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【ミキちゃんちのインキュバス!(第十七話)】「黒白猫とズンバを ジェニファー・ディラィト来日!」
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平日午後の都内S区のマンション、508号室。
「ふぅむ……10月、紅葉の青タンもらいますね?」
「じやあ僕は……8月のカス札でススキに月を!」
30代独身会社員女性の守屋美希・通称ミキちゃんと同居する淫魔アランは日中の家事を終え、日本の伝統的カードゲーム・花札を持って遊びに来た後輩サキュバスのキアラとゲームを楽しんでいた。
「どうしましょ? せめてアラン様の三光は阻止しなくては……」
『桐に鳳凰』『芒に月』をアランに確保され、微妙に負け気味なキアラが最善手を考えていたその時だった。廊下から聞こえて来るキャリーケースを引きずる音と微妙にミキちゃんに近い魔力反応を感じ取った二人は対局を中断して耳を澄ます。
「女性のようですがミキさん……? では無い?」
「キアラ! 急いで猫に化けるんだ!」
「ねっ、猫にですか!?」
「時間が無い、すぐに!」
「はいっ!」
「ミキィ、おネエさんですよぉ!」
合鍵でドアを開けて入って来たの胸周りがパツパツなTシャツ上に薄い上着を羽織り、ジーンズを履いた大柄な金髪白人女性。謎の女性はサングラスを取り、トランクを玄関に置いて室内に入る。
「日本はホンマに蒸し暑いですねぇ……あっ、そうか。この時間のミキはシャチクでしたね」
そう言いつつ上着とTシャッ、ズボンを脱いでゴールデンビキニ水着になった女性は美しく鍛えられたプロポーションをうちわであおぎつつエアコンのコントローラーを探す。
「ありました! これでスイッチォン……さて、次は」
ビキニ美女がトートバッグ内から取り出したのは猫じゃらしと缶詰めだ。
「可愛いアランちゃん、出ておいで……美味しいご飯におもちゃですよぉ?」
金髪美女はどこかに隠れている守屋家の白ソックスな黒猫・アランをおびき寄せようと開封した猫缶と猫じゃらしを持って四つん這いになり、家具の下を覗き込む。
「……みいつけた! ほれほれほれ、出ておいでシャイな黒猫ちゃん……あれっ?」
「キアラァァァァ! キアァァ!」
猫じゃらしに釣られてベッドの下から飛び出してきたのは全身真っ白な細長い猫であり、話に聞いていたのとは違うそれに金髪ビキニ美女は戸惑うばかりだ。
「白い猫ちゃん? アナタ、誰ですか?」
それからしばらくして、株式会社サウザンド人事部。
「戻りました」
「お疲れ様です!」「お疲れ様です!」
打ち合わせを終えて人事部に戻って来た人事部採用担当者、守屋美希・通称ミキちゃんは同僚に挨拶しつつデスクに戻り、打ち合わせ先の資料確認に入ろうとしたが、電話着メロを奏で始めたスマホをミキちゃんは確認する。
「自宅? はい、もしもし?」
『ハァーィ、 ミキ! ようやくツナガリマシタ! お勤めオツカレサマデス!』
自宅から電話をかけてきた陽気な女性の声にミキちゃんは瞬時にスマホをミュート。そのまま電話ブースに走る。
「ジエニファーさん!?」
『ハァィ、そぅですょ! 愛しの義妹ちゃん!』
数日前、オーストラリア在住の兄より彼と同棲中のパートナー女性、ジェニフアー・デイライトさんが日本に仕事で行きアランに会いに行くかもと言う連絡を受けていたミキちゃんは息も荒く答える。
『仕事が思ったより早く終わっちやって……アランちゃんに会いに来たのよ』
「そっ、そうなのね? アランはいい子で待っていたでしょ」
『うん、もちろんよ! そして二匹目までいるなんて…… ミキのそう言うサプライズ精神は大好きデス!! お姉ちゃんウレシイよ!!』
「二匹目?」
『エエ! 白くて可愛い女の子デスネ!』
『キアラアアアン! キアラアアン!』
(あっ、なるほど……)
ミキちゃんは電話越しの鳴き声で白い猫の正体がアランに会いに来て巻き添えを食ったであろう茶摘家の女淫魔・キアラだとすぐに理解する。
「ええ、そうなのよジェニファーさん! 家のマンションの駐輪場にまた猫が捨てられていて……名前はキアラよ」
