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弐の巻~そこは平安時代だった~
④謎のイケメン公達登場?By扶久子
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私は不安に押しつぶされされそうになりながらも必死で気持ちを奮い立たせ亜里沙たちを探しつつ外へ出ようと泡沫夢幻堂からの渡り廊下の方へと壁伝いに戻って行った。
途中、床が崩れていたり鴨井が崩れていたり惨憺たる有り様で壁伝いで進まなければまだ粉塵とくすぶる煙で周りもはっきりと見えないままである。
喉が痛い。
私は片手で着物の袖で口元を押さえつつもう片方の手で壁を確認しつつ来た方向にと足元に気を付けながら進んでいた。
すると崩れた鴨井の向こう…土煙のする中、突然人影があらわれ私に手をのばしたのだ。
「まだ人がいたのか!大丈夫かっ!」
そう言ってその人影は私の腕を掴みしゃがみこんだ私を引きあげ立ち上がらせた。
「きゃあっ!」
私は死ぬほど驚いて声をあげた。
引きあげられた拍子にわたしはその人の顔の間近に引き寄せられた。
そしてその人は私を見て驚いたように言ったのだ。
「っ!なんと!美しい!」
その逞しくも美しい公達姿の青年(推定十八~二十歳)はそうのたもうた。
もう一度言おう!公達姿の青年である!
まるで平安時代の貴族のようなその装いに私は目を瞠った。
何?この光源氏?みたいなイケメンお兄さんはっっ!
泡沫夢幻堂の御客様???
十二単だけじゃなくて公達姿の撮影でもあったのか?
いや…でも自分達以外の御客様は今日はいないと言っていたのに???と不審に思った。
多分二十歳ぐらいじゃないだろうか自分よりは随分と大人に見えるが、何?その時代劇みたいな喋り方!
しかも「美しいっ」て何?このイケメン…ちょっと胡散臭い!?
…と、思ったが、だがしかし!それどころではない!
いきなりの落雷で所々屋根が落ち床が抜けているのだから緊急事態だ。
相変わらず亜里沙たちとはまだ会えていないし、大体このイケメン何故いきなり現れたのか?あれやこれや整理のつかぬままに、めまぐるしく頭の中でぐるぐると思い悩む!
そう!あれだよ!まるで走馬灯のようにって感じ?
いや違うか?もうハイスピードのメリーゴーランドの如く!である!
一体何なのこの状況!誰か教えて!
そしていきなり、その美丈夫なお兄さん(イケメン公達)は私を抱きあげた!
私は驚いて真っ赤になってしまったであろう顔を手に持っていた扇でかくした。
「なっ何ですか!あっ!じっ、自分で歩けますしっ!うっ、美しいなんてそんな訳ないですからっ!」と焦りながらも否定した!
こんな非常時にタチの悪い冗談はやめてほしいっ!
(非常時じゃなくても嫌だけど!)と心の中で呟く。
そう!私は平凡な顔立ちである。
どちらかというと…いやさ、どちらかと言わなくても不細工だと自負している!
体形もぎりぎり標準…つまり華奢を理想とするならば残念なふっくらめの残念ボディだし顔の形だって理想が卵型だとするならば私はどっちかというと下膨れな洋梨型である。
お世辞にも美人とは言えない!
幸いまだ十五歳のお肌はニキビ一つシミひとつない色白だが…それだけである!
超絶美形のしかも逞しい公達姿のこの殿方が何でまたそんな『見え透いたお世辞』を言ってくれちゃってるのかは謎だ…それとも馬鹿にしているのか?
しかしこの写真館…泡沫夢幻堂ってば、男の人も公達姿とか撮りに来るのか?と感心した。
「ここは危険だ!とにかく建物から離れなくては!無礼を承知でご無礼つかまつる!」
その男性は、そう言って、いきなり私を抱きかかえ走りだした!
「えっええっ?嘘っ!きゃあっ!」
私は驚いて声をあげた。
照れるのもだが、その男性の逞しさに驚いた。
何せ私が今着ているのは撮影用の簡易形式のものとはいえ十二単なのである!
普通の服よりかはかなり布地も多いし重い筈で…えっ?何やだ凄い!
