ、魔法使いも精霊も似たようなもんでしょ?ルークは魔法使いなんだし、気にしてないわよ!だからルークも私が黒い事とかダルタス様相手にエッチな事考えてるの、うっかり読んじゃってもバラしちゃダメよ?あははははっ!」と笑い飛ばしたのである。
人知れず、我が身を厭わしいと感じる事すらあったルークは、自分が心から崇める精霊と同じようなものだと言われ、その言葉の裏のなさに喜び、涙した事は忘れようもない。
(なんて、男前な奴なんだ!ルミアーナ!お前とは生涯、親友だ!)と心から思ったものである。
ルークは親友ルミアーナと尊敬する従兄の恋を心から応援し、すったもんだの末、今のラフィリアード一家ができたのである。
(その愉快にも慌ただしい数々のエピソード、それは、また別のルミアーナとダルタス将軍の恋のお話である。)
それ故、ルークとダルタス一家との絆は深かった。
5
お気に入りに追加
3,056
あなたにおすすめの小説
愛を知らない聖女はなにも齋さない。
月白ヤトヒコ
ファンタジー
あらすじ
聖女が真心を籠めて祈ることで、安寧が齋されると信じられる世界で――――
愛を知らない純真無垢な聖女は、教えられた通りに忠実に祈り、なにも齋《もたら》さなかった。
ある意味悲劇ではある。
読む人によっては胸くそ。
目が覚めたら見知らぬ夫が隣にいた。どうやら私は記憶喪失らしい
キスケ
恋愛
「俺は、貴女の夫です」
一切の感情を押し殺したような、平坦な声だった。「どなたですか」と尋ねた時、目の前の青年はそう答えたのだ。でも、それはつまらない冗談だと私は思った。なぜなら彼はたった今初めて顔を合わせた相手なのだから──。
◇婚約破棄がきっかけで記憶喪失になった公爵令嬢と、そんな彼女にずっと片思いし続けていた騎士の話。5話完結。
(小説家になろう様にも投稿してます)
目覚めれば異世界!ところ変われば!
秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。
ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま!
目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。
公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。
命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。
身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!
婚約者に愛されたいので、彼の幼馴染と体を交換しました【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「すまない。でも、全部きみのためなんだ」
ランデリック様はそう言って、私との婚約を解消した。……許せない、きっと、『あの女』にたぶらかされたのね。半年ほど前から、ランデリック様のそばをウロチョロするようになった、彼の幼馴染――ウィネットに対する憎しみが、私に『入れ替わり』の呪文の使用を決意させた。
『入れ替わり』の呪文は、呪文を唱えた者と、使用対象の心を、文字通り、『入れ替え』てしまうのである。……呪文は成功し、私の心はウィネットの体に入ることができた。これからは、私がウィネットとなって、ランデリック様と愛を紡いでいくのよ。
しかしその後、思ってもいなかった事実が明らかになり……
俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!
クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』
自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。
最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。
覆面姫と溺愛陛下
ao_narou
恋愛
幼少の頃に行われた茶会で、容姿を貶されたニアミュール・シュゼ・ヴィルフィーナ公爵令嬢。
その後熱を出し、別の異世界に転移した事を思い出した彼女は、今回で二度目の人生、三回目の世界を体験していた。
ニアと呼ばれる彼女は、近代的な(日本的な)知識と鋼の思考を持っていた。
彼女の婚約者は、この国の国王陛下であるグレン・フォン・ティルタ・リュニュウスだ。
彼女の隠された容姿と性格にベタ惚れのはグレンは、どうにか自分に興味を持って貰うため、日々研鑽を積む――が、ニアには一切通じない。
陛下には似合わない容姿だからと婚約破棄を望むニアと溺愛しまくるグレン。そんな二人に迫る魔女の影……上手く噛みあわない二人の異世界恋愛物語。
とある中年男性の転生冒険記
うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる