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第五章:『闇乃宮肆ノ闘戯場/雷獣シネコ』
【第33話】
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「どうだ、ヤミネコ!? このまま消失……させられそうか?」
風乃宮でシン・ゴブガミを倒した時の要領で強大な魔力塊にそれ以上の力を持つ魔力塊をぶつけ、干渉崩壊させると言うヤミネコの作戦に助太刀した探。
あの時は英里子部長が創った地下道に逃げると言う選択肢があったが逃げ場の無いここで、今、大爆発を起こされたら子供達はもちろん闇乃宮討伐隊の全滅は不可避……討伐隊総大将として最悪の結末を回避すべく探はヤミネコに問う。
『うむ、この様子なら……爆発させず完全無力化および自然崩壊させられそうですぞ!!雲隠殿、ご協力誠にありがとうございます!!』
自身と探のダブル衝刃撃の魔力干渉及び同化によりしゅわしゅわと消滅していく闇渦を前に油断なく刀を構えていたヤミネコは兜の奥に光る真っ赤な瞳を爛々と光らせつつも黒太刀を鞘に納める。
「よしっ、じゃああとは……あのシネコをどうにかして第五闘戯場に進むだけだな」
下半身をギザギザ板に変形させたシルバーデストロイメン、デストロイ・トーチヤースツール上に正座させられ、そのまま上半身に説教されて半泣きのシネコを見やっていた探もアイテムスキャナーで同じ結論に至り、二刀流を鞘に納める。
「パパ!! かっこよかったわ!!」
「すごいよ、父さん!!」
「見事でございます、若館様!!」
父に駆け寄る双子と式神タタラ。
「で、コイツはどうするよダークネスアーマード?」
『兄ちゃん、コイツら怖いよお……マジで敵に回さないでくれぇ』
デストロイ・トーチャースツールで石抱きに処された後、そのままスマキにされて須田丸に吊るし持たれた第四闘戯場の主、シネコは半泣きでヤミネコに命乞いする。
『…… うむ、その者は魔獣として幼きが故に命を取るまでも無かろう。とりあえずはそなたらに預けるつもりだ』
『兄ちゃん、そんな事言わないでくれえ!! 次何かあったらオイラはギロチンだよぉ!!』
「ソイツハメイアンダ!! ゼヒトモソウサセテモラウゼ」
『のぉぉぉぉ!!』
シルバーデストロイメンとシネコのコントを無視してライブハウスの壁に手を当てて詠唱開始し、第五闘戯場への間を開こうとするヤミネコ。
『……みんな逃げて!!』
「華咲!?」
「ママ!!」
そんな中、突如天丼スピーカーから響き出す囚われの美香の声。
「美香、無事だったのか!!」
『探さん、あれはまだ消えてないわ!! もうじか……が……な…… !!』
雑音とハウリング音にかき消されていく美香の警告に闇乃宮討伐隊メンバーはステージの方を見るが何もない。
「母さんが言うあれってもしかして……アレの事じゃないのか?」
絶対にある事を前提によく見なければ気づけないサイズ感なステージ中空に浮かぶ小さな黒い球。
発動させた『ヒートセンス』の感知力で最初にそれに気が付いたタケルの指さす方向を大人達は凝視する。
「ヤミネコ!! もう一発だ!!」
アイテムスキャナーで完全消滅確認したにも関わらず、いつの間に再生していた謎の黒魔力塊。
それを再破壊すべく二刀流を抜いた探はヤミネコに叫ぶ。
『ヒートオーバードライブ!!』
『やめろにゃ、クモガクレ!!』
シネコが叫ぶも遅く、探の右手甲を覆う蒼炎。
それと同時に黒魔球も一瞬で膨張変形し、巨大リング化。
『クリエイトストーン!!』
『闇与(やみあたえ)!!』
ブラックホールとして覚醒したそれは第四闘戯場にごちゃごちゃと置かれたライブハウス機材やその他のモノを闇の虚空に吸い込みはじめる。
「助かったぞ、タケル……ありがとう」
オリジナル技・ヒートセンスで誰よりも早く危険を察知し、その場の全員を覆うように石製かまくらを一気に創生したタケルはブラックホールに吸い込まれない安全地帯内で安堵の息を吐く。
「おい、チビネコ!! アレは何なんだ!!」
「大人しく吐け!! さもないと爪を1枚ずつ剥がすぞ!!」
スダマルに締め上げられたシネコの背後を取ったナルカミノミヤノミコトは肉球プニプニな猫手の指をブニブニして爪を露出させ、小刀の輸を外す。
『あっ、あれは最終奥義ダークネスパラダイスだにゃ。
あれが完全発動すれば最後、オイラ以外の敵は全て吸い込まれてジ・エンド……になるはずだったんだけど……中途半端に魔力生成した状態で怖いシルバードクロさんがオイラの制御デバイスをぶっ壊したからあんな事になっちゃったんだにゃぉ!!
