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【第四章:エデン第三区画/旧総合医療技術研究施設棟】
【第40話】
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「これは……クリスマスツリーでしょうか?」
エデン第3区画、生命進化ラボェリア中央管理施設たる五角黒塔・ゴソウカン内に招かれた4人を出迎える3層吹き抜けの塔中央部にそびえ立つ十数メートルはある巨木。
部分的に機械化&クリスタルパーツに置き換えられたその枝のあちこちには色とりどりのガラス球がオーナメントのように下がっており、かつて平和な時代のクリスマスに欠かせなかったイルミネーションを思い出したマツモトは見惚れつつ呟く。
『ほほほ……マツモト殿、実に面白いですな!! 私もそうであって欲しいですな!!』
『生命進化ラボってのは植物巨大化と半サイボーグ化の研究でもしてるのか?』
「モンキーマン、そうではないと思うけど……これだけでは私もよく分からないわ」
この部分的機械化処置がなされたサイボーグ巨木がクリスマスツリーで無い事はさておき、生命進化ラポと名乗るエリアの施設にこのような物がなぜ存在するのかまでは理解できていないサン博士は戦闘用人型アンドロイド達に問う。
『皆様ようこそ、ゴソウカンへ。 私は当施設ガイドアンドロイドのサリーと申します』
壁沿いに設けられた螺旋階段最上部から搭乗型ドローンに乗ってこちらに向かってくるピンクの上着に同色タイトスカートとヒール靴、頭に五角形の小さな帽子を乗せた女性アンドロイドに思わず銃口を向けるサン博土と各々の武器を抜いて女性2人を守る態勢に入った戦闘用人型アンドロイド達。
そんな緊張状態に構うことなくガイドアンドロイドのサリーは着地したドローンから降りて4人の前に立つ。
『皆様の前にございますこちらの巨大樹木は当施設が有する特殊研究機器たるニンジンカ。
当研究施設はサン・フトウ様と遺伝子工学の権威たるプロフェッサー・チンゲン様の共同研究により開発された生命技術の実用化に向けて日々、技術改良及と研究を行っております』
「チンゲンさんの技術ですって!?」
『フトウ殿!?』
『博士!?』
急に大声を上げる博士に思わず反応してしまうカッパマンとモンキーマン。
「チンゲンさんは遺伝子工学の権威として色々な研究をしていたけど……父と共同で行った研究と言えばアレしか考えられないわ!!
でもあの技術は人間含む地球上の全ての生物に対する倫理的責任問題を伴うのみならず、悪用されない理由がないと言うリスクから父もチンゲンさんも合意の上で全ての研究資料と情報は破棄したはずなのに……?」
「そのご質問にこの場ではお答えできません……申し訳ございません、フトウ様。
これより当施設のご案内を開始いたしますのでどうぞ私に続いてください」
そう言いつつサリーは壁沿いに設けられた螺旋階段の入り口に向かう。
「モンキーマン、カッパマン、マツモトちゃん……行きましょう」
険しい表情で先陣を切って歩くサン博士に3人は続く。
『まずは当研究施設の建造目的及び研究内容についての解説となります』
螺旋階段をハイヒールでコツコツと登りながら解説を始めるサリー。
『先ほども申し上げましたとおり、当施設はサン・フトウ様と遺伝子工学の権威たるプロフェッサー・チンゲン様により基礎理論完成に至った生命工学技術の実証実験の場としてミクラ・ブレイン様の指示で建造されました』
『……』
隠し武器や伏兵、罠を警戒しつつも機密情報をペラペラと喋るアンドロイドの一字一句を聞き逃さんと意識を集中させる4人。
『ここで答えをご存知であろうフトウ様以外の御三方様にクイズです。
その生命工学技術と研究目的はどのようなものでしょうか? 3択でお選びくださいませ』
段差のない平坦な場所で足を止めたサリーは目から光を照射し、エアディスプレイを表示。
そこに3択が表示される。
A:植物の巨大化で人類の食料問題・木材資源不足を解決する
B:人間をサイボーグ技術で部分的に機械化し、総合身体能力を向上させる
