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第2章 社燕秋鴻

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それでも今ここでうだうだした所で外れてくれる訳でもないし、気持ち悪さを抱きつつも大学へ行くための準備をようやく始める。
基本的に発情期は3ヶ月に1度1週間程度だ。
ヒートだろうと関係なくいつも通りの期間ですっかり良くなった。
だから、あの日静先輩と話してから4,5日ほど眠っていたわけだけれど、よくよく時計を見てみればまだ針は午前4時を指していた。

大学に行くにはかなり早い時間でまだ寝ていてもいい時間なのだが、いくらヒートだったとはいえあれだけ寝ていたのだ。
今更また寝ようという気にもならない。
そこで、1週間も寝ていたのだ、あちこち埃もたまりはじめているだろうし、お腹も減ったからと、掃除やら料理やらしよう、と意気込んで見た。

「~っ、ほんと、なんなのあの人」
カッコよすぎない!?

どうやらあの日以降も静先輩はうちに来ていたらしく、埃一つなければ、起きたら食べてとメモ付きの軽食すらラップされてテーブルの上に用意されていた。
それを見た瞬間、カッと一気に顔が熱くなったのを感じて思わずその場にうずくまる。

‪α‬とΩのフェロモンによる欲は並大抵の精神力では耐えきれない。
それを抑えて、あれだけスマートに助けてくれて、その姿だけでも相当カッコよかったのに。
そんな人が、家事もできるって。

なんでもかんでもスマートにこなしちゃうから。
静先輩に出会ってから僕の心臓はドキドキしっぱなしだ。
ダメだとわかっているのに、こうやってどんどんどんどん抜け出せなくなっていくんだ。

そうやってうーとかあーとか唸っていたけれど、いつまでも蹲っている訳にもいかないからまだ4時ではあるけど、他にやることもなければ確かにお腹は空いているからと、用意してもらったサンドイッチを食べることにする。
自分のためだけに作られたご飯は、とても優しい味がした。

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