爪だけはお許しをぉぉぉ!! 兄ちゃん、助けてえ!!』
説明をしつつ足をばたつかせ、ヤミネコを呼んでもがくシネコ。
「そういえばあの黒甲冑はどこ?」
「おらぬようだが……まさかまだ危険な外に?」
その言葉に岩かまくら内を見回す式神ライとミズノミヤノミコト様。
「そう言えばパパ、パパは……どこ?」
「雲隠!!」
不安そうに周りを見回しだすエミに茜は叫びながら立ち上がる。
【第33話につづく】
風乃宮でシン・ゴブガミを倒した時の要領で強大な魔力塊にそれ以上の力を持つ魔力塊をぶつけ、干渉崩壊させると言うヤミネコの作戦に助太刀した探。
あの時は英里子部長が創った地下道に逃げると言う選択肢があったが逃げ場の無いここで、今、大爆発を起こされたら子供達はもちろん闇乃宮討伐隊の全滅は不可避……討伐隊総大将として最悪の結末を回避すべく探はヤミネコに問う。
『うむ、この様子なら……爆発させず完全無力化および自然崩壊させられそうですぞ!!雲隠殿、ご協力誠にありがとうございます!!』
自身と探のダブル衝刃撃の魔力干渉及び同化によりしゅわしゅわと消滅していく闇渦を前に油断なく刀を構えていたヤミネコは兜の奥に光る真っ赤な瞳を爛々と光らせつつも黒太刀を鞘に納める。
「よしっ、じゃああとは……あのシネコをどうにかして第五闘戯場に進むだけだな」
下半身をギザギザ板に変形させたシルバーデストロイメン、デストロイ・トーチヤースツール上に正座させられ、そのまま上半身に説教されて半泣きのシネコを見やっていた探もアイテムスキャナーで同じ結論に至り、二刀流を鞘に納める。
「パパ!! かっこよかったわ!!」
「すごいよ、父さん!!」
「見事でございます、若館様!!」
父に駆け寄る双子と式神タタラ。
「で、コイツはどうするよダークネスアーマード?」
『兄ちゃん、コイツら怖いよお……マジで敵に回さないでくれぇ』
デストロイ・トーチャースツールで石抱きに処された後、そのままスマキにされて須田丸に吊るし持たれた第四闘戯場の主、シネコは半泣きでヤミネコに命乞いする。
『…… うむ、その者は魔獣として幼きが故に命を取るまでも無かろう。とりあえずはそなたらに預けるつもりだ』
『兄ちゃん、そんな事言わないでくれえ!! 次何かあったらオイラはギロチンだよぉ!!』
「ソイツハメイアンダ!! ゼヒトモソウサセテモラウゼ」
『のぉぉぉぉ!!』
シルバーデストロイメンとシネコのコントを無視してライブハウスの壁に手を当てて詠唱開始し、第五闘戯場への間を開こうとするヤミネコ。
『……みんな逃げて!!』
「華咲!?」
「ママ!!」
そんな中、突如天丼スピーカーから響き出す囚われの美香の声。
「美香、無事だったのか!!」
『探さん、あれはまだ消えてないわ!! もうじか……が……な…… !!』
雑音とハウリング音にかき消されていく美香の警告に闇乃宮討伐隊メンバーはステージの方を見るが何もない。
「母さんが言うあれってもしかして……アレの事じゃないのか?」
絶対にある事を前提によく見なければ気づけないサイズ感なステージ中空に浮かぶ小さな黒い球。
発動させた『ヒートセンス』の感知力で最初にそれに気が付いたタケルの指さす方向を大人達は凝視する。
「ヤミネコ!! もう一発だ!!」
アイテムスキャナーで完全消滅確認したにも関わらず、いつの間に再生していた謎の黒魔力塊。
それを再破壊すべく二刀流を抜いた探はヤミネコに叫ぶ。
『ヒートオーバードライブ!!』
『やめろにゃ、クモガクレ!!』
シネコが叫ぶも遅く、探の右手甲を覆う蒼炎。
それと同時に黒魔球も一瞬で膨張変形し、巨大リング化。
『クリエイトストーン!!』
『闇与(やみあたえ)!!』
ブラックホールとして覚醒したそれは第四闘戯場にごちゃごちゃと置かれたライブハウス機材やその他のモノを闇の虚空に吸い込みはじめる。
「助かったぞ、タケル……ありがとう」
オリジナル技・ヒートセンスで誰よりも早く危険を察知し、その場の全員を覆うように石製かまくらを一気に創生したタケルはブラックホールに吸い込まれない安全地帯内で安堵の息を吐く。
「おい、チビネコ!! アレは何なんだ!!」
「大人しく吐け!! さもないと爪を1枚ずつ剥がすぞ!!」
スダマルに締め上げられたシネコの背後を取ったナルカミノミヤノミコトは肉球プニプニな猫手の指をブニブニして爪を露出させ、小刀の輸を外す。
『あっ、あれは最終奥義ダークネスパラダイスだにゃ。
あれが完全発動すれば最後、オイラ以外の敵は全て吸い込まれてジ・エンド……になるはずだったんだけど……中途半端に魔力生成した状態で怖いシルバードクロさんがオイラの制御デバイスをぶっ壊したからあんな事になっちゃったんだにゃぉ!!
爪だけはお許しをぉぉぉ!! 兄ちゃん、助けてえ!!』
説明をしつつ足をばたつかせ、ヤミネコを呼んでもがくシネコ。
「そういえばあの黒甲冑はどこ?」
「おらぬようだが……まさかまだ危険な外に?」
その言葉に岩かまくら内を見回す式神ライとミズノミヤノミコト様。
「そう言えばパパ、パパは……どこ?」
「雲隠!!」
不安そうに周りを見回しだすエミに茜は叫びながら立ち上がる。
【第33話につづく】
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