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第1話
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「はぁ…帰るのめんど…」
俺の名前は鈴木健一、35歳、ブラックな企業の社畜だ。
今日も今日とて終電を逃し、歩いて家に帰る途中だ。
内定を貰ったときは嬉しかった。
なるべく近いところで安い部屋を借り、この会社で活躍してやると思っていた。
実際は家が変に近いせいか余計な仕事まで増え、出来なきゃ怒られ、出来てもあれがダメこれがダメと突っ返される毎日。
もう、疲れたな。
そう思っていると突然、俺の影が濃くなった。
なんだ?そう思い振り返るとトラックが突っ込んできていた。
運転手はどうやら寝ているらしい。
この人も疲れているのかな。
ぶつかって死ぬ、そう思ったが、恐怖心は不思議と無かった。
これで楽になれると思っていたのかもしれない。
そして衝突する俺とトラック。
撥ねられ吹き飛ぶ俺の身体。
そしてどこかに頭をぶつけ、俺の意識は無くなった。
-----------------------------
「ありゃりゃ、これはまた凄い魂が迷い込んできたもんだ」
男の人の声が聞こえ目を覚ます。
どこだここ、病院か?
「いや、病院じゃないよ」
…え?俺の思っていることが分かるのか?
「分かるもなにも、だって君今魂の状態だからね」
魂…?
見てみると確かに、手も足もない。
ふよふよ浮いている。
これはどういう…。
「君は死んだんだよ、それは分かる?」
あ、あぁ、うん、トラックに轢かれて死んだ。
「そう、普通だったら輪廻に従ってその世界の別の生命に生まれ変わるはずなんだけど、たまにいるんだよね、自分の世界を拒絶しちゃう子が」
拒絶…そんなこと思ったことなかったけど、心のどこかで拒絶してたってことか…。
「まぁそういうことだね」
あ、そういえば聞いていませんでした、俺の名前は健一です、鈴木健一、あなたは?
「僕は橋の神、橋を管理しているんだ」
橋…?橋ってあの橋ですか?
「うん、まぁ君が思っているよりももっと壮大な橋だけど、大体合ってるよ」
そうですか、それで俺はこの後どうなるんですか?拒絶しても元の世界の輪廻には入れるんですか?
「無理だね、無理、だって君自身が拒絶しちゃってるもん、それは僕たち神でもどうしようもないことだから」
え、じゃあ俺このまま消滅するんですか…?
「そんな酷いことしないよ、違う世界に転生か転移させるよ」
あぁ、良かった…。
「さて、じゃあ転生か転移、どっちか選んでもらおうかな」
転生と転移ってどう違うんですか?
「転生は記憶を全て消去して赤ちゃんからやり直すこと、ただどこの子に生まれ変わるのかは僕たちにも分からない、もしかしたら貧困層の子に生まれるかもしれないし、富裕層の子に生まれる可能性もある。転移は…そのままだね、君のまま別の世界に行くことになる。さぁどっちを選ぶ?」
それなら俺は転移でお願いします。
「分かった、じゃあ転移するにあたってその世界で生きる術を与えようと思う、君がこれから行く世界は君の元いた世界、国よりも危険な場所になるからね、転移して早々死なれてもこっちが困るから、ある程度強力な力を与えるよ」
ありがとうございます。危険っていうのはどのくらい危険なんですか?
「そうだね、君の世界でいうファンタジーな世界だよ、王が国を治め、貴族という身分がある。魔物という存在がいて人を見つけるなり襲ってくる、そんな感じかな」
戦う術を持たなきゃいけないってことですか…。
「まぁ街中にいればそんな心配はないと思うけど、必要最低限はね」
どんな力があるんですか?
「ちょっと待ってね…はい、これで見えるかな?」
突如俺の頭の中にリストが出てきた。
結構ありますね。
「神は基本なんでも出来るからね、まぁ出来たとしてもやっちゃいけないものもあるけど」
…このそれぞれの力の隣に書いてある数字はなんですか?
「あぁ言い忘れてたね、それはその数字分生きてきた時間を貰いますってことだよ」
生きてきた時間…?
