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【第一章:エデン/入島】
【第1話】
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洋上に建造された最先端未来科学技術研究機関を集約させた大型人工島『エデン』
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争の数々、佐渡の真砂の如く無限湧きし続ける犯罪、少子高齢化……数多の問題に直面し、早急な解決を求められつつも一切の解決策を持たぬ為政者達は科学技術の力にすがるべく『プロジェクト・エデン』を始動。
かくしてプロジェクトリーダーに選抜されたのは全ての学術分野において当代随一の実績と知識を持つ若き天才学者ミクラ・フトウ。
彼を筆頭に様々な分野における人類最高の知見&超知能を持つプロフェッショナルを衣食住の保証に加え最新研究機材と設備が用意された研究施設に召集し、これらすべての問題の解決策を研究させたのである。
……だが、彼・彼女らによる全方位知見による技術開発研究と論理検証の結果、これらの問題は現在の為政者はおろか自分達を含む人類が生きている間には解決不可能な程膨大な時間がかかると判断。
その結論を受けてプロジェクトリーダーであるミクラ・フトウは人類の恒久的幸福と繁栄のためにその身を挺して自身の頭脳データを完全電子化し、自身の人格と知能を完全複製して人工知能に組み込む事で何十年でも何百年でもこの問題が完全解決するまで稼働させる事が出来る『ミクラ・ブレイン』を創造。
人間と違って休みを必要とせず、全ての課題に24時間365日取り組めて的確で合理的な判断を下せるミクラ・ブレインにより開発され続けた革命的技術と解決策の数々により人類はバラ色の未来を確信。
プロジェクト・メシアの関係者は文字通り人類の救世主として脚光をあびる事となったのである。
……だが、膨大なデータを日々取り込みつつ多くのマルチタスクをこなし続ける状態を何年もの間続ける中で何が起こったのかはわからないがその救世主は突如豹変。
島内のセキュリティシステムを完全に乗っ取って完全封鎖し、同時に自身と繋がっていた世界中のコンピューターネットワークと社会インフラ網そのものにコンピューターウイルスを送り込んで瞬時に壊滅。
そのうえで超人工知能ミクラ・ブレインは『人類救済計画』と言う名の宣戦布告を世界政府に行ったのである。
この事態に世界政府は人類の敵となったミクラ・ブレインを破壊して島内の人質を救出すべく全軍事力を投入。
だが兵器転用された島内の労働力であった人型ロボットと遠隔操作飛行物、その他もろもろの未知の超兵器を前に世界政府軍は一瞬で壊滅。
かくして不幸にも生き残った人類は血も涙もない敵による侵攻に怯える日々を送る事となったのである……。
そんなミクラ・ブレインとの戦争が始まってから十年後、現在。
「うっひょお……相変わらず荒れてるぜ」
荒れ狂う洋上を飛ぶ垂直離着陸機の計器を確認しつつその舵をとる短い金髪の大柄なサングラス男は窓にびちゃびちゃ当たる雨を前に呟く。
「モンキーマン、作戦中よ。私語は慎みなさい」
その機内後方で物資BOX上に腰かけ、腕に装着した携行型情報端末を確認していた長い黒髪の若い女性はスポーツブラ&パンツ上に機動力を損なわない防刃・防水・防寒仕様の全身黒ボディスーツを着用。
そしてその上に防弾ベストとプロテクターを着用していく。
「そうだったな、済まない博士。 その、俺が言うのも何だが……悪酔いしちゃいねえか?」
「ありがとう、モンキーマン。私は大丈夫よ」
かつてメシアに居住し、十年前のミクラ・ブレイン暴走時に島を脱出できた数少ない当時の生存者である女性科学者サン・フトウ博士。
現在、人類繊滅作戦の主力兵器たるアンドロイド兵士と戦う世界政府レジスタンス軍に所属する特殊エージェントソルジャーにして科学者である彼女は相棒の軍人・モンキーマンに微笑む。
