70 / 107
四の巻~平成美女は平安(ぽい?)世界で~
70 ある日隠れ屋に迷い込み…③ By隆
しおりを挟む
「何じゃこりゃあ!こっこれは鉄の塊か!」と、おっさんは手でばしばしと車をたたいた。
「何って車ですよ。普通のワンボックス!」
「わん…ぼ?何じゃそりゃ」と不思議そうにしながらも窓をバンバンたたく。
「ちょっと!壊さないでくださいよ!会社の車なんですからっ!」
「かいしゃ?何じゃ。さっきからお主の言う事は、さっぱりじゃの~。じゃがしかし、お主が別世界からの迷い人らしき事は分かったぞ?」
「はぁ?別世界?それこそ何ですか?」
「ふむ、まず、この世界にこのわんぼ?ナントカという物はない。少なくとも儂は見たことが無いし聞いたこともない」
「なっ!何言ってるんですか?ここは日本でしょう?」
「はぁ?ニホン?ここは京の都から離れた山奥ぞ!」
「京の都って、じゃあやっぱり日本じゃないですか!」
「お主の言う事はさっぱりわからん!」
「こっちこそ!よくわかんないですよ」
そう言ってまたしばらくの間、問答が続いたが、結局のところ、最終的にわかったのは、この世界での日本での呼び名はヤマトで日本とは呼ばないこと。
そして、どうも平安時代っぽいこと。(歴史にそこまで詳しい訳ではないが、建築物には少し興味があって建物が奈良とか平安の時代の作りであることがうかがわれた)
そして、落ち着いた答えは結局のところおっさんの言うとおり、別世界(異世界)からの迷い人であるという事だった。
そして聞けばおっさんは、隠居した右大臣家の元総領、藤原定近だと言うではないか!
右大臣家って!右大臣家って!
これってやっぱりタイムスリップ?なのか?それとも平安風の異世界なのか、そこまでは歴史に詳しくない自分は只々、困惑するのだった。
唯、ひとつ言える確かな事は、ここは昨日までいた世界では無いという事だった。
そして、イケ渋で太っ腹な定近様は、行くところのない僕を屋敷に住まわせてくれるという。
行く当てのない僕はこの有り難い申し出を受けて、一緒に暮らす事になったのだが…。
さて!外から見た美しい外観の御屋敷は中へ入ると『ゴミ屋敷』だった!
「な・ん・す・か!こりゃあ~!」
僕は思わず定近様に詰め寄った。
「は…ははは!」
「あんた、前の右大臣家の総領で偉いんだろう?大殿様なんだろう?身の回りの世話をしてくれる人はどうしたんだよ?召使は?」
「いや~、面倒くさいんで全部、追い払った!」
「何ですと?何でそんな事!」
「いや、儂、人嫌いじゃから」
「え?何で?じゃあ何で僕を住まわせてくれる気に?」
「は、ははっ!そうじゃのう。しいて言えば其方が儂を恐れた感じが無かったからかのう?」
「はぁ?何で?定近様、なんだかんだ言って優しいじゃん。イケオジ(イケてるおじさん)だし」
「イケ…なんじゃソレ?」
「いや、カッコいいおじ様っつうことだよ」
「なっっ!何を嘘くさい!そんな見え透いたお世辞を言わずとも、おいてやるわ!」と、定近様は、何やら顔を真っ赤にして怒って?いや?照れてるのかな?何このおっさん、純情か?
「いや、お世辞じゃないって!けど、僕、こんなゴミ屋敷嫌だなぁ」と思わず本音で言うと定近様は、分かりやすくしゅんとした。
え?何々?このおっさん、ちょっと可愛いんですけど…と何だか可笑しくて笑ってしまった。
「ぷっ!何、がっかりしてんの?出て行ったりしないよ。行く当てもないし!ただ、勝手に片づけさせてもらうからね」と、居候させてもらうのになぜか強気な僕の上から発言だったが、定近様はそんな事、気にもしない様子で…。
「お?おおぅ。助かる」そう言って、それはそれは良い笑顔になったのだった。
うわぁ~、モテそう…それが、俺のその時の感想だった。
そして、僕は、それ以来、この屋敷の管理を一手に引き受ける事となったのだった。
「何って車ですよ。普通のワンボックス!」
「わん…ぼ?何じゃそりゃ」と不思議そうにしながらも窓をバンバンたたく。
「ちょっと!壊さないでくださいよ!会社の車なんですからっ!」
「かいしゃ?何じゃ。さっきからお主の言う事は、さっぱりじゃの~。じゃがしかし、お主が別世界からの迷い人らしき事は分かったぞ?」
「はぁ?別世界?それこそ何ですか?」
「ふむ、まず、この世界にこのわんぼ?ナントカという物はない。少なくとも儂は見たことが無いし聞いたこともない」
「なっ!何言ってるんですか?ここは日本でしょう?」
「はぁ?ニホン?ここは京の都から離れた山奥ぞ!」
「京の都って、じゃあやっぱり日本じゃないですか!」
「お主の言う事はさっぱりわからん!」
「こっちこそ!よくわかんないですよ」
そう言ってまたしばらくの間、問答が続いたが、結局のところ、最終的にわかったのは、この世界での日本での呼び名はヤマトで日本とは呼ばないこと。
そして、どうも平安時代っぽいこと。(歴史にそこまで詳しい訳ではないが、建築物には少し興味があって建物が奈良とか平安の時代の作りであることがうかがわれた)
そして、落ち着いた答えは結局のところおっさんの言うとおり、別世界(異世界)からの迷い人であるという事だった。
そして聞けばおっさんは、隠居した右大臣家の元総領、藤原定近だと言うではないか!
右大臣家って!右大臣家って!
これってやっぱりタイムスリップ?なのか?それとも平安風の異世界なのか、そこまでは歴史に詳しくない自分は只々、困惑するのだった。
唯、ひとつ言える確かな事は、ここは昨日までいた世界では無いという事だった。
そして、イケ渋で太っ腹な定近様は、行くところのない僕を屋敷に住まわせてくれるという。
行く当てのない僕はこの有り難い申し出を受けて、一緒に暮らす事になったのだが…。
さて!外から見た美しい外観の御屋敷は中へ入ると『ゴミ屋敷』だった!
「な・ん・す・か!こりゃあ~!」
僕は思わず定近様に詰め寄った。
「は…ははは!」
「あんた、前の右大臣家の総領で偉いんだろう?大殿様なんだろう?身の回りの世話をしてくれる人はどうしたんだよ?召使は?」
「いや~、面倒くさいんで全部、追い払った!」
「何ですと?何でそんな事!」
「いや、儂、人嫌いじゃから」
「え?何で?じゃあ何で僕を住まわせてくれる気に?」
「は、ははっ!そうじゃのう。しいて言えば其方が儂を恐れた感じが無かったからかのう?」
「はぁ?何で?定近様、なんだかんだ言って優しいじゃん。イケオジ(イケてるおじさん)だし」
「イケ…なんじゃソレ?」
「いや、カッコいいおじ様っつうことだよ」
「なっっ!何を嘘くさい!そんな見え透いたお世辞を言わずとも、おいてやるわ!」と、定近様は、何やら顔を真っ赤にして怒って?いや?照れてるのかな?何このおっさん、純情か?
「いや、お世辞じゃないって!けど、僕、こんなゴミ屋敷嫌だなぁ」と思わず本音で言うと定近様は、分かりやすくしゅんとした。
え?何々?このおっさん、ちょっと可愛いんですけど…と何だか可笑しくて笑ってしまった。
「ぷっ!何、がっかりしてんの?出て行ったりしないよ。行く当てもないし!ただ、勝手に片づけさせてもらうからね」と、居候させてもらうのになぜか強気な僕の上から発言だったが、定近様はそんな事、気にもしない様子で…。
「お?おおぅ。助かる」そう言って、それはそれは良い笑顔になったのだった。
うわぁ~、モテそう…それが、俺のその時の感想だった。
そして、僕は、それ以来、この屋敷の管理を一手に引き受ける事となったのだった。
1
お気に入りに追加
335
あなたにおすすめの小説
【短編集】人間がロボットになるのも悪くないかも?
