MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士

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【第五章:エデン第五区画/特殊物理学研究ラボ】

【第74話】

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『はあっ!!』
 カッパマンの手を離れ、上空に投げ放たれる特殊物理兵器・コウキンジョウ。
 音速飛行する様が撮影された有名なUMA・フライングフィッシュのように一直線に大岩小岩の石雨の中に飛び込んだそれは大岩を避けてしなやかな鞭のようにクネクネと自立飛行。
 小岩をその動きで払い落して使用者のカッパマンやその仲間達に当たらない場所へ弾き飛ばしていく。
『ブウウウウン!! ブウウウウォォオン!!』
 歯を食いしばり、豚顔を真っ赤にしながら動力炉出力最大値キープの力任せに特殊物理兵器・バショウセンを上空に振り回すピッグマン。
 それにより上空に生じるスーパー空気砲そのものな暴風撃で小岩は言うまでもなく結構な大岩も落下軌道を矯正変更させられ、サン博士とモンキーマン達を避けて特殊物理研究施設、地下室床にズドンズシンと落下して行く。
「モンキーマン、アレが隕石の核よ!!」
 石雨が降り注ぎつつも、カッパマンとピッグマンに安全確保された中でひときわ大きい黒塊を発見したサン博士。
『なるほど、あれだけのモンの中心部だけあってデケぇブゥ!!
 だが博士にモンキーマン、安心するブウ!! あんなモンおいらがホームランしちゃるブウよ!?』
 数え切れないほどバショウセンを振りまくづて、オーバーヒート気味なビッグマンはハイテンションになった勢いのままにバショウセンを振ろうとする。

「ピッグマン、やめなさい!!」
 力任せにバショウセンを振らんとするピッグマンを止めるサン博士。
「モンキーマン……1分で決着をつけるわよ」
 すぐにカッパマンとピッグマンを下がらせ、モンキーマンに指示するサン博士。
『了解した、エージェント。 システム発動指示願います』
 いつもの伸縮自在なモンキーロッドではなく重力操作で力の谷間を作り出すことで空間を引き裂くように対象を圧撃破壊する剣型特殊物理技術兵器・グラビディブレイド&シチセイケンの二刀流を構えたモンキーマンはレジスタンス軍ソルジャーとして応じる。
『エージェント!? お前どうしちまったんだブヴ!?』
 いつものように博士と呼ばないモンキーマンに戸惑うピッグマン。
『1分で決着……博士殿、まさか貴女様はモンキーマン殿のアレを御したと申すのですか!?』
 半直感的ではあるがェデン第一区画、絡新婦の巣窟と化した旧迎賓館での激闘記憶が蘇るカッパマン。
「セイテンタイセイ発動!!」
 サン博士の凍とした声が地下室に響く。

『ウッ……グォォォオォォ!!』
 サン博士の凛とした命と共に金色の光を失い、銀色に変色していくモンキーマンの頭部のアンドロイド特殊制御デバイス・キンコジュ。
『ゴァァァァ!!』
 特殊物理兵器を両手に持ったモンキーマンは目を見開き、腰をそらせて上空にものすごい咆哮をあげる。
『こっこれは……まずいですよ!! ピッグマン君!! 博士をお守りしなさい!!』
 アレはモンキーマンにあってモンキーマンに非ず。
 サン博士の護りをピッグマンに任せ、超振動ブレイド二刀流でモンキーマンに対時するカッパマン。
『カッパ……マン、アブネェゾ……』
『!?』
 それに対し瞳孔を全開に見開いたガンギマ眼のまま途切れ途切れながらも意思疎通を図ろうとうするモンキーマン。
 特殊物理兵器・コウキンジョウで縛り上げて機能停止させようとしていたカッパマンは動きを止める。
『モンキーマン殿、私が分かるのですか?』
『オマエ、エス、ワイ、ケイ、ゼロ、ニイ、ニイ。カッパマン』
『……』
『オレハエス、ワイ、ケイ、ケイ、 トリプル、ゼロ。モンキーマン。 イマカ、ラアレ、ブッコワ、ス。
 オマエ、ハカセ……マモレ、タノ……ム』
 サン博士が何をしたかは分からないが、目の前で言葉を絞り出すこの人型戦闘用アンドロイドはエデン第一区画で狂気のままに上位管理者を単騎撃破したアンドロイドデストロイヤーとは全く別の存在だ。
 数語のやり取りで確信を得たカッパマンは笠の端つまんで頭を下げるとすぐに摺り足で背後に身を引く。


【MMS 第75話につづく】
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