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奇跡 ~エピローグ~
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『おかえり・・・ノエル』
『ただいま・・・すず』
そんな時、思いもよらないことがおきた。
『おかえり・・・なさい・・・ノエルさん』
『お・・・かえり・・・なさい』
もう目を覚まさないと思われていたジェネ、イフの二人が息を吹き返したのだ。おかえりなさいの意味もわからないであろう口ずさんでいる。
スズフミ、ノエル、二人の目から大粒の涙が溢れでる。すぐに後輩二人を優しく、そして強く抱きしめるスズフミ。
ノエルはカマイタチの子どもを腕に抱いていたため、そうすることはできなかったが、スズフミと同じ気持ちだった。
・・・しかし最悪の最悪の事態は避けられたというものの、イフ、ジェネの二人の顔は数ある深い切り傷影響で所々むくみ、爛れていた。
首から下もきっと、同じ状態だろう。・・・まるで怪物のような風貌に成り果ててしまっていたのだ。
・・・回癒策などあろうはずもなかった。顔や身体中の傷を手術で縫い合わせたとしても、痕跡は残る。そして今の日本の科学では、ここまで面影の残ってない二人の愛らしい顔を元の状態に戻すことはできない。
・・・もしかしたら二人はそんな自分の姿に耐えられなくなって自害してしまうかもしれない。
そう思うと、スズフミは痛たまれない気持ちになる。
『・・・ごめんね・・・ごめんね・・・こんなとき私に回復魔法みたいな力があったら助けることができたのにね・・・無理・・・だよね・・・そんなの』
しかしそんなスズフミの現実逃避した思いは実現する。
二人を抱きしめているスズフミの身体が白く輝きだす。まるで天使のように神々しく、そして暖かく。少女の相手を思う慈悲の心がここに奇跡を呼び起こす。
少女の身体から放たれる聖なる光に照らされて、イフ、ジェネの醜く変わり果てた姿が元の通りに修復復元されてゆく。
・・・そして力なくスズフミに身体を預けていた二人の目に生気が戻る。
ノエルはそんな目を疑うかのような奇跡の光景に目を奪われ、世の中では多くの人間たちに幻想、空想と思われている神という存在に生まれて初めて感謝を捧げていた。
やがて完全に復元されるイフ、ジェネという名の人間。
『あれっ・・・どこも痛くない・・・えっ、嘘。傷がなくなってるっ』
イフは切り傷だらけで凹凸(おうとつ)だらけだった筈の自分の顔を手で触り、同じく傷だらけだった親友の顔がもとの自分のよく知る姿を取り戻したのを目のあたりにし、(信じられないっ)といった驚きの表情となる。
『・・・わたしもイフちゃんも身体中が傷だらけだったはずなのに・・・もしかして・・・夢だったのかなぁ』
ジェネは空を見上げ、キョトンとした表情で誰に尋ねるわけでもなく、一人呟いた。
『・・・ううん、夢じゃないよ』
『・・・えっ?』
その声に振り返るジェネ。隣のイフも自然と振り向く。二人の視線の先にはノエルがいた。
『奇跡だよ・・・奇跡がおきたんだ・・・等の本人は気づいてないみたいだけどね』
泣きつかれたのか、はたまた・・・人以上の能力に急に目覚めそれを使ってしまったからなのだろうか・・・。
『この子頼むね』
『・・・うん』
ノエルはそういってジェネにカマイタチの子どもをあずけると、小さく寝息をたてているスズフミの肩をゆっくりとさすった。
『すず、おきて・・・』
ゆさゆさ
『うっ、う~ん・・・あれっ・・・のえる?』
寝起きで、まだ目の焦点の合わない瞳にノエルの姿が映しだされる。
『おはようっ、すず』
のえるは優しい笑顔で親友の目覚めをむかえる。
『ふぁ・・・おはよう・・・ノエルってぇっ・・・ええっ・・・私寝ちゃってたのぉっ!?』
驚きと後悔で、虚ろだったスズフミの目蓋が大きく見開かれる。だがすぐに寂しそうな表情でうつむいた。
『ノエル・・・ごめん・・・二人が大変なときに・・・寝ちゃったりして・・・私最低だよね・・・』
『・・・最低なもんか・・・最高だよ・・・スズはっ』
ノエルは両目にたくさんの涙を溜めて言う。でもその顔は笑顔だった・・・。
『・・・んっ?』
不意にスズフミの視界に見覚えのある可愛い二人の後輩の姿が入ってくる。驚きに目を丸くし、身体を震わせるスズフミ。高ぶる感情が露になる。
『うそ!?・・・ジェネちゃんっ、イフちゃんっ・・・顔が・・・あっ、あれっ、こ、これは夢?』
『・・・ううん、ちがう・・・夢なんかじゃないよ。現実だよ・・・それに、二人を治したのはスズなんだよ』
『・・・えっ・・・私が?』
ノエルの言葉の意味がわからないスズフミは、イフ、ジェネの身体や顔をもう一度交互にみる。
『・・・えっ?・・・ええと』
スズフミはノエルに振り返る。なにがなんだかわからないといった表情だ。珍しくあたふたするスズフミの姿を目にした三人は揃って笑いだす。
聖なる光が導きだしたひとときの休息に四人の少女は身を委ね、胸を踊らせた。
唸れ風神剣っ!!悲しみを乗りこえて!!
