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番外編
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しおりを挟む光紀が風呂から上がりリビングに向かうと、謙はソファーに座っていた。
「あ、やっと来た。光紀、遅すぎ」
もー、と不貞腐れる謙にごめんごめん、と言いながら光紀はテレビをつける。
特に見るものもなく適当なチャンネルをつけ、画面をぼんやりと眺めていた光紀はふと、腿の上に何かが置かれたような感覚を持った。
ちらりと謙の手が見える。
いつもならこんなことをされたらすぐにベッド行きなのだが、何故だか今日はまだ行く気にならない。
その代わり、少しいじってみよう、そんな思いが頭をよぎったのだ。
謙は顔を赤く染めながら下を向いたままだ。
光紀はそれをちらりと見ながらも、気付かないふりをする。
すると謙は置いたままの手を腿の上で小刻みに動かし始めた。
さりげないアピールに萌えながらも、それに負けじと光紀も無反応を押し通す。
テレビを見ながら思いっきり笑ったり、わざとらしいあくひをしながら、あー眠いと言ったり。
相手にされない謙は、さらに顔を赤くして足を絡めてくる。
気づけと言わんばかりの焦れったい攻撃にだんだんと限界を感じてきた。
これ以上は自分の体が持たないと察した光紀は、テレビを消し謙の方へ顔を向ける。
その時だった。
ーーとすんーー
「へぇ?」
視界が一瞬歪む。
目を開けると、前・・・いや、真上に謙の姿があった。
そこでやっと気づく。
謙に押し倒されていた。
「ど、どうしたんだよ」
「んー、ちょっと」
何がちょっとなんだ、と思いながら光紀はこの体制を解こうとした。
「・・・ん、あれ? 動けない・・・っ!!」
この状況に疑問を感じた光紀はより一層力を入れてみた。
しかし、どう頑張っても上半身がびくともしない。
この状況に苛立ちを隠せず何度も抵抗してみるも、謙は光紀の腕を笑顔でホールドし続けている。
謙の力がここまで強いことに今更ながら驚く光紀だったが、仕方がないので諦めて謙を掴んでいた手を離す。
「光紀が悪いんだからね・・・」
少し拗ねながらそう言った謙は自分の服のポケットから液体の入った小さな小瓶を取り出した。
その便の蓋を開け中に入っている液体を全て口に含んだかと思うといきなり光紀にキスをし、下で唇を割りその液体を流し込んできた。
「っふ、んんっ・・・んー!!」
息の出来ない苦しさと注ぎ込まれた液体の甘ったるさにむせかえる。
しばらくそうしていたが、光紀が我慢出来ずにその液体を飲み込むと、謙は唇を離した。
「はぁ・・・はぁ・・・、っ何でこんなこと」
今まで謙がこんなことをしてきたことはなかった。
それ以上に光紀が押し倒される立場になること自体が驚きだった。
謙は質問に答えず光紀の自身を服の上から撫でる。
「っ、っは!! ああぁ・・・っ」
「随分感じてるじゃん。撫でるだけで我慢できる?」
「・・・ゃ、できないっ」
出来るはずがない。
謙の愛撫と先ほど飲まされたおそらく媚薬であろう変な薬のせいで、自身はもう熱を持ち始めていた。
「分かった、今気持ちよくしてあげるから」
謙は光紀のズボンと下着を優しく下ろした。
そして露になったそこを溶かすように揉みしだいていく。
「やぁ、っくぅ・・・」
そのスピードはどんどん早くなっていき、性感帯を的確に攻めていく。
「どう? 気持ちいい?」
刺激を与え続けながら謙が聞く。
「んっ・・・はぁ・・・っきもち、いっ」
だんだんと絶頂に導かれ、ついに謙の手の中で光紀は達してしまった。
「っっ!!」
身体がびくっと震え、ソファーに光紀の体液が飛び散る。
それを見た謙がニヤニヤしながら口を開いた。
「ねぇ、もっと出るでしょ?」
「へ?」
いきなりの発言に言葉を失う。
「だってほら、これしか出てない」
謙が見せつけてくる手には、光紀が今吐き出したばかりの液が。
光紀は恥ずかしくなって、顔を背かせた。
「・・・あのさ」
「んー?」
「その、いつもは、さ、謙が・・・・・・受けてるじゃん」
「うん」
「だから・・・なんで、今日はこんな風になった・・・っていうか、なんで押し倒して来たのかなって、気になってて・・・」
光紀がそこまで言うと謙は慌てて話しだした。
「あっ!! もしかして、気持ちよくなかった・・・? それとも嫌、だったとか・・・」
