2 / 8
その夏
しおりを挟む本日は戦闘シーンというよりブラッドの独白シーンがあります。
剣を抜きますので苦手な方は、もうしばらくお待ち下さい。
ただ……珍しくブラッドが内面を見せています。
普段見せない彼の内面を知って頂けるかと思いますので、前半と後半はお読み頂けますと幸いです。
※戦闘シーンですが、生々しい残忍描写はありません。
――――――――――――――――
ブラッドは指示を出した後に、じっと前を見据えていた。
――誰一人として、この船には近づけさせない。
これまでブラッドはずっとクローディアの側を離れなかった。
だがそれは私情は一切挟まず、ただ王太子妃であるクローディアを守るためだった。
何かあった時に自分を盾にしてでも彼女を守ろうと思っていた。
そして、今、彼女の元を離れたのは純粋にクローディアの側にフィルガルドがいたからだ。
ずっとフィガルドと共にガルドの元で剣を学んだブラッドは彼の実力が誰よりもわかっていた。
もしかしたら、フィガルドはラウルと同格か、もしくは上かもしれない。
それほどの腕を持つフィガルドが側にいれば、クローディアの側に自分は必要ないと思った。
フィルガルドが彼女の側にいるのならば――自分は船の外に出て、敵の侵入を防ぐ方が効率がいい……そう思って動いた。
だが……
クローディアに今にも不安で泣き出しそうな顔で名前を呼ばれた時は……心が揺れた。
――彼女の側に居たい、誰にも隣を渡したくないと……そう思った。
(彼女のことになると……本当に……冷静でいられないな……)
ブラッドが自嘲気味に思った時、前面に賊が姿を現した。
「来たか……」
ブラッドは剣を鞘から抜いた。そして賊を迎え打つ構えを取った。
賊は数人で迷いなく斬りかかった。
それをブラッドは一太刀で、同時に斬りかかってきた人数を棟打ちで相手を地面に倒した。
稲妻のような速さと威力。
通常、威力と速さが同時に存在することはない。重い剣の速度は落ちる。だが、ブラッドの剣は速さを殺さずに威力も相当なものだ。
それにも拘わらず周囲は……風も起こさずに凪いでいる。
静と動が同時に存在する彼の剣技はまさに大雷のようだった。
人間離れした圧倒的な技術と実力差。
――それが、ブラッド・フュルスト・レナンの存在だった。
だがブラッドの圧倒的な力の差を見せつけてもなお、賊は一向に怯まなかった。
次々と次の賊が襲い掛かって来る。
(賊にしては……迷いがないな……)
賊はかなり統率が取れていた。
一般的に賊とは、烏合の衆であることが多い。己の利権や目的のためだけに一緒にいる集団だ。そんな者たちが集まったところで、分が悪いと思えば相手は簡単に逃げ出す。
持っている武器も様々で、戦い方だって様々だ。
だが、賊はブラッドの太刀筋を見ても引かないばかりか、皆同じような武器を持ち、ブラッドにいくら仲間を倒されようとも向かって来た。
(これは、ならず者のあつまりの賊の集まり、という単純な相手ではなさそうだな)
ブラッドは冷静に、相手を切り崩していった。
相手の数が少なっていた頃。
急にこれまで迷いなく、向かって来た賊の動きが鈍くなった。
(なんだ?)
ブラッドが剣を振りながらも周囲を見渡すと、船の後方に滝が出現していた。
(泣いているかと思ったが……やはり彼女は強いな……)
ブラッドは瞬時に、クローディアの策だと気づいた。
先ほど、見張りが後方に弓兵と言っていたので、火計に備えたのだろう。
小さく笑うと、ブラッドは迫り来る賊を全て地面の上に倒していた。
周りを見渡すと、三十は倒れていた。
(一小隊くらいか……)
人数の配分もかなり的を得ている。
出入口があるこの場所を落とすにはいい人数だ。
兵は船を出たことを確認して襲ってきたのだろうから、機会も申し分ない。
「ブラッド様、賊を拘束いたします」
念のために取りこぼした兵がいた場合のために、入り口前に待機させていた兵が走って来た。
「後を頼む、私はラウルとアドラーの報告を待つ」
ブラッドが兵に捕縛を頼み、船を振り向いた瞬間。
彼は、足を止めた。
船のマストには大きな虹が浮かび上がっていたのだ。
そして、先ほどまで剣を交えていた者たちのことを思い出した。
「クローディア殿……あなたはどこまで……私を翻弄するな……」
クローディアの側にいなかったブラッドにはクローディアが船で何をしていたのか詳しくはわからない。
だが、必死で船の上で策を考え、自ら動き回り、仲間を守ってみせたことだけは――……確かだ。
ブラッドは船に現れた巨大な虹を見上げていた。
「ブラッド様」
船を見上げていたブラッドにラウルが話しかけた。ブラッドはラウルに視線を移して「報告を聞こう」と言った。
「左舷前方の賊を全て捕縛いたしました。現在、他の兵に彼らを一箇所に集め見張るようにと指示を出しました」
ブラッドはラウルとレガードを見ながら「ご苦労だった」と言った。そしてレガードを見ると、「フィルガルド殿下とクローディア殿の元に戻れ」と伝えた。
レガードは「はっ」と言って走って行った。
すると今度は船の後方からアドラーとリリアが走って来た。そしてアドラーが口を開いた。
「ブラッド様。賊を拘束し、兵に託しました」
「ご苦労だった」
ブラッドは、見張り兵を見ると片手を上げた。
すると通信管から「賊が動きを止めました!! 後方、捕縛完了の合図確認!! 前方、捕縛完了の合図確認……そして中央も捕縛完了の合図確認!! ブラッド様からの合図が出ました!!」との声が響いた。
するとリリアがブラッドを見ながら言った。
「ブラッド様、私はクローディア様の元に戻ります。失礼いたします」
リリアは走ってクローディアの元に戻って行った。
アドラーがブラッドを見ながら言った。
「ブラッド様。敵は、賊というよりも訓練された兵のようでした」
アドラーの言葉に、ラウルも声を上げた。
「実は、私もそう思っておりました。しかも練度も相当なものです」
ブラッドは、アドラーとラウルの言葉を聞いて小さく呟いた。
「……クローディア殿に面倒事が持ち込まれそうな予感がするな」
ブラッドはなぜか悲壮感はなく、どこか楽しんでいるように見えた。そしてラウルを見ながら言った。
「捕えた兵から事情を聴き出せ。まだ潜んでいる仲間がいるなら、アジトを特定してくれ」
「はっ!!」
ラウルは、兵たちの元へ向かおうとして再び立ち止まって、ブラッドを見ながら言った。
「報告がもう一つ。賊は、クローディア様の出現させた虹を見て『ベルン復活の再来か』と言っておりました。以上です。では、失礼します」
ラウルは今度こそ、兵たちの元へ向かった。
ラウル背中を見送るとアドラーがブラッドに尋ねた。
「ブラッド様もお戻りになりますか?」
アドラーの問いかけにブラッドは「ああ、あとはラウルに任せる」と答えて歩き出した。アドラーはブラッドの隣を歩きながら言った。
「『ベルン復活の再来』ですか……確かにブラッド様のおっしゃる通り、クローディア様に面倒事が持ち込まれそうですね」
ブラッドは前を睨みながら言った。
「水賊が暴れていて、運河が使えないか……本当にそうなのか、ダラパイス国の大公殿に調べてもらう必要があるかもしれないな」
「……あの方に動いてもらうなら、クローディア様にお願いする必要がありますね」
アドラーの言葉に、ブラッドが息を吐いた。
「あまり、クローディア殿とあの大公を関わらせたくはないのだが……」
アドラーが穏やかな空気を一変させ、警戒色を滲ませながら言った。
