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第7話

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「スラは街がどこにあるか分かる?」

『街?うーん、分からない、ごめんね』

「そっか、うーん、どうしたもんかねぇ、まぁ別に調味料がなくても野菜も肉も不味いわけじゃないからいいんだけど、塩はなんとかしないと」

『あー、なんか来たよ』

「魔物か?でも聖域があるから入って来れないと思うんだけど」

スラが指す方向を見ていると、誰かが歩いて来るのが分かった。

「誰だろう…」

近付いて行くと向こうが警戒態勢をとった。

「あ、あなたは誰ですか」

「俺はここに住んでるケンイチと言うものだ、そっちは?」

「…私はマリー、エルフの里に住んでいました、今は放浪の身です」

エルフ、確かに耳が長いな。

「ここへは何の用で?」

「強大な魔法の力を感じたので近付いたのですが、この魔法はなんですか?」

この魔法…って多分聖域のことか?

「聖域魔法だ、知ってるか?」

「聖域…魔法!?あなた、いえ、ケンイチ様は聖域魔法が使えるのですか!?」

なんだ?もしかして珍しい魔法だったのか?

「あぁ、使えるが、それがどうかしたのか?」

「それはお1人で、ですか?」

「他に誰かいるように見えるか?」

「…聖域魔法とは何十人もの空間魔法を使える者がやっとの思いで使える魔法で、しかも使えたとしても3日ほどしかもたない魔法なのです、それを1人で、しかも特に疲労感もなく…」

賢者のおかげかな?って言ってもさすがにそのレベルの魔法を使って特に疲れていないってことは元の魔力量が相当多いんだろうな。

「そういえばマリーは放浪の身だって言ってたな、どこかに街は無いだろうか?塩、というか調味料が無くて困っているんだが」

「え?あ、はい、街ならありますけど…遠いですよ?」

「遠いってどれくらいだ?」

「ここから歩いて行くなら…半年はかかるかと」

「半年かぁ…半年!?なんでそんな遠いんだ!?」

「知らないでここにいるんですか?ここは世界の陸地の大半を占める大森林、リラルナ大森林ですから」

「リラルナ大森林…そんなところに飛ばされたのか、この森の中には他に種族はいないのか?」

「色々いますよ、エルフにドワーフ、獣人、フェアリー、リザードンマン、ハーフリング、ジャイアント、ラミア、アラクネ…とまぁ様々な種族が住んでいます」

「なるほどなぁ、そのうち会えるかな」

「ケンイチ様は塩をお探しと言っていましたね?少量なら差し上げることが出来ますが」

「おぉマジ!?助かるー、どうせなら一緒に食べていく?」

「ご飯ですか?ケンイチ様が共にと言うならいただきます」

アイテムボックスから野菜と肉をいくつか取り出し、塩をかけるものには簡単にサラサラっとかけ、肉は木の棒に刺しいつものように焼く。

「…原始的ですね…」

「ここに来てまだ少ししか経ってないからな、道具もなにも無いんだ」

「普通準備してから来ますけどね…」

…転移してきたって言っていいのかな。

橋の神様は迷える魂はたまに来るって言ってたし、アクアス様も今回の転移者はって言ってたから前にも転移者はいたんだよな。

…言ってみるか。

「実はな、俺別の世界から転移してきたんだ」

「…え?もしかして転移者ですか?」

「その感じ、なんか知ってる?」

「はい、転移者は様々な知識を神に与えられて世界に現れると聞いています。その知識は世界を豊かにするときもあれば破滅へと向かう知識もあると聞きます」

「へー、知識ねぇ、俺は特にそういった知識持ってないから、特になにも、豊かにも破滅にもならないんじゃないかな」

「そう、ですか」

「ま、とりあえず食べよう、お腹空いたよ」

「…この野菜はなんですか?」

「それ?それはキュウリだな、そっちの赤いのがトマト、生で食べても美味しいよ」

「………!美味しい!なんですかこれ!」

「だからキュウリとトマトだって」

「すごく美味しいです!」

そのままあるだけ全部食べられてしまった。

肉も食べなよ…。
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