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四の巻~平成美女は平安(ぽい?)世界で~
107.めでたしめでたし
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全ては扶久子の思惑通り
ここに至っては神の手のひらの上というよりまさに扶久子姫の手の平の上でころがしていたかのような亜里沙の恋の結末だった。
そして、亜里沙と定近は早々に三日夜の餅の儀式を扶久子の采配で執り行われ無事、夫婦となったのである。
亜里沙自身は自分が今のこの世界での身分がないことを気にしたが、そこは、現当主を引退していることもあり、身分など後からでもどこぞの貴族に養子となり体裁だけ整えればよいのだと定近や義鷹に説得され無事、二人は結ばれたのだった。
「ふふっ、亜里沙ったら私の幸せばかり願って自分のことはいつだってあとまわしなんだもの…そこは幼馴染で親友で前世元主としては世話をやかずにはおれないわよね」とほくそ笑む扶久子。
そんな独り言に、にまにまと嬉しそうに微笑んでいる愛しい妻を義鷹は自分の胸に引き寄せその腕に力をこめた。
そしてその手は微かに震えていた。
「隆が消えたとき、わたしは其方や亜里沙殿も消えてしまうのではと怖かった」
「義鷹様…私はどこにもいきませんわ。私ももう義鷹様のいない世界で生きていくなど考えられないのです。あの隆が消えたのは隆では亜里沙の事を幸せにできないと御仏も思召したのでしょう。すべては前世命尽きるときに私と亜里沙が心底、お互いの幸せを願ったが為の現在なのです。貴方と離れたら不幸になるとわかっているのに、そんなむごいことを御仏がなさる筈はありませんもの」
「ならば、このわたしと在る限り誰よりも幸せになるよう大切に大切にしようとも」
「まぁ、私は今すでにこんなにも幸せなのに」と扶久子は満面の笑みで義鷹に抱き着いた。
ほどなく藤原家より使者がきて帝も義鷹と扶久子の結婚を祝っているとの知らせが届き、無事に都に戻ることができた。
定近と亜里沙は都にほど近い場所に館を構え、互いに行き来をしあえる環境で暮らすことになった。
そして、義鷹はその約束を死ぬまで守り、定近もまた亜里沙の事を自分の命よりも大切にした。
平成の世界からきた扶久子と亜里沙は、前世の分まで今生での幸せを味わいつくし天寿をまっとうするまで優しい家族や友人に囲まれ暮らしたのである。
住まいをうつしてからほどなく、扶久子と亜里沙は、同時期に男女の子供を一人ずつ授かった。
特筆すべきは子供を産んだ後の亜里沙の変化だった。
若いころは痩せていても子供を産んだら太った…などという話はよく聞くが、亜里沙はまさにそのタイプだったようで、華奢だったその姿はふっくらとし卵型の顔はふっくらとしたいわゆるお多福顔に…。
顔がお肉で膨らんだ分、二重もうすくなり目元もぱっちりからやや横長に…。
かつての華奢で二重ぱっちりの亜里沙を知る者たちからは驚愕の言葉がささやかれ…。
「信じられない…」
「愛されると女は美しくなるというけれど、定近様の愛はそれほどまでに?」
「ああ、この世に女神が二人も…」
そう…産後の亜里沙は平成美人からなんと平安美人へとクラスチェンジへと至っていたのである。
結婚後、亜里沙は扶久子と同じ、芙蓉の方の兄の養女として正式に縁組し定近の正妻という体裁を整え、二人は都でも評判の「美姫姉妹」として噂され、絵姿まで多く描かれ、でまわった。
いくつになっても、その美しさを増すばかりの二人に、夫たちは生涯やきもきさせられたという…。
めでたしめでたし…。
ここに至っては神の手のひらの上というよりまさに扶久子姫の手の平の上でころがしていたかのような亜里沙の恋の結末だった。
そして、亜里沙と定近は早々に三日夜の餅の儀式を扶久子の采配で執り行われ無事、夫婦となったのである。
亜里沙自身は自分が今のこの世界での身分がないことを気にしたが、そこは、現当主を引退していることもあり、身分など後からでもどこぞの貴族に養子となり体裁だけ整えればよいのだと定近や義鷹に説得され無事、二人は結ばれたのだった。
「ふふっ、亜里沙ったら私の幸せばかり願って自分のことはいつだってあとまわしなんだもの…そこは幼馴染で親友で前世元主としては世話をやかずにはおれないわよね」とほくそ笑む扶久子。
そんな独り言に、にまにまと嬉しそうに微笑んでいる愛しい妻を義鷹は自分の胸に引き寄せその腕に力をこめた。
そしてその手は微かに震えていた。
「隆が消えたとき、わたしは其方や亜里沙殿も消えてしまうのではと怖かった」
「義鷹様…私はどこにもいきませんわ。私ももう義鷹様のいない世界で生きていくなど考えられないのです。あの隆が消えたのは隆では亜里沙の事を幸せにできないと御仏も思召したのでしょう。すべては前世命尽きるときに私と亜里沙が心底、お互いの幸せを願ったが為の現在なのです。貴方と離れたら不幸になるとわかっているのに、そんなむごいことを御仏がなさる筈はありませんもの」
「ならば、このわたしと在る限り誰よりも幸せになるよう大切に大切にしようとも」
「まぁ、私は今すでにこんなにも幸せなのに」と扶久子は満面の笑みで義鷹に抱き着いた。
ほどなく藤原家より使者がきて帝も義鷹と扶久子の結婚を祝っているとの知らせが届き、無事に都に戻ることができた。
定近と亜里沙は都にほど近い場所に館を構え、互いに行き来をしあえる環境で暮らすことになった。
そして、義鷹はその約束を死ぬまで守り、定近もまた亜里沙の事を自分の命よりも大切にした。
平成の世界からきた扶久子と亜里沙は、前世の分まで今生での幸せを味わいつくし天寿をまっとうするまで優しい家族や友人に囲まれ暮らしたのである。
住まいをうつしてからほどなく、扶久子と亜里沙は、同時期に男女の子供を一人ずつ授かった。
特筆すべきは子供を産んだ後の亜里沙の変化だった。
若いころは痩せていても子供を産んだら太った…などという話はよく聞くが、亜里沙はまさにそのタイプだったようで、華奢だったその姿はふっくらとし卵型の顔はふっくらとしたいわゆるお多福顔に…。
顔がお肉で膨らんだ分、二重もうすくなり目元もぱっちりからやや横長に…。
かつての華奢で二重ぱっちりの亜里沙を知る者たちからは驚愕の言葉がささやかれ…。
「信じられない…」
「愛されると女は美しくなるというけれど、定近様の愛はそれほどまでに?」
「ああ、この世に女神が二人も…」
そう…産後の亜里沙は平成美人からなんと平安美人へとクラスチェンジへと至っていたのである。
結婚後、亜里沙は扶久子と同じ、芙蓉の方の兄の養女として正式に縁組し定近の正妻という体裁を整え、二人は都でも評判の「美姫姉妹」として噂され、絵姿まで多く描かれ、でまわった。
いくつになっても、その美しさを増すばかりの二人に、夫たちは生涯やきもきさせられたという…。
めでたしめでたし…。
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いどさま
ありがとうございます。
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