「……ダラパイス国の大公閣下に何か懸念でも?」
ブラッドは無表情に少しだけ押し黙った後に口を開いた。
「いや、個人的な……感情だ」
ブラッドの言葉にアドラーは唖然として立ち止まった。
「何だ?」
ブラッドの問いかけにアドラーははっとして、再び歩き出した。
「ブラッド様の個人的な感情を初めてお聞きしましたので」
ブラッドは息を吐くと、アドラーではなく前を見ながら言った。
「後で、フィルガルドとクローディア殿に提案してみることにする。クローディア殿が手紙を書いてくれるというのなら、彼女の手伝いを頼むぞ」
「はい。かしこまりました」
こうして、ブラッドとアドラーもクローディアの元に戻った。
(早く彼女の顔が見たい……)
ブラッドは甲板へ移動しながらも、湧き上がる感情を抑えることが出来ずに自分でも気づかないうちに急ぎ足になっていた。
「ブラッド!!」
甲板について急いでクローディアの姿を探すブラッドの耳にクローディアの声が届いた。
声のした方を見ると、誇らしげで輝くような笑顔のクローディアの姿が目に入り、思わず抱きしめたくなる思いを手のひらをきつく握りしめ、心の奥底に隠したのだった。
――――――――――――――――
次回更新は9月26日(木)です☆
剣を抜きますので苦手な方は、もうしばらくお待ち下さい。
ただ……珍しくブラッドが内面を見せています。
普段見せない彼の内面を知って頂けるかと思いますので、前半と後半はお読み頂けますと幸いです。
※戦闘シーンですが、生々しい残忍描写はありません。
――――――――――――――――
ブラッドは指示を出した後に、じっと前を見据えていた。
――誰一人として、この船には近づけさせない。
これまでブラッドはずっとクローディアの側を離れなかった。
だがそれは私情は一切挟まず、ただ王太子妃であるクローディアを守るためだった。
何かあった時に自分を盾にしてでも彼女を守ろうと思っていた。
そして、今、彼女の元を離れたのは純粋にクローディアの側にフィルガルドがいたからだ。
ずっとフィガルドと共にガルドの元で剣を学んだブラッドは彼の実力が誰よりもわかっていた。
もしかしたら、フィガルドはラウルと同格か、もしくは上かもしれない。
それほどの腕を持つフィガルドが側にいれば、クローディアの側に自分は必要ないと思った。
フィルガルドが彼女の側にいるのならば――自分は船の外に出て、敵の侵入を防ぐ方が効率がいい……そう思って動いた。
だが……
クローディアに今にも不安で泣き出しそうな顔で名前を呼ばれた時は……心が揺れた。
――彼女の側に居たい、誰にも隣を渡したくないと……そう思った。
(彼女のことになると……本当に……冷静でいられないな……)
ブラッドが自嘲気味に思った時、前面に賊が姿を現した。
「来たか……」
ブラッドは剣を鞘から抜いた。そして賊を迎え打つ構えを取った。
賊は数人で迷いなく斬りかかった。
それをブラッドは一太刀で、同時に斬りかかってきた人数を棟打ちで相手を地面に倒した。
稲妻のような速さと威力。
通常、威力と速さが同時に存在することはない。重い剣の速度は落ちる。だが、ブラッドの剣は速さを殺さずに威力も相当なものだ。
それにも拘わらず周囲は……風も起こさずに凪いでいる。
静と動が同時に存在する彼の剣技はまさに大雷のようだった。
人間離れした圧倒的な技術と実力差。
――それが、ブラッド・フュルスト・レナンの存在だった。
だがブラッドの圧倒的な力の差を見せつけてもなお、賊は一向に怯まなかった。
次々と次の賊が襲い掛かって来る。
(賊にしては……迷いがないな……)
賊はかなり統率が取れていた。
一般的に賊とは、烏合の衆であることが多い。己の利権や目的のためだけに一緒にいる集団だ。そんな者たちが集まったところで、分が悪いと思えば相手は簡単に逃げ出す。
持っている武器も様々で、戦い方だって様々だ。
だが、賊はブラッドの太刀筋を見ても引かないばかりか、皆同じような武器を持ち、ブラッドにいくら仲間を倒されようとも向かって来た。
(これは、ならず者のあつまりの賊の集まり、という単純な相手ではなさそうだな)
ブラッドは冷静に、相手を切り崩していった。
相手の数が少なっていた頃。
急にこれまで迷いなく、向かって来た賊の動きが鈍くなった。
(なんだ?)