『キアラ! 実にエレガントでいい名前デース! アランちゃんもこっちにおいで!』
『アラアァン! ニャアアン!』
アランも上手く猫に化けてやり過ごした事を確認出来たミキちゃんは安堵のため息をつく。
「とりあえずジェニファーさん、私は夜7時ごろまでには帰るから……夕食は何か買って帰るわ」
『ありがとう、ミキ! ワタシ日本のビールと唐揚げが食べたいからよろしくネ!』
それから数時間後……S区のマンション508号室、守屋家。
「ミキ、ありがとネ! とっても美味しかったから代金払うヨ? いくら?」
オーストラリア在住のミキちゃんの兄・剛と同棲中のパートナーにしてプロサーファー、プロダイバー、マリンスポーツインストラクター、ボディービルダー、エアロビクス動画投稿者と言う多彩な経歴を持つミキちゃんの義姉、ジェニファー・ディライト。
ゴールデンビキニ上にTシャツと半ズボンを着た彼女は義妹がスーパーで買ってきた唐揚げパック(特盛)2つとビッグサイズだし巻き卵をほぼ全て平らげ、缶ビールを飲みつつ財布を取り出す。
「ジェニファーさん、大丈夫ですよ! 久しぶりの唐揚げにだし巻き卵を私も美味しくいただきましたし……」
いつも同居人の淫魔に食事を作ってもらっているから総菜をあまり買わないとは絶対に言えないミキちゃんは財布から諭吉を取り出す義姉を止める。
「そうなの……? でも、なんかお礼しないとツヨシの手前気が済まないヨ。そうね、宣伝も兼ねてコレあげる! ものすごく運動になるから遊んでちょうだいネ!」
そう言いつつジェニファーさんが鞄から取り出したのは彼女もエアロビクサーとしてダンス監修に関わったジョイステーション5ソフト、『ダンス★ダンス フィーバーオールナイト!(モーションセンサー同梱版)』だ。
「わあ、ありがとう! 早速アラン君やキアラちゃんと一緒に遊ぶわ」
「ミキ……それはセンサー前で体を動かすゲームだから猫ちゃんと一緒に遊ぶのは無理ですよ?」
ジェニファーさんはミキちゃんの謎発言に思わず聞き返す。
「いや、遊ぶってのは……テレビゲームをやっているとアラン君やキアラちゃんがテレビをバシバシ叩いて喜ぶんです! 遊ぶってのはそういう意味で……ねっ、二人ともそうでしょ?」
「みゃあお(そうですね、この姿では無理です)」
「きぁ、きゃぁぁぁん(わぁ、楽しそうですね! 運動不足気味な茶摘さんにもやらせるから貸してください!)」
ミキちゃんは足元にやってきてゲームソフト箱の匂いを嗅ぐ二匹の猫に話しかけつつ猫あるある系のネタでごまかす。
「おお、それはカワイイ! 今度動画に撮って見せてくださイ! ツヨシも喜ぶます!
まだレイトチェックインまで時間があるからやりまショ!」
「いいですね、じゃあジョイステーション用意しますね!」
ミキちゃんは早速ジョイステーションエックスにディスクを入れ、同梱品の使い方マニュアルを確認しつつテレビ上にセッティングする。
「ミキ……二人でのダンス楽しかったヨ、ありがとうネ。元気なあなたに会えて本当に良かったわ」
ノリノリのダンスミュージックで踊る二人にテレビをバシバシする猫二匹。そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ、ホテルのレイトチェックイン時間となったジェニファーさんは玄関で靴をトントンしつつミキちゃんにお礼を言う。
「ジェニファーさんこそ、来てくれてありがとう。女子会、楽しかったわ」
「にゃあ!(また来てください! 唐揚げ作って待ってます!)」
「きあらぁぁぁん!(いつでも大歓迎ですわ!)」
「アランちゃん、ありがと! キアラもありがとね!」
ジェニファーさんは足元で八の字すりすりするキアラとアランをなでなでする。
「ミキ……ツヨシから聞いてはいたけど元気そうで何よりだわ! 人生は楽しんだもんしか勝たんのよ! 一とか二とか三とか言わずにやりたい事をやって楽しんだもん勝ちだからね! Life is too shortなのよ! ジェニファー姉さんの金言、忘れないでね?」
「もちろんよジェニファーさん! 兄さんにもよろしくね」
「もちろん! テレビゲームと戯れる猫ちゃんズも元気でね!」
「にゃあ!」「みゃお!」