「ううん、そうじゃなくて・・・」
むしろ気持ちよさは、普段の行為で謙を満足させることが出来ているのか自分が不安になるほどのものであったし、いやだなんてもってのほかだ。
「なんて言えばいいんだろう。謙がこんなことしてくれるの、初めてだから・・・変な感じっていうか」
「あーんー、それって嬉しいってこと?」
「っ・・・」
図星を突かれた気がしてつい黙ってしまう。
「じゃぁ、今確かめてもいい?」
光紀の身体に謙触れる。
「・・・続き、してもいいよね?」
光紀はこくりと頷いた。
そのままベッドに連れていかれると、さっきは出来なかったちゃんとしたキスをする。
でもそれは唇を触れ合わせるだけの軽いもので終わり、謙はいきなり光紀の自身を握った。
「やぁっ、早すぎだって!!」
「そんなに待てないよ」
すでに腹につくほど反り返っているそこを、謙はまた抜いていく。
「あっ、んんぅ・・・」
「声、もっと出していいんだよ?」
根本を強く刺激され身体はびくびくと痙攣している。
「やあっ、んもぅ、イッちゃう・・・」
「我慢しないで」
そう言いながら謙は閉まっている光紀の後孔に指を入れた。
「ひぁっ」
前とは違う快感が身体に伝わる。
光紀の自身から出てるく先走りは後ろまで垂れて、秘部へと伝わっていき触れるとぴちゃぴちゃと音を立てる。
「そろそろ入れてもいい?」
謙は一旦手を止めて、自分のズボンと下着を下ろした。
現れたそこは完全に勃ちあがり、先走りも出ていた。
「こんなに濡れてたらジェルつけなくてもへーきかな」
謙はまた笑顔で言う。
しかし、光紀は正直まだ不安だった。
「・・・・・・」
「ん? どうしたの、そんな顔して」
「・・・いや、べつに」
「・・・、もしかしてさぁ、怖い?」
「ーーっ」
図星だった。
いつも入れる側だった光紀は、受け身の立場は正直わからなかった、いざ自分がその身になってみると恐怖心を感じてしまう。
「・・・大丈夫だよ」
謙が光紀の頭を撫でる。
「僕も上手く出来るかわかんないよ。だから薬にも頼っちゃったし・・・。でも、光紀が僕にしてくれる時みたいに出来るだけ優しく・・・頑張ってみるから」
言い終わると謙は光紀の頬に軽くキスをした。
光紀は無言で頷いた。
「・・・入れるよ」
熱いものが後孔に宛てがわれ、思わず光紀は目を閉じてしまう。
そして謙はそれをゆっくりと光紀の中に突き入れていく。
「・・・っ、あぁ・・・!!」
物凄い質量が光紀の中に入り込んでくる。
光紀がこの感覚を覚えたのはこの日が初めてだった。
見ると、謙は少し苦しそうな顔をしながら光紀を見つめていた。
「やだ・・・っそんなに見ないで」
「光紀だっていつもこういうとき、僕の顔ずっと見てるくせに」
そして今度は胸元にキスをされる。
「動かすよ」
謙は熱を孕ませた光紀の前を刺激しながら、後ろの抜き差しも繰り返す。
「あぁ、くっ、あぁ!!」
「ん・・・光紀の中、熱くてきつい」
二人の動きはだんだん速くなり、光紀は再び絶頂を迎えようとしていた。
「あ・・・んっ、もう、イくっ」
「僕もっ」
激しく腰を振り、目の焦点を失いそうになる。
「っ・・・出すよ」
中に出された熱いもの。
その感覚で光紀の自身も白濁を散らした。
「・・・謙」
「なに?」
隣に寝ている謙が、布団をもぞもぞとさせながら光紀に近づく。
「・・・近すぎ」
「いいじゃん。で、何?」
「・・・あのさぁ」
「うん」
光紀は言葉に詰まる。
こういう時はなんといえばいいのだろう。
聞きたいことがある。
しかし、言葉の整理が上手くできない。
「・・・光紀?」
「えっと、んーと、やっぱ何でもない。ごめん」
そう言って光紀は謙を強く抱きしめる。
「ん? 意味わかんないんだけど」
「俺も、よくわかんない」
「なんだそれ」
そして謙も光紀を抱き締め返した。
「光紀」
「はい?」
「・・・気持ちよかった?」
やっぱり、謙なら必ず聞いてくると思ってた。
「・・・知ってて聞いてるだろ」
「知ってても聞きたい」
自覚を持った確信犯だ。
「・・・媚薬は、必要なかったと思うけどな」
「それはよかった」
謙は嬉しそうに微笑んだ。
この顔を見ると光紀はどうしても可愛くてたまらなくなる。
今度は攻められてたまるか。
次は絶対に謙をめちゃくちゃに愛してやる。
そんなことを決心して光紀はゆっくりと瞼を閉じた。
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