ブラッドが剣を振りながらも周囲を見渡すと、船の後方に滝が出現していた。
(泣いているかと思ったが……やはり彼女は強いな……)
ブラッドは瞬時に、クローディアの策だと気づいた。
先ほど、見張りが後方に弓兵と言っていたので、火計に備えたのだろう。
小さく笑うと、ブラッドは迫り来る賊を全て地面の上に倒していた。
周りを見渡すと、三十は倒れていた。
(一小隊くらいか……)
人数の配分もかなり的を得ている。
出入口があるこの場所を落とすにはいい人数だ。
兵は船を出たことを確認して襲ってきたのだろうから、機会も申し分ない。
「ブラッド様、賊を拘束いたします」
念のために取りこぼした兵がいた場合のために、入り口前に待機させていた兵が走って来た。
「後を頼む、私はラウルとアドラーの報告を待つ」
ブラッドが兵に捕縛を頼み、船を振り向いた瞬間。
彼は、足を止めた。
船のマストには大きな虹が浮かび上がっていたのだ。
そして、先ほどまで剣を交えていた者たちのことを思い出した。
「クローディア殿……あなたはどこまで……私を翻弄するな……」
クローディアの側にいなかったブラッドにはクローディアが船で何をしていたのか詳しくはわからない。
だが、必死で船の上で策を考え、自ら動き回り、仲間を守ってみせたことだけは――……確かだ。
ブラッドは船に現れた巨大な虹を見上げていた。
「ブラッド様」
船を見上げていたブラッドにラウルが話しかけた。ブラッドはラウルに視線を移して「報告を聞こう」と言った。
「左舷前方の賊を全て捕縛いたしました。現在、他の兵に彼らを一箇所に集め見張るようにと指示を出しました」
ブラッドはラウルとレガードを見ながら「ご苦労だった」と言った。そしてレガードを見ると、「フィルガルド殿下とクローディア殿の元に戻れ」と伝えた。
レガードは「はっ」と言って走って行った。
すると今度は船の後方からアドラーとリリアが走って来た。そしてアドラーが口を開いた。
「ブラッド様。賊を拘束し、兵に託しました」
「ご苦労だった」
ブラッドは、見張り兵を見ると片手を上げた。
すると通信管から「賊が動きを止めました!! 後方、捕縛完了の合図確認!! 前方、捕縛完了の合図確認……そして中央も捕縛完了の合図確認!! ブラッド様からの合図が出ました!!」との声が響いた。
するとリリアがブラッドを見ながら言った。
「ブラッド様、私はクローディア様の元に戻ります。失礼いたします」
リリアは走ってクローディアの元に戻って行った。
アドラーがブラッドを見ながら言った。
「ブラッド様。敵は、賊というよりも訓練された兵のようでした」
アドラーの言葉に、ラウルも声を上げた。
「実は、私もそう思っておりました。しかも練度も相当なものです」
ブラッドは、アドラーとラウルの言葉を聞いて小さく呟いた。
「……クローディア殿に面倒事が持ち込まれそうな予感がするな」
ブラッドはなぜか悲壮感はなく、どこか楽しんでいるように見えた。そしてラウルを見ながら言った。
「捕えた兵から事情を聴き出せ。まだ潜んでいる仲間がいるなら、アジトを特定してくれ」
「はっ!!」
ラウルは、兵たちの元へ向かおうとして再び立ち止まって、ブラッドを見ながら言った。
「報告がもう一つ。賊は、クローディア様の出現させた虹を見て『ベルン復活の再来か』と言っておりました。以上です。では、失礼します」
ラウルは今度こそ、兵たちの元へ向かった。
ラウル背中を見送るとアドラーがブラッドに尋ねた。
「ブラッド様もお戻りになりますか?」
アドラーの問いかけにブラッドは「ああ、あとはラウルに任せる」と答えて歩き出した。アドラーはブラッドの隣を歩きながら言った。
「『ベルン復活の再来』ですか……確かにブラッド様のおっしゃる通り、クローディア様に面倒事が持ち込まれそうですね」
ブラッドは前を睨みながら言った。
「水賊が暴れていて、運河が使えないか……本当にそうなのか、ダラパイス国の大公殿に調べてもらう必要があるかもしれないな」
「……あの方に動いてもらうなら、クローディア様にお願いする必要がありますね」
アドラーの言葉に、ブラッドが息を吐いた。
「あまり、クローディア殿とあの大公を関わらせたくはないのだが……」
アドラーが穏やかな空気を一変させ、警戒色を滲ませながら言った。
「……ダラパイス国の大公閣下に何か懸念でも?」
ブラッドは無表情に少しだけ押し黙った後に口を開いた。
「いや、個人的な……感情だ」
ブラッドの言葉にアドラーは唖然として立ち止まった。
「何だ?」
ブラッドの問いかけにアドラーははっとして、再び歩き出した。
「ブラッド様の個人的な感情を初めてお聞きしましたので」
