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【第三章:エデン第一区画/旧動植物研究所ビオトープエリア】

【第19話】

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『あぎゃああああああ!? あばばばばばばばば!?』
「きゃああああ!!」
エデン第一区画全体を突如揺るがす金切り音とバイブレーション激震。
誰が仕掛けて来たかはわからないが本能的に耳を塞がざるを得ない超音響兵器による不意打ちで耳を押さえるサン博士。
『はがせえ!! にげ……おぅ』
「モンキーマン!?」
2メートル近い巨躯をガクガクさせながら膝をついてしまうモンキーマンとニヤニヤしながらその様を見下すカッパマン。この超音響兵器攻撃を仕掛けたのはカッパマンだと察しつつも脳をもぐちゃぐちゃにせんとするそれに必死で耳を押さえる。
『ふふふ、流石はワタクシ……筋肉だけが能のモンキーマン殿には出来ぬ策ですな』
小刀の持ち手内の隠しボタンを押しつつほくそ笑むカッパマン。

カッパマンの小刀二本に仕込まれた特殊兵器機工・超振動切断システム。
本来ならば敵の体に当てた状態でスイッチONにして震動切断するか関節などの装甲構造的弱点に突き立てたままスイッチONにして内部破壊する対アンドロイド用兵器ではあるものの背に腹は代えられぬ状況。
人間でいえば頭部へのショックで気絶する脳震盪に近い状態で地面に倒れるモンキーマンに微笑みつつカッパマンは自画自賛する。

『さて、これで貴女様の相棒は動けませぬぞ……ワタクシと共に来てもらいましょうサン様』
「くっ!!」
長時間の金切り音を至近距離で浴び続けて平衡感覚に異常をきたしたキンキンする耳でふらつくサン博士。
自身がミクラブレインの配下にある戦闘用人型アンドロイドの標的にされている事に気が付いた彼女はどうにか落ちていた電撃ナイフを拾い、その切っ先をカッパマンに向ける。
『サンさま、今回は正当防衛としてやむを得なかったのですが……本来、ワタクシは貴女様も相方殿も傷つける意図はありません。我が主のリュート様がお2人にお会いしたいとの事ですので武器を捨ててご同行いただけませんでしょうか?』
「そんなの信じられるわけないでしょ?」
ふらつく足を踏ん張り、震える手でナイフ構えを維持するサン博士。
『では仕方ありません……』
そう言いつつ腰を下げて脚部の出力調整を始めるカッパマン。
『実力行使させていただきます……!?』
軌道予測不可能な必殺ローリングジャンプで一足飛びにサン博士の懐に飛び込もうとしたその時だった。

『ギリギリセェーフ!!』
カッパマンの足にローキックを蹴り入れ、バランスを崩させる事に成功したモンキーマン。
そのまま敵の全身を逆ベアハッグして取り押さえたモンキーマンは力任せに締め上げを始める。
『やってくれるじゃねえか、このHENTAIニンジャ野郎……今のはかなり効いたぞ』
『お……え……機能停止……は?』
『おいおい、俺を誰だと思ってやがる……俺様は世紀の天才科学者、ミクラ・フトウ様が有事の際に愛娘を守らせるためにその技術と知能の全てを注いだ戦闘用人型アンドロイド、モンキーマン様だ?
あの程度のダメージなら10秒もありゃあ自己再起動できちまうってわからんのか?』
『はあ!?』
特殊耐久仕様ボディを完全防音機工を持つ自分ならとにかく戦闘用アンドロイドのボディに用いられる超金属をも物理的に切断破壊する超振動ブレードのバイブレーションをゼロ距離で食らってほぼ無傷な奴なんて聞いたことも無いぞ!?
カッパマンはそう反論しようとするものの、両腕と胸部に腹部、その他ほぼ全身のダメージセンサーアラートが破壊危機レベルの圧迫ダメージ警告を出し続ける状況下でそれは言葉にならない。
『くらえや、HENTAIニンジャ!!』
そのまま背中を後ろに反らせつつバックジャンプするモンキーマン。
『モンキースープレックス!!』
細マッチョとは言え超重量級の金属塊なアンドロイドモンキーマンの重量&自身の自重による全ての衝撃を逃げ場の無い全て人工頭脳収容スペースである頭部に叩き込まれたカッパマンはそのまま前転着地したモンキーマンのボディープレス追撃の下敷きになって機能停止状態に陥る。

【MMS 第20話に続く】
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