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挿話 長澤と間島
第58話
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間島の遺体は、真夜中にもかかわらず急報を受けた軍によって発見された。
「間島が消されたって?」
第一報が入った幽霊セクションは、蜂の巣を突いたような大騒ぎになった。彼ほどの腕の持ち主が、背後から撃たれるなんてと動揺が走る。
「昨夜、間島さんから話があるって言われていたんですが、いつまで経っても来なくって……まさか、こんな事になっていたなんて!」
隆宏は当初、疑われた。間島と最後に会う約束をしていたのだから当然と言えば当然だったが、彼は同日同刻頃に別の任務に入っていたために疑いはすぐに晴れた。最年長工作員の中田との合同任務ということも、疑いを晴らす大きな要因だった。施条痕から凶器はホローポイント弾を使用した、コルト・ローマンであること。判明した凶器はそれだけで、誰が襲撃したのか塚原も寺井も皆目見当が付かないと証言をしている。何より塚原自身も撃たれているのだ。まさか彼が実行犯などと誰が疑うだろうか。コルト・ローマンは現場に駆けつけた佐々木に素早く渡され、証拠は隠滅された。
こうして間島の死は半島の工作員によるものと結論づけられ、同時に流出してしまった自衛軍の機密情報を書き換える作業に、軍の上層部と内保局は奔走することになり間島の死を悼む声は徐々に小さくなった。ただひとり、長澤を除いて。
(俺が間島に余計なことを言ったために、あいつは塚原チーフたちを独自に捜査したに違いない。くそ、俺のせいだ! 許せ間島、いまはまだ確たる証拠を掴めていないが、何年かかっても必ず証拠を掴んでお前の仇を取る。必ず、俺の手で!)
内保局内で間島の葬儀が行われている間中、長澤は遺影を半ば睨みつけるようにして亡き親友に誓う。図々しくも揃って参列する二人に対し激しい憎悪を覚える。
また一方では、倉科兄妹が真理子と長澤の背中を睨み据えていた。さすがに殺気は完璧に抑え込んでいるが、震える拳は誤魔化せなかった。周囲の人間たちはそれを、敬愛する先輩工作員が非業の死を遂げたことに対する哀しみに耐えていると受け取ったようだが、実際には違った。
(あいつらだけは絶対に許さない!)
間島の葬儀では様々な思惑が渦巻き、表面上は粛粛と故人を偲ぶ場となっていた。
「間島が消されたって?」
第一報が入った幽霊セクションは、蜂の巣を突いたような大騒ぎになった。彼ほどの腕の持ち主が、背後から撃たれるなんてと動揺が走る。
「昨夜、間島さんから話があるって言われていたんですが、いつまで経っても来なくって……まさか、こんな事になっていたなんて!」
隆宏は当初、疑われた。間島と最後に会う約束をしていたのだから当然と言えば当然だったが、彼は同日同刻頃に別の任務に入っていたために疑いはすぐに晴れた。最年長工作員の中田との合同任務ということも、疑いを晴らす大きな要因だった。施条痕から凶器はホローポイント弾を使用した、コルト・ローマンであること。判明した凶器はそれだけで、誰が襲撃したのか塚原も寺井も皆目見当が付かないと証言をしている。何より塚原自身も撃たれているのだ。まさか彼が実行犯などと誰が疑うだろうか。コルト・ローマンは現場に駆けつけた佐々木に素早く渡され、証拠は隠滅された。
こうして間島の死は半島の工作員によるものと結論づけられ、同時に流出してしまった自衛軍の機密情報を書き換える作業に、軍の上層部と内保局は奔走することになり間島の死を悼む声は徐々に小さくなった。ただひとり、長澤を除いて。
(俺が間島に余計なことを言ったために、あいつは塚原チーフたちを独自に捜査したに違いない。くそ、俺のせいだ! 許せ間島、いまはまだ確たる証拠を掴めていないが、何年かかっても必ず証拠を掴んでお前の仇を取る。必ず、俺の手で!)
内保局内で間島の葬儀が行われている間中、長澤は遺影を半ば睨みつけるようにして亡き親友に誓う。図々しくも揃って参列する二人に対し激しい憎悪を覚える。
また一方では、倉科兄妹が真理子と長澤の背中を睨み据えていた。さすがに殺気は完璧に抑え込んでいるが、震える拳は誤魔化せなかった。周囲の人間たちはそれを、敬愛する先輩工作員が非業の死を遂げたことに対する哀しみに耐えていると受け取ったようだが、実際には違った。
(あいつらだけは絶対に許さない!)
間島の葬儀では様々な思惑が渦巻き、表面上は粛粛と故人を偲ぶ場となっていた。
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