ブラッドは息を吐くと、アドラーではなく前を見ながら言った。
「後で、フィルガルドとクローディア殿に提案してみることにする。クローディア殿が手紙を書いてくれるというのなら、彼女の手伝いを頼むぞ」
「はい。かしこまりました」
こうして、ブラッドとアドラーもクローディアの元に戻った。
(早く彼女の顔が見たい……)
ブラッドは甲板へ移動しながらも、湧き上がる感情を抑えることが出来ずに自分でも気づかないうちに急ぎ足になっていた。
「ブラッド!!」
甲板について急いでクローディアの姿を探すブラッドの耳にクローディアの声が届いた。
声のした方を見ると、誇らしげで輝くような笑顔のクローディアの姿が目に入り、思わず抱きしめたくなる思いを手のひらをきつく握りしめ、心の奥底に隠したのだった。
――――――――――――――――
次回更新は9月26日(木)です☆
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
視える棺―この世とあの世の狭間で起こる12の奇譚
中岡 始
ホラー
この短編集に登場するのは、「気づいてしまった者たち」 である。
誰もいないはずの部屋に届く手紙。
鏡の中で先に笑う「もうひとりの自分」。
数え間違えたはずの足音。
夜のバスで揺れる「灰色の手」。
撮ったはずのない「3枚目の写真」。
どの話にも共通するのは、「この世に残るべきでない存在」 の気配。
それは時に、死者の残した痕跡であり、時に、境界を越えてしまった者の行き場のない魂でもある。
だが、"それ"に気づいた者は、もう後戻りができない。
見てはいけないものを見た者は、見られる側に回るのだから。
そして、最終話「最期のページ」。
読み進めることで、読者は気づくことになる。
なぜ、この短編集のタイトルが『視える棺』なのか。
なぜ、彼らは"見えてしまった"のか。
そして、最後のページに書かれていたのは——
「そして、彼が振り返った瞬間——」
その瞬間、あなたは気づくだろう。
この物語の本当の意味に。

日報受取人
智天斗
ホラー
これは、ある男の日報。それをここに書き写します。毎日18時に届く謎の日報。嘘か誠か、それすらも分からない不思議で少し不気味な話の数々。
これを書いた本人はきっと今もどこかで日報を書いている。
僕はこの記録を続ける、その日報が届き続ける限り。
短い話となりますので良ければ読んでください。
日報が届き次第、こちらに記載を予定しております。
日報の文面についてこちらで解釈し、添削を加えております。一部表現につきまして、○○などで表現する場合がございます。ご了承ください。
短編(日報)と長編(物語形式)2種類を載せていきます。
episode〇は短編(日報)、人見秀一の黙秘録episode〇は長編(物語形式)です。
物語形式の"人見秀一の黙秘録"については日報受取人の日報内に出てくる人物、人見秀一の体験談を掲載していきます。

百物語異聞集
宮池菫
ホラー
百物語――――百本のろうそくを立てて怪談をし、ひとつ話し終える度にろうそくをひとつ消す。百本目のろうそくが消えるとあやかしが現れると言われる怪談会。
とある男が胸の内を明かすために企画し、賛同する者たちが今宵集う。
蝋燭の代わりにキャンドルを灯した部屋で各々が体験した摩訶不思議な出来事を語ったことの記録集。
※短編連作です。1~3話くらいで完結し、次のストーリーに変わります。
蝶々の瑕
七瀬京
ホラー
『夏休み中かかりますけど、日給一万円の三食付きのバイトがあるって言えばやってみたいと思いますか?』
そんな甘い言葉に誘われて、私は、天敵とも言えるゼミの担当、海棠隆一准教授からの提案で、とある山奥の村へ行くことになった。
そこは、奇妙な風習があり……。
幽霊探偵・伊田裕美参上!
羽柴吉高
ホラー
旅をしながら記事を執筆するルポライター・伊田裕美。彼女は各地を巡るうちに、ただの観光記事には収まらない奇妙な事件に次々と遭遇していく。
封印された怨霊、土地に刻まれた祟り、目に見えぬ恐怖——。その影に隠された歴史と、事件の真相を追い求めるうちに、彼女は次第に“幽霊探偵”としての役割を担っていく。
人はなぜ霊に憑かれるのか?
祟りとは、ただの迷信か、それとも過去の叫びなのか?
取材を続けるうちに、裕美は不可解な事件の中に隠された“真実”に気づく。それは、単なる恐怖ではなく、時を超えて語られることのなかった人々の“記憶”であった。
恐怖と謎が交錯するオカルト・ミステリー。
“幽霊探偵”としての彼女の旅は、まだ始まったばかり——。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる