32 / 107
参の巻~平安美女と平成美男の恋話~
㉜両想い、そして求婚 By扶久子
しおりを挟む
今、義鷹様と私、扶久子は二人きりだった。
…って、言っても几帳一枚隔てて側仕えの女房である亜里沙は控えているし、御簾越しの外には煌々と松明がたかれ一定の距離は取っているとはいえ、沢山の兵達が配置されている。
だが、しかしかかし!
少なくともお互いが見える範囲では二人きりなのだ。
見つめ合う瞳と瞳。
逸らすこともできずお互いの気持ちを見透かすかのように見つめ合った。
お互いの想いを伝えあった今、私達は両想い…の筈だ。
その沈黙に耐え切れず先に口を開いたのは義鷹様だった。
「姫…私のような醜い男に想いを寄せられては、姫を怯えさせるのではないかと私は…」
ああ…。
義鷹様のこの自分は醜い発言、一体何度目だろう。
でも、平成の世で残念女子だった私にはわかる。
真に私自身が、同じように『私なんか』といつも思っていたのだから。
儀鷹様はまだ信じきれないのだろう。
私は、その義鷹様の切ない気持ちが痛いほど分かるからこそ何度でも信じてもらえるまで言葉を尽くし態度で示そう!そう思った。
心の中で『私は美少女!私は美少女!この想い!喜ばれることはあっても疎まれることは無い筈!』と唱えて義鷹さ様に向き合う。
「そんな事ないです!そんな事ありえない。私の方こそ私のような冴えない娘は、義鷹様には迷惑かと思っていました」
「え?な!何を…そんな訳な…」
私は義鷹様のその否定しようとする言葉にかぶせるように告白を続けた。
「義鷹様は素敵です!本当に…は、初めてお会いした時も素敵な方だと思っていましたが、その後、言葉を交わすごとに、義鷹様の優しく温かいお人柄に惹かれました。つ…つつつ…つまり何が言いたいかと言いますと…」
私は恥ずかしさで、つっかえながらも義鷹様の切ない気持ちを払拭したくて、なけなしの勇気をふりしぼった。
そして言ったのだ!
これ以上ない程に誤解しようもない程にはっきりと自分の想いを!
「好きです!兄としてなどではなく一人の殿方として!何ならもう嫁にしてほしいほどに」
「っ!?」
義鷹様は心から驚いたようでその美しい瞳を大きく見開き戸惑いの表情をみせた。
その表情に『え?まさかまるっきり伝わって無かった?ひょっとして迷惑だった?』と、とたんに決心と言うか自分にかけた『私は美少女』という暗示が不安でとけそうになる。
「や…やはり、私のような者が…あ…厚かましいですよね?」否定してほしいと思いつつ敢えて自虐的に問いかける。
…我ながらあざとい。
「そそそ、そんな!厚かましいだなんて!それは、寧ろ私の方の気持ちで」
義鷹様はそう言ってくれた。
良かった。勘違いじゃないってことよね?
義鷹様も私を…。
そして、あざとい美少女な私は、またまた敢えて聞いてみる。
「迷惑ですか?」
「そんな訳ない!」
今度はきっぱりと応えてくれた。男らしい義鷹様、素敵すぎです!
そして、一生忘れられないであろう言葉を義隆様は紡いでくれた。
「姫…貴女のお言葉、真ならばどうか私の妻に!この義鷹一生、貴女だけを愛する事をお誓い申し上げます」
「!」私は今まさに自分が物語の主人公になったかのように(※いや、実際そうなんですけどね)感激し心が高揚した。
ああ、私きっと義鷹様に出会うためにこの平安世界に飛ばされたんだわ。
神様ありがとうございます。
そんな事を頭の中で走馬灯のようにこの世界に来てからの事を思い浮かべる。
そして私は一呼吸し、返事を待つ義鷹様にうっすらと喜びの涙を浮かべながら応えた。
「はい、喜んで」と笑顔で。
…って、言っても几帳一枚隔てて側仕えの女房である亜里沙は控えているし、御簾越しの外には煌々と松明がたかれ一定の距離は取っているとはいえ、沢山の兵達が配置されている。
だが、しかしかかし!