スマホで呼んだタクシー到着を確認し終えたジェニファーさんはミキちゃんに抱っこされてにゃぁにゃぁ鳴きながら見送る黒猫アランと白猫キアラに見送られつつ508号室を後にするのであった。
【完】
「ふぅむ……10月、紅葉の青タンもらいますね?」
「じやあ僕は……8月のカス札でススキに月を!」
30代独身会社員女性の守屋美希・通称ミキちゃんと同居する淫魔アランは日中の家事を終え、日本の伝統的カードゲーム・花札を持って遊びに来た後輩サキュバスのキアラとゲームを楽しんでいた。
「どうしましょ? せめてアラン様の三光は阻止しなくては……」
『桐に鳳凰』『芒に月』をアランに確保され、微妙に負け気味なキアラが最善手を考えていたその時だった。廊下から聞こえて来るキャリーケースを引きずる音と微妙にミキちゃんに近い魔力反応を感じ取った二人は対局を中断して耳を澄ます。
「女性のようですがミキさん……? では無い?」
「キアラ! 急いで猫に化けるんだ!」
「ねっ、猫にですか!?」
「時間が無い、すぐに!」
「はいっ!」
「ミキィ、おネエさんですよぉ!」
合鍵でドアを開けて入って来たの胸周りがパツパツなTシャツ上に薄い上着を羽織り、ジーンズを履いた大柄な金髪白人女性。謎の女性はサングラスを取り、トランクを玄関に置いて室内に入る。
「日本はホンマに蒸し暑いですねぇ……あっ、そうか。この時間のミキはシャチクでしたね」
そう言いつつ上着とTシャッ、ズボンを脱いでゴールデンビキニ水着になった女性は美しく鍛えられたプロポーションをうちわであおぎつつエアコンのコントローラーを探す。
「ありました! これでスイッチォン……さて、次は」
ビキニ美女がトートバッグ内から取り出したのは猫じゃらしと缶詰めだ。
「可愛いアランちゃん、出ておいで……美味しいご飯におもちゃですよぉ?」
金髪美女はどこかに隠れている守屋家の白ソックスな黒猫・アランをおびき寄せようと開封した猫缶と猫じゃらしを持って四つん這いになり、家具の下を覗き込む。
「……みいつけた! ほれほれほれ、出ておいでシャイな黒猫ちゃん……あれっ?」
「キアラァァァァ! キアァァ!」
猫じゃらしに釣られてベッドの下から飛び出してきたのは全身真っ白な細長い猫であり、話に聞いていたのとは違うそれに金髪ビキニ美女は戸惑うばかりだ。
「白い猫ちゃん? アナタ、誰ですか?」
それからしばらくして、株式会社サウザンド人事部。
「戻りました」
「お疲れ様です!」「お疲れ様です!」
打ち合わせを終えて人事部に戻って来た人事部採用担当者、守屋美希・通称ミキちゃんは同僚に挨拶しつつデスクに戻り、打ち合わせ先の資料確認に入ろうとしたが、電話着メロを奏で始めたスマホをミキちゃんは確認する。
「自宅? はい、もしもし?」
『ハァーィ、 ミキ! ようやくツナガリマシタ! お勤めオツカレサマデス!』
自宅から電話をかけてきた陽気な女性の声にミキちゃんは瞬時にスマホをミュート。そのまま電話ブースに走る。
「ジエニファーさん!?」
『ハァィ、そぅですょ! 愛しの義妹ちゃん!』
数日前、オーストラリア在住の兄より彼と同棲中のパートナー女性、ジェニフアー・デイライトさんが日本に仕事で行きアランに会いに行くかもと言う連絡を受けていたミキちゃんは息も荒く答える。
『仕事が思ったより早く終わっちやって……アランちゃんに会いに来たのよ』
「そっ、そうなのね? アランはいい子で待っていたでしょ」
『うん、もちろんよ! そして二匹目までいるなんて…… ミキのそう言うサプライズ精神は大好きデス!! お姉ちゃんウレシイよ!!』
「二匹目?」
『エエ! 白くて可愛い女の子デスネ!』
『キアラアアアン! キアラアアン!』
(あっ、なるほど……)
ミキちゃんは電話越しの鳴き声で白い猫の正体がアランに会いに来て巻き添えを食ったであろう茶摘家の女淫魔・キアラだとすぐに理解する。
「ええ、そうなのよジェニファーさん! 家のマンションの駐輪場にまた猫が捨てられていて……名前はキアラよ」
『キアラ! 実にエレガントでいい名前デース! アランちゃんもこっちにおいで!』
『アラアァン! ニャアアン!』
アランも上手く猫に化けてやり過ごした事を確認出来たミキちゃんは安堵のため息をつく。
「とりあえずジェニファーさん、私は夜7時ごろまでには帰るから……夕食は何か買って帰るわ」