完
『ただいま・・・すず』
そんな時、思いもよらないことがおきた。
『おかえり・・・なさい・・・ノエルさん』
『お・・・かえり・・・なさい』
もう目を覚まさないと思われていたジェネ、イフの二人が息を吹き返したのだ。おかえりなさいの意味もわからないであろう口ずさんでいる。
スズフミ、ノエル、二人の目から大粒の涙が溢れでる。すぐに後輩二人を優しく、そして強く抱きしめるスズフミ。
ノエルはカマイタチの子どもを腕に抱いていたため、そうすることはできなかったが、スズフミと同じ気持ちだった。
・・・しかし最悪の最悪の事態は避けられたというものの、イフ、ジェネの二人の顔は数ある深い切り傷影響で所々むくみ、爛れていた。
首から下もきっと、同じ状態だろう。・・・まるで怪物のような風貌に成り果ててしまっていたのだ。
・・・回癒策などあろうはずもなかった。顔や身体中の傷を手術で縫い合わせたとしても、痕跡は残る。そして今の日本の科学では、ここまで面影の残ってない二人の愛らしい顔を元の状態に戻すことはできない。
・・・もしかしたら二人はそんな自分の姿に耐えられなくなって自害してしまうかもしれない。
そう思うと、スズフミは痛たまれない気持ちになる。
『・・・ごめんね・・・ごめんね・・・こんなとき私に回復魔法みたいな力があったら助けることができたのにね・・・無理・・・だよね・・・そんなの』
しかしそんなスズフミの現実逃避した思いは実現する。
二人を抱きしめているスズフミの身体が白く輝きだす。まるで天使のように神々しく、そして暖かく。少女の相手を思う慈悲の心がここに奇跡を呼び起こす。
少女の身体から放たれる聖なる光に照らされて、イフ、ジェネの醜く変わり果てた姿が元の通りに修復復元されてゆく。
・・・そして力なくスズフミに身体を預けていた二人の目に生気が戻る。
ノエルはそんな目を疑うかのような奇跡の光景に目を奪われ、世の中では多くの人間たちに幻想、空想と思われている神という存在に生まれて初めて感謝を捧げていた。
やがて完全に復元されるイフ、ジェネという名の人間。
『あれっ・・・どこも痛くない・・・えっ、嘘。傷がなくなってるっ』
イフは切り傷だらけで凹凸(おうとつ)だらけだった筈の自分の顔を手で触り、同じく傷だらけだった親友の顔がもとの自分のよく知る姿を取り戻したのを目のあたりにし、(信じられないっ)といった驚きの表情となる。
『・・・わたしもイフちゃんも身体中が傷だらけだったはずなのに・・・もしかして・・・夢だったのかなぁ』
ジェネは空を見上げ、キョトンとした表情で誰に尋ねるわけでもなく、一人呟いた。
『・・・ううん、夢じゃないよ』
『・・・えっ?』
その声に振り返るジェネ。隣のイフも自然と振り向く。二人の視線の先にはノエルがいた。
『奇跡だよ・・・奇跡がおきたんだ・・・等の本人は気づいてないみたいだけどね』
泣きつかれたのか、はたまた・・・人以上の能力に急に目覚めそれを使ってしまったからなのだろうか・・・。
『この子頼むね』
『・・・うん』
ノエルはそういってジェネにカマイタチの子どもをあずけると、小さく寝息をたてているスズフミの肩をゆっくりとさすった。
『すず、おきて・・・』
ゆさゆさ
『うっ、う~ん・・・あれっ・・・のえる?』
寝起きで、まだ目の焦点の合わない瞳にノエルの姿が映しだされる。
『おはようっ、すず』
のえるは優しい笑顔で親友の目覚めをむかえる。
『ふぁ・・・おはよう・・・ノエルってぇっ・・・ええっ・・・私寝ちゃってたのぉっ!?』
驚きと後悔で、虚ろだったスズフミの目蓋が大きく見開かれる。だがすぐに寂しそうな表情でうつむいた。
『ノエル・・・ごめん・・・二人が大変なときに・・・寝ちゃったりして・・・私最低だよね・・・』
『・・・最低なもんか・・・最高だよ・・・スズはっ』
ノエルは両目にたくさんの涙を溜めて言う。でもその顔は笑顔だった・・・。
『・・・んっ?』
不意にスズフミの視界に見覚えのある可愛い二人の後輩の姿が入ってくる。驚きに目を丸くし、身体を震わせるスズフミ。高ぶる感情が露になる。
『うそ!?・・・ジェネちゃんっ、イフちゃんっ・・・顔が・・・あっ、あれっ、こ、これは夢?』
『・・・ううん、ちがう・・・夢なんかじゃないよ。現実だよ・・・それに、二人を治したのはスズなんだよ』
『・・・えっ・・・私が?』
ノエルの言葉の意味がわからないスズフミは、イフ、ジェネの身体や顔をもう一度交互にみる。
『・・・えっ?・・・ええと』
スズフミはノエルに振り返る。なにがなんだかわからないといった表情だ。珍しくあたふたするスズフミの姿を目にした三人は揃って笑いだす。
聖なる光が導きだしたひとときの休息に四人の少女は身を委ね、胸を踊らせた。
唸れ風神剣っ!!悲しみを乗りこえて!!
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