「まぁつまりその分若返るよってことだね、君の場合…20年分くらいは余裕があるんじゃないかな、あっちの世界は15歳が成人だし」
分かりました、ちょっと考えます。
「うん、ゆっくりでいいよ、迷える魂なんて1年に1度あるかないかくらいだしね」
1年に1度、結構頻度高いんだな。
俺の名前は鈴木健一、35歳、ブラックな企業の社畜だ。
今日も今日とて終電を逃し、歩いて家に帰る途中だ。
内定を貰ったときは嬉しかった。
なるべく近いところで安い部屋を借り、この会社で活躍してやると思っていた。
実際は家が変に近いせいか余計な仕事まで増え、出来なきゃ怒られ、出来てもあれがダメこれがダメと突っ返される毎日。
もう、疲れたな。
そう思っていると突然、俺の影が濃くなった。
なんだ?そう思い振り返るとトラックが突っ込んできていた。
運転手はどうやら寝ているらしい。
この人も疲れているのかな。
ぶつかって死ぬ、そう思ったが、恐怖心は不思議と無かった。
これで楽になれると思っていたのかもしれない。
そして衝突する俺とトラック。
撥ねられ吹き飛ぶ俺の身体。
そしてどこかに頭をぶつけ、俺の意識は無くなった。
-----------------------------
「ありゃりゃ、これはまた凄い魂が迷い込んできたもんだ」
男の人の声が聞こえ目を覚ます。
どこだここ、病院か?
「いや、病院じゃないよ」
…え?俺の思っていることが分かるのか?
「分かるもなにも、だって君今魂の状態だからね」
魂…?
見てみると確かに、手も足もない。
ふよふよ浮いている。
これはどういう…。
「君は死んだんだよ、それは分かる?」
あ、あぁ、うん、トラックに轢かれて死んだ。
「そう、普通だったら輪廻に従ってその世界の別の生命に生まれ変わるはずなんだけど、たまにいるんだよね、自分の世界を拒絶しちゃう子が」
拒絶…そんなこと思ったことなかったけど、心のどこかで拒絶してたってことか…。
「まぁそういうことだね」
あ、そういえば聞いていませんでした、俺の名前は健一です、鈴木健一、あなたは?
「僕は橋の神、橋を管理しているんだ」
橋…?橋ってあの橋ですか?
「うん、まぁ君が思っているよりももっと壮大な橋だけど、大体合ってるよ」
そうですか、それで俺はこの後どうなるんですか?拒絶しても元の世界の輪廻には入れるんですか?
「無理だね、無理、だって君自身が拒絶しちゃってるもん、それは僕たち神でもどうしようもないことだから」
え、じゃあ俺このまま消滅するんですか…?
「そんな酷いことしないよ、違う世界に転生か転移させるよ」
あぁ、良かった…。
「さて、じゃあ転生か転移、どっちか選んでもらおうかな」
転生と転移ってどう違うんですか?
「転生は記憶を全て消去して赤ちゃんからやり直すこと、ただどこの子に生まれ変わるのかは僕たちにも分からない、もしかしたら貧困層の子に生まれるかもしれないし、富裕層の子に生まれる可能性もある。転移は…そのままだね、君のまま別の世界に行くことになる。さぁどっちを選ぶ?」
それなら俺は転移でお願いします。
「分かった、じゃあ転移するにあたってその世界で生きる術を与えようと思う、君がこれから行く世界は君の元いた世界、国よりも危険な場所になるからね、転移して早々死なれてもこっちが困るから、ある程度強力な力を与えるよ」
ありがとうございます。危険っていうのはどのくらい危険なんですか?
「そうだね、君の世界でいうファンタジーな世界だよ、王が国を治め、貴族という身分がある。魔物という存在がいて人を見つけるなり襲ってくる、そんな感じかな」
戦う術を持たなきゃいけないってことですか…。
「まぁ街中にいればそんな心配はないと思うけど、必要最低限はね」
どんな力があるんですか?
「ちょっと待ってね…はい、これで見えるかな?」
突如俺の頭の中にリストが出てきた。
結構ありますね。
「神は基本なんでも出来るからね、まぁ出来たとしてもやっちゃいけないものもあるけど」
…このそれぞれの力の隣に書いてある数字はなんですか?
「あぁ言い忘れてたね、それはその数字分生きてきた時間を貰いますってことだよ」
生きてきた時間…?
「まぁつまりその分若返るよってことだね、君の場合…20年分くらいは余裕があるんじゃないかな、あっちの世界は15歳が成人だし」
分かりました、ちょっと考えます。
「うん、ゆっくりでいいよ、迷える魂なんて1年に1度あるかないかくらいだしね」
1年に1度、結構頻度高いんだな。
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