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【第五章:エデン第五区画/特殊物理学研究ラボ】

【第61話】

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『随分広い所に出たブウ……』
 上位管理者アンドロイド・キンカク&ギンカクのアンドロイド用特殊戦闘機工と思しき光の輪でエデン第五区画・特殊物理技術研究施設に到着したサン博士と3体の戦闘用アンドロイド達。
 指定順路の行き止まりにあったエレべーターに乗って下り、開いた扉の向こうにあったのは遥か頭上のドーム天窓から光が注ぐ無機質な金属の大広間だ。
「ここで何をしろというのかしら?」
 電撃銃を構えたまま慎重に広間中央に向かうサン博士。
『どうやらここはコロッセオのようだぜ、博士。
 カッパマンとピッグマンも気を抜くな……あいつらは強いぞ』
「あいつら?」
『上ですぞ、サン殿!!』
「!!」
 頭上から音もなく落ちて来た何かに気づき、すぐに華麗なバク転3連バックジャンプを決めるサン博士。
 4人の目の前に着弾して大きく広がるのは汎用型捕縛兵器・メタルネット弾だ。
『ピッグマン、お前運だけはいいんだな』
『そうみたいだ……ブウ』
 黒いピチピチ全身ボディスーツのサン博士が新体操オリンピック級の華麗なバク転3連バックジャンプを決めるスタイリッシュさに見惚れてしまったとは言え、立ち位置的に被弾を免れたピッグマン。
『ほほほ、運も実力の内ですからな同士よ。
 それよりも、そこの御三方……いつまでそこにいるつもりですか? メタルネットバズーカーだけで我々を倒せると思ったら大間違いですぞ?』
 博士達のいる位置から見て中2階に立つ3体のアンドロイドを晩むカッパマン。
 ゆったりとした白いフード付きローブを羽織った攻撃者は無言ながらもそれに応じるかのように腰を低くし、そこから飛び降りて来る。
『久しぶりだな、モンキーマン……我が名はSYK-044・コリキセン!!
 キンカク&ギンカク様をお守りする特殊物理学研究ラボ警護部隊・サンタイセン、リーダーである!!』
 中腰テレマークポーズで着地し、すぐに立ち上がる3人。
 自己紹介しつつ最初にフードを下ろした中央の人型アンドロイドは虎の頭部を見せる。
『俺はサンタイセンが1人、SYK-045・ロクリキセン!!
 あの時の恨み……忘れたとは言わせないシカ!!』
 続いて自己紹介と共にフードを下ろす右側の人型アンドロイドは鹿の頭部。
『俺はサンタイセンが1人、SYK-046・ヨウリキセン!!
 キンカク&ギンカク様の力でアップグレードされたオレ達……ここがお前らの墓場だメエ!!』
 最後にフードを下ろしつつ自己紹介をする左側の人型アンドロイドは羊の頭部。
 サンタイセンと名乗る人型アンドロイド達はサン博士と3体の戦闘用アンドロイドを前に身構える。

(モンキーマン殿、あやつらと知り合いなのですか?)
 ヒラヒラとしたローブを羽織った未知の敵が中に何を仕込み隠しているのかは予測困難であるが故に先制攻撃を仕掛けるべきでないと判断し、敵の動きを見守るサン博士達。
 そんな中でカッパマンは隣のモンキーマンに小声で尋ねる。
(いや、知らねえ……カッパマンはどうなんだ?)
(私もあのような知り合いはおりませぬ、ピッグマン殿は?)
(オイラも知らんブウ、ハカセはどうなんだ?)
(おそらくだけど……あいつらは私達と交戦したアンドロイドの人工知能データバックアップを新しい戦闘アンドロイド用ボディに移植した物である可能性が高いわ。
 外見は異質ながらも奴らの中身はあのコウガイジのコピーでほぼ確定ね)
 全容は明らかにされていないものの、断片的に分かって来たミクラ・ブレインの人類救済計画とそれを遂行するために実用化されていた技術の数々。
 3体の敵アンドロイドを前にサン博士は三方の護りを固める仲間に小声で答える。

『おいおい、そりゃねえよサン博士!!』
「はあ!?」
『あの戦いを忘れるなんて……なんのために俺たちは荒海に突き落とされたんだよ!!』
『モンキーマンと博士なら分かるだろ!! 俺らはエデン第一埠頭で、あんたらと激闘を繰り広げた……ほら、分かってくれよ!!』
 小声での会話を聞きつけ、いきなり謎のクレームを付けて来るコリキ・ロクリキ・ヨウリキのサンタイセン特殊警護部隊。
 その意図が理解できない4人はポカーンとしてしまう。

【MMS 第62話につづく】
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