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【第四章:エデン第三区画/旧総合医療技術研究施設棟】

【第51話】

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「チンゲンさん、まさかとは思いますが……その電脳化クローン計画には我々第35部隊員も含まれていたのでしょうか?」
 捕囚の身とは言え、髪の毛や血液、皮膚片などを採取されている時点でおかしいと感じ続けていたソルジャー・マツモト。
 エージェント・サンの言葉でそれが確信に変わった彼女は深呼吸しつつ目の前の老人に問う。
『言いにくいが……そうだ。
 成長高速化クローンとして技術確立し、量産態勢が整っていたミュータントアニマルはとにかく……現段階ではクローン人間は遺伝情報からの卵子・精子の作成及び受精卵作成と人工子宮着床成功率が極めて低く、ミクラ・ブレインは多くの実験データを必要としていた。
 お嬢さん含むソルジャーさん達もクローンの安定供給が可能となればすぐに頭脳電子化処置の上、記憶移植実験に利用するように指示されていたんだ……』
「なっ、なっ……このサイコパスクソ野郎。私達をなんだと思ってるんだ!!」
 1人の人間ではなく1匹の実験動物として機械に拘束されて人間強制終了させられると言う恐怖と激昂、それをぶつけるべき相手が目の前にいると言う事実。
『やめろ、マツモト!!』
 モンキーマンはプロフェッサー・チンゲンの脳天にアサルトライフル銃座を叩き込もうとするマツモトを止めて銃を没収。
そのまま腕を捻り掴んで動けないようにする。
「ナイスよ、モンキーマン。マツモトをそのまま押さえておいて。
 チンゲン先生、事情はわかりました……私達はそれを阻止するためにここに来たんです。
 そして、これからどうすればよろしいのでしょうか?」
『ああ、ありがとうフウちゃん……まずはこれを』
 そう言いつつ白衣のポケットに手を入れ、何かを探るプロフェッサー・チンゲン。
『あった、これ……』
『あぶねえブウ!!』
『博士殿!!』
 ピッグマンの警告と共にカッパマンが放ったカッパワイヤーがサン博士の全身に巻き付き、一気に後ろに引かれる。

『よう、はじめましてだなS YK-000』
 何もない空間から一瞬で現れてプロフェッサー・チンゲンの頭を掴み捕え、そのまま持ちあげている燃え上がるような赤髪で白眼、ジーンズ一枚で上半身裸の細マッチョ。
「何者だ!!」
 何者かはわからないがこいつはサン博士を狙う敵だ。
 すぐに察したモンキーマン、カッパマンの2人はサン博士とマツモトを守りつつ各々の武器を抜いて対時する。
『お前ら、やめろブウ!? コウガイジ様にぶっコロされるぞブウ!?』
「コウガイジ!?」
 エデン第二区画のスーパーミュータントアニマルとのカーチェイスで特殊グレネードをドローンに運ばせ、旧迎賓館ではサン博士の頭脳を横抜きしてミクラ・ブレインを裏切らんとしたリュートを破壊殺害した上位管理者アンドロイド本人の出現にサン博士は驚くばかりだ。
『おいおい、人聞きがわるいぜピッグマン!! 元上司とは言えこんな気さくで部下想いの俺ちゃんにそう言う事を言うのはよろしいとは思えねえぞ?』
 白い歯を見せてニヤリと笑う上位管理者アンドロイド・コウガイジ。
『フウちゃん……逃げろ』
「動くな、チンゲン先生を放せ!!」
 サン博士は手の中のモノをすぐにウェストポーチに押し込み、真っ青な表情でガタガタ震えるピッグマンの巨躯を押しのけて電撃銃口を敵に向ける。
『貴女様程の方がそう仰るならそうしてあげたいのは山々なんだけどさあ……この人、この流れだと俺らにとって知られちゃマズい事も話しちゃうんだよね。どうしたもんだかなあ』
 恐怖のあまり言葉も出せないプロフェッサー・チンゲンの頭をがっちり掴んだまま考え込む仕草をみせるコウガイジ。
 次の瞬間、5人の目の前で信じがたい現象が発生する。

【MMS 第52話に続く】
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