『ありがとう、ミキ! ワタシ日本のビールと唐揚げが食べたいからよろしくネ!』
それから数時間後……S区のマンション508号室、守屋家。
「ミキ、ありがとネ! とっても美味しかったから代金払うヨ? いくら?」
オーストラリア在住のミキちゃんの兄・剛と同棲中のパートナーにしてプロサーファー、プロダイバー、マリンスポーツインストラクター、ボディービルダー、エアロビクス動画投稿者と言う多彩な経歴を持つミキちゃんの義姉、ジェニファー・ディライト。
ゴールデンビキニ上にTシャツと半ズボンを着た彼女は義妹がスーパーで買ってきた唐揚げパック(特盛)2つとビッグサイズだし巻き卵をほぼ全て平らげ、缶ビールを飲みつつ財布を取り出す。
「ジェニファーさん、大丈夫ですよ! 久しぶりの唐揚げにだし巻き卵を私も美味しくいただきましたし……」
いつも同居人の淫魔に食事を作ってもらっているから総菜をあまり買わないとは絶対に言えないミキちゃんは財布から諭吉を取り出す義姉を止める。
「そうなの……? でも、なんかお礼しないとツヨシの手前気が済まないヨ。そうね、宣伝も兼ねてコレあげる! ものすごく運動になるから遊んでちょうだいネ!」
そう言いつつジェニファーさんが鞄から取り出したのは彼女もエアロビクサーとしてダンス監修に関わったジョイステーション5ソフト、『ダンス★ダンス フィーバーオールナイト!(モーションセンサー同梱版)』だ。
「わあ、ありがとう! 早速アラン君やキアラちゃんと一緒に遊ぶわ」
「ミキ……それはセンサー前で体を動かすゲームだから猫ちゃんと一緒に遊ぶのは無理ですよ?」
ジェニファーさんはミキちゃんの謎発言に思わず聞き返す。
「いや、遊ぶってのは……テレビゲームをやっているとアラン君やキアラちゃんがテレビをバシバシ叩いて喜ぶんです! 遊ぶってのはそういう意味で……ねっ、二人ともそうでしょ?」
「みゃあお(そうですね、この姿では無理です)」
「きぁ、きゃぁぁぁん(わぁ、楽しそうですね! 運動不足気味な茶摘さんにもやらせるから貸してください!)」
ミキちゃんは足元にやってきてゲームソフト箱の匂いを嗅ぐ二匹の猫に話しかけつつ猫あるある系のネタでごまかす。
「おお、それはカワイイ! 今度動画に撮って見せてくださイ! ツヨシも喜ぶます!
まだレイトチェックインまで時間があるからやりまショ!」
「いいですね、じゃあジョイステーション用意しますね!」
ミキちゃんは早速ジョイステーションエックスにディスクを入れ、同梱品の使い方マニュアルを確認しつつテレビ上にセッティングする。
「ミキ……二人でのダンス楽しかったヨ、ありがとうネ。元気なあなたに会えて本当に良かったわ」
ノリノリのダンスミュージックで踊る二人にテレビをバシバシする猫二匹。そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ、ホテルのレイトチェックイン時間となったジェニファーさんは玄関で靴をトントンしつつミキちゃんにお礼を言う。
「ジェニファーさんこそ、来てくれてありがとう。女子会、楽しかったわ」
「にゃあ!(また来てください! 唐揚げ作って待ってます!)」
「きあらぁぁぁん!(いつでも大歓迎ですわ!)」
「アランちゃん、ありがと! キアラもありがとね!」
ジェニファーさんは足元で八の字すりすりするキアラとアランをなでなでする。
「ミキ……ツヨシから聞いてはいたけど元気そうで何よりだわ! 人生は楽しんだもんしか勝たんのよ! 一とか二とか三とか言わずにやりたい事をやって楽しんだもん勝ちだからね! Life is too shortなのよ! ジェニファー姉さんの金言、忘れないでね?」
「もちろんよジェニファーさん! 兄さんにもよろしくね」
「もちろん! テレビゲームと戯れる猫ちゃんズも元気でね!」
「にゃあ!」「みゃお!」
スマホで呼んだタクシー到着を確認し終えたジェニファーさんはミキちゃんに抱っこされてにゃぁにゃぁ鳴きながら見送る黒猫アランと白猫キアラに見送られつつ508号室を後にするのであった。
【完】
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