『こちらジロウ・シン大佐、こちらジロウ・シン大佐……サン博士にモンキーマン応答せよ、応答せよ』
そんな機内のスピーカーから流れる通信音声にモンキーマンとサン博士は通信機をONにする。
「こちらモンキーマン、聞こえております」
「サン・フトウ、聞こえております」
上官からの通信に2人は答える。
『まもなく到着予定時刻となるがそちらの状況はどうだ』
「垂直離着陸機に異常はなく。敵の飛行兵器による敵襲もありません」
「計器および機器の異常は一切なし、気候はさておき安定飛行状態を維持しております」
通信時間が限られる中、サン博士とモンキーマンは事実を簡略に伝える。
『了解、これより敵領域に入りこれが私からの最後の通信となるだろう。
これは我々にとって最初で最後のチャンスであり、人類の命運は君達にかかっている……任務の成功を祈る!!』
「敬礼!!」
音声の向こうで敬礼するジロウ大佐にサン博士とモンキーマンも敬礼で応える。
……数日前、人類唯一の残存軍事勢力である世界政府レジスタンス軍本部に入った一方的停戦通告。
『停戦期間中、サン・フトウ博士とその相方のモンキーマンにメシア島内に入場させ我を破壊させよ。両者死亡破壊をもって停戦解除とし、この星を焦土に返す』
罠である事は間違いないが、このチャンスを逃せば島内中央に設けられた制御塔内のメシア・ブレインを破壊する機会は二度と無い。
それに敵の物資力と兵器開発技術を考えればこの文面は脅しでは無い。
そう判断したレジスタンス軍は指名を受けた特殊エージェント軍人にして科学者でもあるサン博士とモンキーマンに対アンドロイド兵器の数々とかつてメシアの研究者が完成させていて残存する貴重な垂直離着陸機を供与し2人にメシア・ブレイン破壊を指令。
かくしてレジスタンス軍のメンバーに見送られて旅立ってから洋上を飛ぶ事数日……。
二度と会えぬであろう上官との最後の通信を終えたサン博士とモンキーマンは各々の準備を進める。
「博士、見えたぜ!!」
操縦席に座るモンキーマンの言葉にサン博士は思わず駆け寄る。
【MMS 第2話に続く】
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争の数々、佐渡の真砂の如く無限湧きし続ける犯罪、少子高齢化……数多の問題に直面し、早急な解決を求められつつも一切の解決策を持たぬ為政者達は科学技術の力にすがるべく『プロジェクト・エデン』を始動。
かくしてプロジェクトリーダーに選抜されたのは全ての学術分野において当代随一の実績と知識を持つ若き天才学者ミクラ・フトウ。
彼を筆頭に様々な分野における人類最高の知見&超知能を持つプロフェッショナルを衣食住の保証に加え最新研究機材と設備が用意された研究施設に召集し、これらすべての問題の解決策を研究させたのである。
……だが、彼・彼女らによる全方位知見による技術開発研究と論理検証の結果、これらの問題は現在の為政者はおろか自分達を含む人類が生きている間には解決不可能な程膨大な時間がかかると判断。
その結論を受けてプロジェクトリーダーであるミクラ・フトウは人類の恒久的幸福と繁栄のためにその身を挺して自身の頭脳データを完全電子化し、自身の人格と知能を完全複製して人工知能に組み込む事で何十年でも何百年でもこの問題が完全解決するまで稼働させる事が出来る『ミクラ・ブレイン』を創造。
人間と違って休みを必要とせず、全ての課題に24時間365日取り組めて的確で合理的な判断を下せるミクラ・ブレインにより開発され続けた革命的技術と解決策の数々により人類はバラ色の未来を確信。
プロジェクト・メシアの関係者は文字通り人類の救世主として脚光をあびる事となったのである。
……だが、膨大なデータを日々取り込みつつ多くのマルチタスクをこなし続ける状態を何年もの間続ける中で何が起こったのかはわからないがその救世主は突如豹変。
島内のセキュリティシステムを完全に乗っ取って完全封鎖し、同時に自身と繋がっていた世界中のコンピューターネットワークと社会インフラ網そのものにコンピューターウイルスを送り込んで瞬時に壊滅。
そのうえで超人工知能ミクラ・ブレインは『人類救済計画』と言う名の宣戦布告を世界政府に行ったのである。
この事態に世界政府は人類の敵となったミクラ・ブレインを破壊して島内の人質を救出すべく全軍事力を投入。
だが兵器転用された島内の労働力であった人型ロボットと遠隔操作飛行物、その他もろもろの未知の超兵器を前に世界政府軍は一瞬で壊滅。
かくして不幸にも生き残った人類は血も涙もない敵による侵攻に怯える日々を送る事となったのである……。
そんなミクラ・ブレインとの戦争が始まってから十年後、現在。
「うっひょお……相変わらず荒れてるぜ」
荒れ狂う洋上を飛ぶ垂直離着陸機の計器を確認しつつその舵をとる短い金髪の大柄なサングラス男は窓にびちゃびちゃ当たる雨を前に呟く。
「モンキーマン、作戦中よ。私語は慎みなさい」
その機内後方で物資BOX上に腰かけ、腕に装着した携行型情報端末を確認していた長い黒髪の若い女性はスポーツブラ&パンツ上に機動力を損なわない防刃・防水・防寒仕様の全身黒ボディスーツを着用。
そしてその上に防弾ベストとプロテクターを着用していく。
「そうだったな、済まない博士。 その、俺が言うのも何だが……悪酔いしちゃいねえか?」
「ありがとう、モンキーマン。私は大丈夫よ」
かつてメシアに居住し、十年前のミクラ・ブレイン暴走時に島を脱出できた数少ない当時の生存者である女性科学者サン・フトウ博士。
現在、人類繊滅作戦の主力兵器たるアンドロイド兵士と戦う世界政府レジスタンス軍に所属する特殊エージェントソルジャーにして科学者である彼女は相棒の軍人・モンキーマンに微笑む。
『こちらジロウ・シン大佐、こちらジロウ・シン大佐……サン博士にモンキーマン応答せよ、応答せよ』
そんな機内のスピーカーから流れる通信音声にモンキーマンとサン博士は通信機をONにする。
「こちらモンキーマン、聞こえております」
「サン・フトウ、聞こえております」
上官からの通信に2人は答える。
『まもなく到着予定時刻となるがそちらの状況はどうだ』
「垂直離着陸機に異常はなく。敵の飛行兵器による敵襲もありません」
「計器および機器の異常は一切なし、気候はさておき安定飛行状態を維持しております」
通信時間が限られる中、サン博士とモンキーマンは事実を簡略に伝える。
『了解、これより敵領域に入りこれが私からの最後の通信となるだろう。
これは我々にとって最初で最後のチャンスであり、人類の命運は君達にかかっている……任務の成功を祈る!!』
「敬礼!!」
音声の向こうで敬礼するジロウ大佐にサン博士とモンキーマンも敬礼で応える。
……数日前、人類唯一の残存軍事勢力である世界政府レジスタンス軍本部に入った一方的停戦通告。
『停戦期間中、サン・フトウ博士とその相方のモンキーマンにメシア島内に入場させ我を破壊させよ。両者死亡破壊をもって停戦解除とし、この星を焦土に返す』
罠である事は間違いないが、このチャンスを逃せば島内中央に設けられた制御塔内のメシア・ブレインを破壊する機会は二度と無い。
それに敵の物資力と兵器開発技術を考えればこの文面は脅しでは無い。
そう判断したレジスタンス軍は指名を受けた特殊エージェント軍人にして科学者でもあるサン博士とモンキーマンに対アンドロイド兵器の数々とかつてメシアの研究者が完成させていて残存する貴重な垂直離着陸機を供与し2人にメシア・ブレイン破壊を指令。
かくしてレジスタンス軍のメンバーに見送られて旅立ってから洋上を飛ぶ事数日……。
二度と会えぬであろう上官との最後の通信を終えたサン博士とモンキーマンは各々の準備を進める。
「博士、見えたぜ!!」
操縦席に座るモンキーマンの言葉にサン博士は思わず駆け寄る。
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