〜侍女は騎士団長と恋に堕ちる〜

蘭貴妃との会話

　そして、翌日。
　今日は、蘭貴妃が来る日だ。
　蘭貴妃には、第二皇女である恵栄けいえい様がいる。
「万縁さん。蘭貴妃はどんな御方なのですか？」
「そうね。腹の内が読めない方よ。」
「えっと…。」
「蘭貴妃はね、以前父親を事故で亡くしてしまって以降表情が硬くなって。」
「なるほど…。」
　確かに、心のショックで表情が硬くなってしまうのは不思議なことではない。
「でも、そんなに悪い方ではないわ。」
「そうなのですね。」
「もうすぐ、蘭貴妃がくるわよ。準備をしてね。」
「はい。」
　私は、お菓子を運ぶ役を担当することになった。
　ぶどうと、オレンジなどの果物や饅頭の器を机に運んだ。
「あら、あなたははじめましてね。」
「はい。」
「玉林というのです。」
「まぁ、賢そうね。」と、褒め言葉に見えるが目は笑っていない。
「とんでもないですよ。」
「ふふ。」
「では、果物を食べてもよろしいですか？」
「ええ。もちろんよ。」
「では、頂きますね。」
「まぁ、美味しいです！」
「それは、よかったわ。」
「あ、蔓延まんえん。贈り物を。」
　と、蔓延と呼ばれた侍女は箱を献上する。
「まぁ、こちらは？」
　中にはお菓子がはいっていた。
「こちらは、茱萸グミというものです。柔らかくて、甘いのです。」
「ありがとうね。頂くわ。」
「うっ。」と、皇后は倒れた。
「！皇后！！」
　私は、急ぎ医師を呼んだ。
　幸い、命に別状はないらしい。
「蘭貴妃。これは、どういうことだ？」
「ち、違います！！陛下！それは、罠です！」
「そうなのか？」
「はい！！」
「では、なぜ鈴凛は倒れたのだ？」
「そ、それは食べてはいけない物に当たったからです！」
「嘘をつくなら、もっとましな嘘をつけ！！！」
「おい！！蘭貴妃を皇后に毒を盛ったとして宮殿に閉じ込めろ！！未来永劫、顔をみたくない！！そして、蘭貴妃の子恵栄は徳妃の養女とする！！」
「へ、陛下！！濡れ衣です！！！」と、蘭貴妃は連れて行かれる。