C:イルミネーションをいっぱいつけられる巨大クリスマスツリーを作り、人々を笑顔にする
【MMS 第41話に続く】
エデン第3区画、生命進化ラボェリア中央管理施設たる五角黒塔・ゴソウカン内に招かれた4人を出迎える3層吹き抜けの塔中央部にそびえ立つ十数メートルはある巨木。
部分的に機械化&クリスタルパーツに置き換えられたその枝のあちこちには色とりどりのガラス球がオーナメントのように下がっており、かつて平和な時代のクリスマスに欠かせなかったイルミネーションを思い出したマツモトは見惚れつつ呟く。
『ほほほ……マツモト殿、実に面白いですな!! 私もそうであって欲しいですな!!』
『生命進化ラボってのは植物巨大化と半サイボーグ化の研究でもしてるのか?』
「モンキーマン、そうではないと思うけど……これだけでは私もよく分からないわ」
この部分的機械化処置がなされたサイボーグ巨木がクリスマスツリーで無い事はさておき、生命進化ラポと名乗るエリアの施設にこのような物がなぜ存在するのかまでは理解できていないサン博士は戦闘用人型アンドロイド達に問う。
『皆様ようこそ、ゴソウカンへ。 私は当施設ガイドアンドロイドのサリーと申します』
壁沿いに設けられた螺旋階段最上部から搭乗型ドローンに乗ってこちらに向かってくるピンクの上着に同色タイトスカートとヒール靴、頭に五角形の小さな帽子を乗せた女性アンドロイドに思わず銃口を向けるサン博土と各々の武器を抜いて女性2人を守る態勢に入った戦闘用人型アンドロイド達。
そんな緊張状態に構うことなくガイドアンドロイドのサリーは着地したドローンから降りて4人の前に立つ。
『皆様の前にございますこちらの巨大樹木は当施設が有する特殊研究機器たるニンジンカ。
当研究施設はサン・フトウ様と遺伝子工学の権威たるプロフェッサー・チンゲン様の共同研究により開発された生命技術の実用化に向けて日々、技術改良及と研究を行っております』
「チンゲンさんの技術ですって!?」
『フトウ殿!?』
『博士!?』
急に大声を上げる博士に思わず反応してしまうカッパマンとモンキーマン。
「チンゲンさんは遺伝子工学の権威として色々な研究をしていたけど……父と共同で行った研究と言えばアレしか考えられないわ!!
でもあの技術は人間含む地球上の全ての生物に対する倫理的責任問題を伴うのみならず、悪用されない理由がないと言うリスクから父もチンゲンさんも合意の上で全ての研究資料と情報は破棄したはずなのに……?」
「そのご質問にこの場ではお答えできません……申し訳ございません、フトウ様。
これより当施設のご案内を開始いたしますのでどうぞ私に続いてください」
そう言いつつサリーは壁沿いに設けられた螺旋階段の入り口に向かう。
「モンキーマン、カッパマン、マツモトちゃん……行きましょう」
険しい表情で先陣を切って歩くサン博士に3人は続く。
『まずは当研究施設の建造目的及び研究内容についての解説となります』
螺旋階段をハイヒールでコツコツと登りながら解説を始めるサリー。
『先ほども申し上げましたとおり、当施設はサン・フトウ様と遺伝子工学の権威たるプロフェッサー・チンゲン様により基礎理論完成に至った生命工学技術の実証実験の場としてミクラ・ブレイン様の指示で建造されました』
『……』
隠し武器や伏兵、罠を警戒しつつも機密情報をペラペラと喋るアンドロイドの一字一句を聞き逃さんと意識を集中させる4人。
『ここで答えをご存知であろうフトウ様以外の御三方様にクイズです。
その生命工学技術と研究目的はどのようなものでしょうか? 3択でお選びくださいませ』
段差のない平坦な場所で足を止めたサリーは目から光を照射し、エアディスプレイを表示。
そこに3択が表示される。
A:植物の巨大化で人類の食料問題・木材資源不足を解決する
B:人間をサイボーグ技術で部分的に機械化し、総合身体能力を向上させる
C:イルミネーションをいっぱいつけられる巨大クリスマスツリーを作り、人々を笑顔にする
【MMS 第41話に続く】
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