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第2章

慧嬪と莉嬪の大喧嘩(前編)

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私、玉林は翌日皇后の侍女として働いていた。
私は、式部省しきぶしょう(皇帝や皇后などの御服や身の回りの品物を準備、管理する。)から皇后の御服を皇后の元へ運んでいた。ちょうど私は式部省から出て、皇后の隣の宮殿まで歩いていた。
「ふぅ。にしても、式部省って遠いのよね。あー、でも仕方がないわ。」
式部省から皇后の宮殿までは1時間ぐらいかかるのだ。
「あれ?向こうから、争ってる声が……。」
私は、声がした所へいくと侍従や侍女は黙って見ており注目の的には慧嬪と莉嬪がいた。
「あれは、慧嬪と莉嬪?確か、お2人は隣国から来た令嬢だったわ。」
しかも、慧嬪が莉嬪を何回も叩いている。
そして、見物している侍女の中には知り合いの碧海おうみがいた。
「碧海、碧海。」と、声を掛けてみた。
碧海は、私と同期で今は式部省に所属している。
「あ、玉林。」と、がいう。
「慧嬪と、莉嬪はどうして喧嘩を?」
「実はね、慧嬪のお気に入りの簪が無くなったらしいの。」
「でも、なぜ莉嬪が?」
「その前日、慧嬪がいなくなった時に莉嬪が入ったのをそこにいた侍従が見かけたそうよ。」
「なるほど、だから……。」
「にしても、かれこれ1時間も続いているわ。」
「私が皇后を呼ぶわ。」
「分かったわ。」
「じゃあね。」
「うん!」
私は、皇后の御服が落ちないように走った。
「はぁはぁ。」
「あら、玉林?そんなに走らなくても皇后は怒らないわよ。」と、深淵がいう。
「ち、違うの!慧嬪と莉嬪が大喧嘩で!」
「え?慧嬪と莉嬪が?」
「そ、そうなの!!」
「あら?玉林?」と、皇后が庭に出てきた。
「こ、皇后!」
「慧嬪と莉嬪が大喧嘩?なにがあったの?」
そして、私は事のあらすじを説明すると皇后は呆れたような顔をした。
「はぁ、そんなに小さいことで。」
「なんでも陛下から貰ったそうで。」
「まぁ、いいわ。場所は?」
「場所は、霞花御殿かすみばなごてんの前です。」
「分かったわ、いくわ。」
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