異世界ネット通販物語

Nowel

文字の大きさ
上 下
21 / 61

第21話

しおりを挟む
そんなこんなで1週間が過ぎた。

総売上は200万ダルほど、仕入れ値は130万円ほどなので利益は70万くらいだ。

そして1週間が過ぎると問題が出てくる。

そう、お客さんが来なくなるのだ。

宿は30日で取ってあるからあと3週間、観光に費やすのもいいかな、と思っている。

まぁ見るものがあればの話だが。

とりあえずもうしばらくは屋台を出そう。



さらに1週間が経ち、お客さんも来ないので早めに店を閉めようとしたとき、兵士が2人来た。

最初は隣の武具屋のお客さんかな、と思ったが違うようだ。

「お前だな?珍しいものを売っているという商人は」

珍しいものという自覚はあるので「はい」と頷いておく。

「領主様がお待ちだ。すぐに来い」

この街でも領主に呼ばれるのか…。

まぁいい、腹をくくろう。

兵士に着いていく。

今回は馬車とか無いのか、歩くの億劫だな。

1時間半ほどして領主の屋敷に着いたようだ。

アレスさんの屋敷より豪華というか、嫌な豪華さがする。

部屋に通され30分ほど待っていると扉が突然開いた。

そして何も言わずにソファにドカッと座る太った男。

………え?

なに?何も喋らないの?

「…ったく、これだから平民は嫌なのだ、挨拶はそちらからするものだろう?」

なんだこいつ、いきなり呼びつけておいてなんだその態度、腹立つ。

「あぁこれは失礼しました、商人のダイチと言います」

「それで?その珍しいという商品はあるのだろうな?」

「はい?」

「その珍しいという商品を出せと言っている、耳が悪いのか?」

「あぁ、商品ですね、ありますよ」

ダメだこいつ、腹立つムカつく殴りたい。宿代なんてどうでもいいからこいつの用事が済んだらこの街出ていこ。

思いながら俺はバッグから商品を取り出す、フリをして収納から商品を取り出す。

「こちらがその珍しいと言われている商品です」

「ふむ、確かに、どれも綺麗だ、柄入れもなかなか難しいというのに」

良かった、こいつに収納のことはバレていないようだ。

「ではこれを100ずつ用意せよ」

「…はい?」

「100ずつ用意せよと言ったのだ、やはり貴様耳が悪いのでは?」

うわぁ、ダメだ、無理無理無理、もう無理、早くここから出ていきたい。

「分かりました、100ずつですね?まだ収納袋の中に入っているのですぐに用意できますよ」

「なに?そうかそうか、用意がいいな」

俺は収納から食器、スプーンとフォーク、コップ、洗濯バサミ、ハンガーを100ずつ出す。

「こちらでよろしいですか?」

「あぁ、満足だ、もう下がっていいぞ」

「…はい?」

「だから、もう下がっていいと言っている」

「?あの、代金は?」

「は?代金?そんなもの無いに決まっているだろう、馬鹿なのか?」

…?

「あの、代金を支払ってもらえないならこの商品は片付けますが」

「ちっ、おい!こいつをつまみ出せ!」

すると俺の後ろにいた兵士が俺の腕を引っ張り部屋から、屋敷から追い出されてしまった。

…死ね!

まぁいい、屋敷からは出られたし、もうこの足でこの街から出ていこう。

と、その前に。

1時間かけ街に戻り宿に顔を出す。

「すみません、いきなりですけど街を出ることになりまして」

「え?そうなのかい、そりゃ残念だね、代金はどうするんだい?」

「代金はそのまま受け取っちゃってください、ではまた来ることがあったらお願いします」

そう言ってヌーベルの街を出ていくことに。

門兵に次の街を聞くと。

「ここから近いのは王都になるよ」

と言われた。

王都に近い街がこんなことしてるのか、王都も同じく闇が蔓延っているのか、灯台もと暗しか。

行けば分かるか。

門から離れ収納からバイクを出し王都へと向かった。

その頃、領主邸では。

「あのダイチとかいう商人を決して逃がすな、この街に留めさせるんだ」

「はっ」

もうこの街から出ていったダイチを拘束しようとするおバカな領主でした。
しおりを挟む
感想 79

あなたにおすすめの小説

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!

のんたろう
ファンタジー
異世界マーラに召喚された凝流(しこる)は、 ハサンと名を変えて異世界で 聖騎士として生きることを決める。 ここでの世界では 感謝の力が有効と知る。 魔王スマターを倒せ! 不動明王へと化身せよ! 聖騎士ハサン伝説の伝承! 略称は「しなおじ」! 年内書籍化予定!

テンプレを無視する異世界生活

ss
ファンタジー
主人公の如月 翔(きさらぎ しょう)は1度見聞きしたものを完璧に覚えるIQ200を超える大天才。 そんな彼が勇者召喚により異世界へ。 だが、翔には何のスキルもなかった。 翔は異世界で過ごしていくうちに異世界の真実を解き明かしていく。 これは、そんなスキルなしの大天才が行く異世界生活である.......... hotランキング2位にランクイン 人気ランキング3位にランクイン ファンタジーで2位にランクイン ※しばらくは0時、6時、12時、6時の4本投稿にしようと思います。 ※コメントが多すぎて処理しきれなくなった時は一時的に閉鎖する場合があります。

W職業持ちの異世界スローライフ

Nowel
ファンタジー
仕事の帰り道、トラックに轢かれた鈴木健一。 目が覚めるとそこは魂の世界だった。 橋の神様に異世界に転生か転移することを選ばせてもらい、転移することに。 転移先は森の中、神様に貰った力を使いこの森の中でスローライフを目指す。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

チュートリアル場所でLv9999になっちゃいました。

ss
ファンタジー
これは、ひょんなことから異世界へと飛ばされた青年の物語である。 高校三年生の竹林 健(たけばやし たける)を含めた地球人100名がなんらかの力により異世界で過ごすことを要求される。 そんな中、安全地帯と呼ばれている最初のリスポーン地点の「チュートリアル場所」で主人公 健はあるスキルによりレベルがMAXまで到達した。 そして、チュートリアル場所で出会った一人の青年 相斗と一緒に異世界へと身を乗り出す。 弱体した異世界を救うために二人は立ち上がる。 ※基本的には毎日7時投稿です。作者は気まぐれなのであくまで目安くらいに思ってください。設定はかなりガバガバしようですので、暖かい目で見てくれたら嬉しいです。 ※コメントはあんまり見れないかもしれません。ランキングが上がっていたら、報告していただいたら嬉しいです。 Hotランキング 1位 ファンタジーランキング 1位 人気ランキング 2位 100000Pt達成!!

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...