ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

文字の大きさ
上 下
33 / 79
第五章:『闇乃宮肆ノ闘戯場/雷獣シネコ』

【第33話】

しおりを挟む
「どうだ、ヤミネコ!? このまま消失……させられそうか?」
 風乃宮でシン・ゴブガミを倒した時の要領で強大な魔力塊にそれ以上の力を持つ魔力塊をぶつけ、干渉崩壊させると言うヤミネコの作戦に助太刀した探。
 あの時は英里子部長が創った地下道に逃げると言う選択肢があったが逃げ場の無いここで、今、大爆発を起こされたら子供達はもちろん闇乃宮討伐隊の全滅は不可避……討伐隊総大将として最悪の結末を回避すべく探はヤミネコに問う。
『うむ、この様子なら……爆発させず完全無力化および自然崩壊させられそうですぞ!!雲隠殿、ご協力誠にありがとうございます!!』
 自身と探のダブル衝刃撃の魔力干渉及び同化によりしゅわしゅわと消滅していく闇渦を前に油断なく刀を構えていたヤミネコは兜の奥に光る真っ赤な瞳を爛々と光らせつつも黒太刀を鞘に納める。
「よしっ、じゃああとは……あのシネコをどうにかして第五闘戯場に進むだけだな」
 下半身をギザギザ板に変形させたシルバーデストロイメン、デストロイ・トーチヤースツール上に正座させられ、そのまま上半身に説教されて半泣きのシネコを見やっていた探もアイテムスキャナーで同じ結論に至り、二刀流を鞘に納める。

「パパ!! かっこよかったわ!!」
「すごいよ、父さん!!」
「見事でございます、若館様!!」
 父に駆け寄る双子と式神タタラ。
「で、コイツはどうするよダークネスアーマード?」
『兄ちゃん、コイツら怖いよお……マジで敵に回さないでくれぇ』
 デストロイ・トーチャースツールで石抱きに処された後、そのままスマキにされて須田丸に吊るし持たれた第四闘戯場の主、シネコは半泣きでヤミネコに命乞いする。
『…… うむ、その者は魔獣として幼きが故に命を取るまでも無かろう。とりあえずはそなたらに預けるつもりだ』
『兄ちゃん、そんな事言わないでくれえ!! 次何かあったらオイラはギロチンだよぉ!!』
「ソイツハメイアンダ!! ゼヒトモソウサセテモラウゼ」
『のぉぉぉぉ!!』
 シルバーデストロイメンとシネコのコントを無視してライブハウスの壁に手を当てて詠唱開始し、第五闘戯場への間を開こうとするヤミネコ。
『……みんな逃げて!!』
「華咲!?」
「ママ!!」
 そんな中、突如天丼スピーカーから響き出す囚われの美香の声。
「美香、無事だったのか!!」
『探さん、あれはまだ消えてないわ!! もうじか……が……な…… !!』
 雑音とハウリング音にかき消されていく美香の警告に闇乃宮討伐隊メンバーはステージの方を見るが何もない。
「母さんが言うあれってもしかして……アレの事じゃないのか?」
 絶対にある事を前提によく見なければ気づけないサイズ感なステージ中空に浮かぶ小さな黒い球。
 発動させた『ヒートセンス』の感知力で最初にそれに気が付いたタケルの指さす方向を大人達は凝視する。
「ヤミネコ!! もう一発だ!!」
 アイテムスキャナーで完全消滅確認したにも関わらず、いつの間に再生していた謎の黒魔力塊。
 それを再破壊すべく二刀流を抜いた探はヤミネコに叫ぶ。
『ヒートオーバードライブ!!』
『やめろにゃ、クモガクレ!!』
 シネコが叫ぶも遅く、探の右手甲を覆う蒼炎。
 それと同時に黒魔球も一瞬で膨張変形し、巨大リング化。
『クリエイトストーン!!』
『闇与(やみあたえ)!!』
 ブラックホールとして覚醒したそれは第四闘戯場にごちゃごちゃと置かれたライブハウス機材やその他のモノを闇の虚空に吸い込みはじめる。

「助かったぞ、タケル……ありがとう」
 オリジナル技・ヒートセンスで誰よりも早く危険を察知し、その場の全員を覆うように石製かまくらを一気に創生したタケルはブラックホールに吸い込まれない安全地帯内で安堵の息を吐く。
「おい、チビネコ!! アレは何なんだ!!」
「大人しく吐け!! さもないと爪を1枚ずつ剥がすぞ!!」
 スダマルに締め上げられたシネコの背後を取ったナルカミノミヤノミコトは肉球プニプニな猫手の指をブニブニして爪を露出させ、小刀の輸を外す。
『あっ、あれは最終奥義ダークネスパラダイスだにゃ。
 あれが完全発動すれば最後、オイラ以外の敵は全て吸い込まれてジ・エンド……になるはずだったんだけど……中途半端に魔力生成した状態で怖いシルバードクロさんがオイラの制御デバイスをぶっ壊したからあんな事になっちゃったんだにゃぉ!! 
 爪だけはお許しをぉぉぉ!! 兄ちゃん、助けてえ!!』
 説明をしつつ足をばたつかせ、ヤミネコを呼んでもがくシネコ。
「そういえばあの黒甲冑はどこ?」
「おらぬようだが……まさかまだ危険な外に?」
 その言葉に岩かまくら内を見回す式神ライとミズノミヤノミコト様。
「そう言えばパパ、パパは……どこ?」
「雲隠!!」
 不安そうに周りを見回しだすエミに茜は叫びながら立ち上がる。

【第33話につづく】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

Link's

黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。 人類に仇なす不死の生物、"魔属” そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者” 人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている―― アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。 ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。 やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に―― 猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

処理中です...