その男性はまるでおかまいなしに、決して華奢ではない私をお姫様を抱くようにして外に走りでた。
そして何人かの人が集まる広い場所まで来ると、そっとおろしてくれた。
そこで私はまた驚く光景を目にしたのだった。
途中、床が崩れていたり鴨井が崩れていたり惨憺たる有り様で壁伝いで進まなければまだ粉塵とくすぶる煙で周りもはっきりと見えないままである。
喉が痛い。
私は片手で着物の袖で口元を押さえつつもう片方の手で壁を確認しつつ来た方向にと足元に気を付けながら進んでいた。
すると崩れた鴨井の向こう…土煙のする中、突然人影があらわれ私に手をのばしたのだ。
「まだ人がいたのか!大丈夫かっ!」
そう言ってその人影は私の腕を掴みしゃがみこんだ私を引きあげ立ち上がらせた。
「きゃあっ!」
私は死ぬほど驚いて声をあげた。
引きあげられた拍子にわたしはその人の顔の間近に引き寄せられた。
そしてその人は私を見て驚いたように言ったのだ。
「っ!なんと!美しい!」
その逞しくも美しい公達姿の青年(推定十八~二十歳)はそうのたもうた。
もう一度言おう!公達姿の青年である!
まるで平安時代の貴族のようなその装いに私は目を瞠った。
何?この光源氏?みたいなイケメンお兄さんはっっ!
泡沫夢幻堂の御客様???
十二単だけじゃなくて公達姿の撮影でもあったのか?
いや…でも自分達以外の御客様は今日はいないと言っていたのに???と不審に思った。
多分二十歳ぐらいじゃないだろうか自分よりは随分と大人に見えるが、何?その時代劇みたいな喋り方!
しかも「美しいっ」て何?このイケメン…ちょっと胡散臭い!?
…と、思ったが、だがしかし!それどころではない!
いきなりの落雷で所々屋根が落ち床が抜けているのだから緊急事態だ。
相変わらず亜里沙たちとはまだ会えていないし、大体このイケメン何故いきなり現れたのか?あれやこれや整理のつかぬままに、めまぐるしく頭の中でぐるぐると思い悩む!
そう!あれだよ!まるで走馬灯のようにって感じ?
いや違うか?もうハイスピードのメリーゴーランドの如く!である!
一体何なのこの状況!誰か教えて!
そしていきなり、その美丈夫なお兄さん(イケメン公達)は私を抱きあげた!
私は驚いて真っ赤になってしまったであろう顔を手に持っていた扇でかくした。
「なっ何ですか!あっ!じっ、自分で歩けますしっ!うっ、美しいなんてそんな訳ないですからっ!」と焦りながらも否定した!
こんな非常時にタチの悪い冗談はやめてほしいっ!
(非常時じゃなくても嫌だけど!)と心の中で呟く。
そう!私は平凡な顔立ちである。
どちらかというと…いやさ、どちらかと言わなくても不細工だと自負している!
体形もぎりぎり標準…つまり華奢を理想とするならば残念なふっくらめの残念ボディだし顔の形だって理想が卵型だとするならば私はどっちかというと下膨れな洋梨型である。
お世辞にも美人とは言えない!
幸いまだ十五歳のお肌はニキビ一つシミひとつない色白だが…それだけである!
超絶美形のしかも逞しい公達姿のこの殿方が何でまたそんな『見え透いたお世辞』を言ってくれちゃってるのかは謎だ…それとも馬鹿にしているのか?
しかしこの写真館…泡沫夢幻堂ってば、男の人も公達姿とか撮りに来るのか?と感心した。
「ここは危険だ!とにかく建物から離れなくては!無礼を承知でご無礼つかまつる!」
その男性は、そう言って、いきなり私を抱きかかえ走りだした!
「えっええっ?嘘っ!きゃあっ!」
私は驚いて声をあげた。
照れるのもだが、その男性の逞しさに驚いた。
何せ私が今着ているのは撮影用の簡易形式のものとはいえ十二単なのである!
普通の服よりかはかなり布地も多いし重い筈で…えっ?何やだ凄い!
その男性はまるでおかまいなしに、決して華奢ではない私をお姫様を抱くようにして外に走りでた。
そして何人かの人が集まる広い場所まで来ると、そっとおろしてくれた。
そこで私はまた驚く光景を目にしたのだった。
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