少なくともお互いが見える範囲では二人きりなのだ。
見つめ合う瞳と瞳。
逸らすこともできずお互いの気持ちを見透かすかのように見つめ合った。
お互いの想いを伝えあった今、私達は両想い…の筈だ。
その沈黙に耐え切れず先に口を開いたのは義鷹様だった。
「姫…私のような醜い男に想いを寄せられては、姫を怯えさせるのではないかと私は…」
ああ…。
義鷹様のこの自分は醜い発言、一体何度目だろう。
でも、平成の世で残念女子だった私にはわかる。
真に私自身が、同じように『私なんか』といつも思っていたのだから。
儀鷹様はまだ信じきれないのだろう。
私は、その義鷹様の切ない気持ちが痛いほど分かるからこそ何度でも信じてもらえるまで言葉を尽くし態度で示そう!そう思った。
心の中で『私は美少女!私は美少女!この想い!喜ばれることはあっても疎まれることは無い筈!』と唱えて義鷹さ様に向き合う。
「そんな事ないです!そんな事ありえない。私の方こそ私のような冴えない娘は、義鷹様には迷惑かと思っていました」
「え?な!何を…そんな訳な…」
私は義鷹様のその否定しようとする言葉にかぶせるように告白を続けた。
「義鷹様は素敵です!本当に…は、初めてお会いした時も素敵な方だと思っていましたが、その後、言葉を交わすごとに、義鷹様の優しく温かいお人柄に惹かれました。つ…つつつ…つまり何が言いたいかと言いますと…」
私は恥ずかしさで、つっかえながらも義鷹様の切ない気持ちを払拭したくて、なけなしの勇気をふりしぼった。
そして言ったのだ!
これ以上ない程に誤解しようもない程にはっきりと自分の想いを!
「好きです!兄としてなどではなく一人の殿方として!何ならもう嫁にしてほしいほどに」
「っ!?」
義鷹様は心から驚いたようでその美しい瞳を大きく見開き戸惑いの表情をみせた。
その表情に『え?まさかまるっきり伝わって無かった?ひょっとして迷惑だった?』と、とたんに決心と言うか自分にかけた『私は美少女』という暗示が不安でとけそうになる。
「や…やはり、私のような者が…あ…厚かましいですよね?」否定してほしいと思いつつ敢えて自虐的に問いかける。
…我ながらあざとい。
「そそそ、そんな!厚かましいだなんて!それは、寧ろ私の方の気持ちで」
義鷹様はそう言ってくれた。
良かった。勘違いじゃないってことよね?
義鷹様も私を…。
そして、あざとい美少女な私は、またまた敢えて聞いてみる。
「迷惑ですか?」
「そんな訳ない!」
今度はきっぱりと応えてくれた。男らしい義鷹様、素敵すぎです!
そして、一生忘れられないであろう言葉を義隆様は紡いでくれた。
「姫…貴女のお言葉、真ならばどうか私の妻に!この義鷹一生、貴女だけを愛する事をお誓い申し上げます」
「!」私は今まさに自分が物語の主人公になったかのように(※いや、実際そうなんですけどね)感激し心が高揚した。
ああ、私きっと義鷹様に出会うためにこの平安世界に飛ばされたんだわ。
神様ありがとうございます。
そんな事を頭の中で走馬灯のようにこの世界に来てからの事を思い浮かべる。
そして私は一呼吸し、返事を待つ義鷹様にうっすらと喜びの涙を浮かべながら応えた。
「はい、喜んで」と笑顔で。
1
お気に入りに追加
334
あなたにおすすめの小説
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です
花野はる
恋愛
先祖返りで醜い容貌に生まれてしまったセドリック・ローランド、18歳は非モテの騎士副団長。
けれども曽祖父が同じ醜さでありながら、愛する人と幸せな一生を送ったと祖父から聞いて育ったセドリックは、顔を隠すことなく前向きに希望を持って生きている。けれどやはりこの世界の女性からは忌み嫌われ、中身を見ようとしてくれる人はいない。
そんな中、セドリックの元に異世界の稀人がやって来た!外見はこんなでも、中身で勝負し、専属護衛になりたいと頑張るセドリックだが……。
醜いイケメン騎士とぽっちゃり喪女のラブストーリーです。
多分短い話になると思われます。
サクサク読めるように、一話ずつを短めにしてみました。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜
上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】
普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。
(しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます)
【キャラクター】
マヤ
・主人公(元は如月真也という名前の男)
・銀髪翠眼の少女
・魔物使い
マッシュ
・しゃべるうさぎ
・もふもふ
・高位の魔物らしい
オリガ
・ダークエルフ
・黒髪金眼で褐色肌
・魔力と魔法がすごい
【作者から】
毎日投稿を目指してがんばります。
わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも?
それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる