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【第四章:エデン第三区画/旧総合医療技術研究施設棟】

【第53話】

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『博士、大変だブウ!! ソルジャーの嬢ちゃんが!!』
「なんですって!?」
 両手首と足首をまとめて縛られ、口を塞がれた状態でコウガイジに担がれていたソルジャー・マツモト。
「ううーッ!! いーっ!!」
 いつのまにかサン博士の横から消えていたマツモトはごわつくツナギのまま芋虫のように拘束されつつもじたばたしてコウガイジの胸板を何度も蹴りつつ肩甲骨に頭突きをするが数千度の熱にも耐える人型アンドロイド用特殊超耐熱ゴム外皮で覆われた特殊合金ボディの相手にダメージが通るはずもない。
『今後の事はエデン第二区画中央管理施設のあんたの仲間たちに連絡する。だから一度そこに戻れ……ではさらばだ』
 そう言いつつ背後に現れた白い光の輪に消えて行くコウガイジとソルジャー・マツモト。
「ううーっ!! うーっ!!」
「待て!!」
『バカ、やめるブウ!!』
 ピッグマンの後ろから滑り出すように飛び出し、仲間を連れ去ろうとする敵を電撃銃で制止しようとしたサン博士。
 だが足がもつれて転んでしまった博士は顔面から硬い床に倒れ、そのまま意識を失ってしまう。

「……うっ、うう」
 薄暗い空間で目覚めたサン博士。
『脳波測定……覚醒確認、メディカルカプセル・システムスリープ解除いたします』
「ここは、どこだ……?」
 ゴソウカン最上階での記憶を最後に見覚えのない狭い場所でクッション上に横になっていた博士は薄青いライトが灯って自身の顔が目の前の半球型ガラスに歪んで映る様に顔をしかめる。
『フトウ様、お目覚めになったのですね!!』
 続いて耳元のスピーカーから聞こえる女性の声。
「コマンダー・ジャンヌ!? と、言う事は……」
『はい、ここは我らが仮レジスタンスベース内でございます!! いま、着替えをお持ちしますので少々お待ちください!!』
「着替え?」
 機械駆動音と共に動き出し、ゆっくりと上に開いて行く半球型ガラス付きの蓋。
 エデン第二区画中央管理施設に置かれていたメディカルカプセルに寝かされていたサン博士は素肌に直接空気があたるひやりとした感触で自身がピチピチ全身ボディスーツを脱がされて一糸まとわぬ全裸であった事をようやく認識する。

「コマンダー、ありがとう。本当に助かったわ」
 カプセルから出て程なく、サン博士はコマンダー・ジャンヌが持ってきた全身黒ボディスーツを素肌上にピッタリと着用。
 その上にプロテクターも装着し、電撃銃とグラビディブレイドを武器ベルトに戻していくサン博士。

 ゴソウカンでキンコジュを嵌められて新たな仲間となった戦闘用人型アンドロイドSYK-019・ピッグマンは予備カッパワイヤーを壁に引っかけて落下大破だけは回避したカッパマンと機能停止したモンキーマン、心身ともに疲労と緊張の限界に達して倒れたサン博士の3人を安全な場所へ運ぶべくどうにか動かせる状態だった戦闘用ライドアーマー・コンセイマオウに再搭乗。

 そのまま1人と2体を担いだピッグマンはカッパマンの道案内でエデン内で唯一安全確保された第35部隊拠点に到着し、カッパマンとピッグマンから事情を聞いたソルジャー達は味方アンドロイド3体をすぐにクレードルに乗せて修理。

 消耗の激しかったサン博士は急を要したため管理施設内で発見されていた医療用メディカルカプセルに緊急投入して急速回復&休眠を取らせていた事をコマンダーから報告された博士はその的確で迅速な判断に感謝する。
「お褒めの言葉、大変恐縮でございます!! エージェント・サン!!」
「それよりもう聞いているとは思うけど……マツモトを連れ去った上位管理者アンドロイドから何か連絡は来ているのかしら? そして行かねばならないエデン第五区画の事前情報収集はどの程度出来そう?」
「その件はエージェントがお休みの間に準備出来ております。 情報共有と確認していたきたい事もいくつかございますが……お体はもう大丈夫でしょうか?」
「大丈夫よ、コマンダー。 すぐに向かうわ」
 メディカルカプセルに腰かけて黒ボディスーツ美脚上にブーツを履き、かかとをトントンして立ち上がったサン博士はコマンダー・ジャンヌと共にブリーフィングルームに向かう。

【MMS 第54話に続く】
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