ジャン・幸田
大衆娯楽
人間を改造すればサイボーグになる作品とは違い、人間が機械服を着たり機械の中に閉じ込められることで、人間扱いされなくなる物語の作品集です。
二度目の勇者の美醜逆転世界ハーレムルート
猫丸
恋愛
全人類の悲願である魔王討伐を果たした地球の勇者。
彼を待っていたのは富でも名誉でもなく、ただ使い捨てられたという現実と別の次元への強制転移だった。
地球でもなく、勇者として召喚された世界でもない世界。
そこは美醜の価値観が逆転した歪な世界だった。
そうして少年と少女は出会い―――物語は始まる。
他のサイトでも投稿しているものに手を加えたものになります。
気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。
sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。
気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。
※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。
!直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。
※小説家になろうさんでも投稿しています。
何を言われようとこの方々と結婚致します!
おいも
恋愛
私は、ヴォルク帝国のハッシュベルト侯爵家の娘、フィオーレ・ハッシュベルトです。
ハッシュベルト侯爵家はヴォルク帝国でも大きな権力を持っていて、その現当主であるお父様にはとても可愛がられています。
そんな私にはある秘密があります。
それは、他人がかっこいいと言う男性がとても不細工に見え、醜いと言われる男性がとてもかっこよく見えるということです。
まあ、それもそのはず、私には日本という国で暮らしていた前世の記憶を持っています。
前世の美的感覚は、男性に限定して、現世とはまるで逆!
もちろん、私には前世での美的感覚が受け継がれました……。
そんな私は、特に問題もなく16年生きてきたのですが、ある問題が発生しました。
16歳の誕生日会で、おばあさまから、「そろそろ結婚相手を見つけなさい。エアリアル様なんてどう?今度、お茶会を開催するときエアリアル様をお呼びするから、あなたも参加しなさい。」
え?おばあさま?エアリアル様ってこの帝国の第二王子ですよね。
そして、帝国一美しいと言われている男性ですよね?
……うん!お断りします!
でもこのまんまじゃ、エアリアル様と結婚させられてしまいそうだし……よし!
自分で結婚相手を見つけることにしましょう!
6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった
白雲八鈴
恋愛
私はウォルス侯爵家に15歳の時に嫁ぎ婚姻後、直ぐに夫は魔王討伐隊に出兵しました。6年後、戦地から夫が帰って来ました、妻という女を連れて。
もういいですか。私はただ好きな物を作って生きていいですか。この国になんて出ていってやる。
ただ、皆に喜ばれる物を作って生きたいと願う女性がその才能に目を付けられ周りに翻弄されていく。彼女は自由に物を作れる道を歩むことが出来るのでしょうか。
番外編
謎の少女強襲編
彼女が作り出した物は意外な形で人々を苦しめていた事を知り、彼女は再び帝国の地を踏むこととなる。
私が成した事への清算に行きましょう。
炎国への旅路編
望んでいた炎国への旅行に行く事が出来ない日々を送っていたが、色々な人々の手を借りながら炎国のにたどり着くも、そこにも帝国の影が・・・。
え?なんで私に誰も教えてくれなかったの?そこ大事ー!
*本編は完結済みです。
*誤字脱字は程々にあります。
*なろう様にも投稿させていただいております。
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
龍王陛下は最強魔術師の王配を溺愛する
秋月真鳥
BL
ヨシュアはラバン王国の王弟で、魔術師だ。
大陸で一番大きな国であり、国土の隅々まで水の加護が行き渡って、豊かに栄える志龍(ジーロン)王国の龍王と政略結婚をする。
結婚式前の顔合わせで龍王は言った。
「あなたを愛するつもりはない」
それに対して、ヨシュアの反応は冷ややかなものだった。
「アクセサリーを愛するなんて、あなたは変態なのですか?」
険悪に始まった結婚生活。
ヨシュアと龍王は打ち解けて、歩み寄り、平和な家庭を築けるのか。
政略結婚から始まる中華風ボーイズラブ。
一章はくっ付くまでの物語、二章からは甘々のラブラブ日常物語です。
※奇数話が龍王(攻め)視点、偶数話がヨシュア(受け)視点です。
※険悪から始まるのでなかなかエロには到達しません。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる