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【第二章:エデン第二区画/旧関係者居住エリア】
【第7話】
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「ガウッ! ! ガウルツ!!」
「クェェェェェェ!!」
「あと2ブロックを右よ、モンキーマン!!」
「OK、博士!!」
人間居住区の集合住宅エリアを抜け、商業インフラ設備エリアに入っていたモンキーマンとサン博士。
上位管理者アンドロイド・コクフウカイにより放たれた大量のミュータントアニマルを前に電撃銃をエネルギー切れ充填モードにされ、実弾銃に切り替えざるをえなくなったのはさておき、動物的習性を利用してそれらを足止めし続けていたサン博士はモンキーマンの背中に乗ったまま指示する。
「見えたぜ、あれだ!!」
人の手を離れた経年劣化と10年前の人間居住エリア襲撃のダメージでボロボロになった段ボール箱を持った上着と帽子姿のイリオモテヤマネコがウインクしている看板の建物。
『イリオモテヤマネコ便 エデン内総合集荷・集配センター』
「博士、先に行け!!」
「了解!!」
モンキーマンの背中を降りたサン博士は背後に迫るミュータントアニマルを相棒に任せて先に建物内に滑り込む。
「またのご来店をお待ちしておりますよっ、とぉ!!」
その後から滑り込んだモンキーマンはシャッターを掴むと一気に掴んで引き下ろす。
「よし、これでしばらく大丈夫だ……何か俺に出来る事は無いか、博士?」
「そうね、モンキーセンサーでの索敵と安全確保をお願い」
サン博士はミュータントアニマルがシャッターをガリガリ引っ掻く音に構うことなく腕のガントレット型デバイスを事務所内の機器に強制接続して起動させ、物資運搬用アンダーグラウンドエアウェイの制御操作プログラムをいじり始める。
同時刻、イリオモテヤマネコ便集配場の建物外。
「ウガァァァ!!」
「グワオアァァン!!」
サン博士とモンキーマンが逃げ込んだ建物を取り囲むミュータントアニマル達。
近くの足場に止まって2人が出て来るのを待ち構える猛禽類型ミュータントアニマルとは対極的に犬型ミュータントアニマル達は中に入れる隙間を探してうろうろするモノ、シャッターをガリガリ引っ掻くモノ、大声で吠えたてて威嚇するモノ……様々な反応を見せる。
『お前達、ご苦労様です』
「わんっ!!」
そんな中、こちらに向かってくる2頭の馬型ミュータントアニマルの引く馬車から聞こえてくる拡声器音声。
道を開けてお座りしたミュータントアニマル達の前に止まった馬車から降りて来たのは紫色のスパンコールスーツとトップハットではなくハンチング帽にパツパツのYシャッとチェック柄ベスト、キュロットズボンと言ういで立ちの上位管理者アンドロイド・コクフウカイである。
『さて、サン博士殿とおサルさんはこの中にお隠れである…… と言う事ですか?』
「わんっ!!」
管理者にしてボスであるコクフウカイに問われたミュータントアニマル達はYESと答える。
『それはそれは……博士、聞こえておりますか? 私、コクフウカイが直接お迎えに上がりました。
直ちに武装解除して我々に投降なさるのであれば悪いようにはいたしません。
モンキーマン殿と共に人類代表の貴賓として丁重におもてなしいたします』
こんな所に逃げ込んでシャッターまで下ろし、中で何をやっているのかは分からないが、この程度の建物なら自分でもぶっ壊す事は可能だ。
そう判断したコクフウカイはパイプを唖えて紫煙を楽しみつつ返事を待つ。
『……お返事が無いようですので、もう一度だけ申し上げます。
直ちに武装解除して我々に投降なさるのであれば悪いようにはいたしません。
モンキーマン殿と共に人類代表の貴賓として丁重におもてなしいたします。
これより10秒以内に応じなければ強行突入いたします、ご了承くださいませ。
10…… 9……8……7』
エデン内でも6体しかいない上位管理者アンドロイドとしてある程度の戦闘を可能とするとは言え、ガチ戦闘仕様のモンキーマンと一騎打ちに持ち込まれたら100%勝てる保証は無い。
『……6…… 5……4……』
薄い波打った鉄板一枚を隔てて対峙するコクフウカイは自らの命も懸けた大博打カウントダウンを続ける。
『3…… 2……1……0!!』
そう来るのであれば先手必勝。 コクフウカイはシャッターを巨大な手で引き裂いて壊し配下のミュータントアニマルもろともなだれこむ。
『あれっ?』
モンキーマンとサン博士がこの建物に逃げ込んで立てこもったのは自身も監視カメラで確認していたし、ミュータントアニマルが空陸から取り囲んで監視していた以上逃げ出せたわけでもない。
密室トリックではないが文字通り雲散霧消したサン博士とモンキーマンに唖然とするコクフウカイ。
「この設備は……まさか、そう言う事か!!」
慌てて物資運搬用アンダーグラウンドエアウェイの制御操作機器に駆け寄り、自身の電子頭脳とリンクさせたコクフウカイはすぐに内部データの読み込みと確認を始める。
【MMS 第8話に続く】
「クェェェェェェ!!」
「あと2ブロックを右よ、モンキーマン!!」
「OK、博士!!」
人間居住区の集合住宅エリアを抜け、商業インフラ設備エリアに入っていたモンキーマンとサン博士。
上位管理者アンドロイド・コクフウカイにより放たれた大量のミュータントアニマルを前に電撃銃をエネルギー切れ充填モードにされ、実弾銃に切り替えざるをえなくなったのはさておき、動物的習性を利用してそれらを足止めし続けていたサン博士はモンキーマンの背中に乗ったまま指示する。
「見えたぜ、あれだ!!」
人の手を離れた経年劣化と10年前の人間居住エリア襲撃のダメージでボロボロになった段ボール箱を持った上着と帽子姿のイリオモテヤマネコがウインクしている看板の建物。
『イリオモテヤマネコ便 エデン内総合集荷・集配センター』
「博士、先に行け!!」
「了解!!」
モンキーマンの背中を降りたサン博士は背後に迫るミュータントアニマルを相棒に任せて先に建物内に滑り込む。
「またのご来店をお待ちしておりますよっ、とぉ!!」
その後から滑り込んだモンキーマンはシャッターを掴むと一気に掴んで引き下ろす。
「よし、これでしばらく大丈夫だ……何か俺に出来る事は無いか、博士?」
「そうね、モンキーセンサーでの索敵と安全確保をお願い」
サン博士はミュータントアニマルがシャッターをガリガリ引っ掻く音に構うことなく腕のガントレット型デバイスを事務所内の機器に強制接続して起動させ、物資運搬用アンダーグラウンドエアウェイの制御操作プログラムをいじり始める。
同時刻、イリオモテヤマネコ便集配場の建物外。
「ウガァァァ!!」
「グワオアァァン!!」
サン博士とモンキーマンが逃げ込んだ建物を取り囲むミュータントアニマル達。
近くの足場に止まって2人が出て来るのを待ち構える猛禽類型ミュータントアニマルとは対極的に犬型ミュータントアニマル達は中に入れる隙間を探してうろうろするモノ、シャッターをガリガリ引っ掻くモノ、大声で吠えたてて威嚇するモノ……様々な反応を見せる。
『お前達、ご苦労様です』
「わんっ!!」
そんな中、こちらに向かってくる2頭の馬型ミュータントアニマルの引く馬車から聞こえてくる拡声器音声。
道を開けてお座りしたミュータントアニマル達の前に止まった馬車から降りて来たのは紫色のスパンコールスーツとトップハットではなくハンチング帽にパツパツのYシャッとチェック柄ベスト、キュロットズボンと言ういで立ちの上位管理者アンドロイド・コクフウカイである。
『さて、サン博士殿とおサルさんはこの中にお隠れである…… と言う事ですか?』
「わんっ!!」
管理者にしてボスであるコクフウカイに問われたミュータントアニマル達はYESと答える。
『それはそれは……博士、聞こえておりますか? 私、コクフウカイが直接お迎えに上がりました。
直ちに武装解除して我々に投降なさるのであれば悪いようにはいたしません。
モンキーマン殿と共に人類代表の貴賓として丁重におもてなしいたします』
こんな所に逃げ込んでシャッターまで下ろし、中で何をやっているのかは分からないが、この程度の建物なら自分でもぶっ壊す事は可能だ。
そう判断したコクフウカイはパイプを唖えて紫煙を楽しみつつ返事を待つ。
『……お返事が無いようですので、もう一度だけ申し上げます。
直ちに武装解除して我々に投降なさるのであれば悪いようにはいたしません。
モンキーマン殿と共に人類代表の貴賓として丁重におもてなしいたします。
これより10秒以内に応じなければ強行突入いたします、ご了承くださいませ。
10…… 9……8……7』
エデン内でも6体しかいない上位管理者アンドロイドとしてある程度の戦闘を可能とするとは言え、ガチ戦闘仕様のモンキーマンと一騎打ちに持ち込まれたら100%勝てる保証は無い。
『……6…… 5……4……』
薄い波打った鉄板一枚を隔てて対峙するコクフウカイは自らの命も懸けた大博打カウントダウンを続ける。
『3…… 2……1……0!!』
そう来るのであれば先手必勝。 コクフウカイはシャッターを巨大な手で引き裂いて壊し配下のミュータントアニマルもろともなだれこむ。
『あれっ?』
モンキーマンとサン博士がこの建物に逃げ込んで立てこもったのは自身も監視カメラで確認していたし、ミュータントアニマルが空陸から取り囲んで監視していた以上逃げ出せたわけでもない。
密室トリックではないが文字通り雲散霧消したサン博士とモンキーマンに唖然とするコクフウカイ。
「この設備は……まさか、そう言う事か!!」
慌てて物資運搬用アンダーグラウンドエアウェイの制御操作機器に駆け寄り、自身の電子頭脳とリンクさせたコクフウカイはすぐに内部データの読み込みと確認を始める。
【MMS 第8話に続く】
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