記憶喪失の君と…

R(アール)

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12.和解への道

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湊の家に着いてドアを開けた。

「おじゃまします」

「どうぞ。そこ座ってて~」

「ありがとー」

「お茶とジュースどっちがいい?」

「お茶で!」

「はい。お茶~」

「ありがとう。湊…それよりどうしたの?」

「ん?」

「何か…話があるのかなって」

「いや…なんだか陽と話したいな~と思って。」

「ふふっ、何それ。」

「ん~、何だろうね。ねえ、陽。あのな、」

「うん。なに?」

「俺たち、俺が記憶をなくすより前はどんな感じだった?」

「え…?」

「いや、全然記憶は戻らないし、それに…陽、病院に来てくれたろ?なのに俺ひどい態度取っちゃったし…前の俺はどんな感じだったのかなって…」

「病院でのことは気にしないで!僕が勝手に行っちゃっただけだし…。ん~、そうだね。湊はね、落ち着いててかっこよくて優しくて周りをよく見てる、そんな人だよ。それは今も変わらずそうだって、僕は思ってるよ。」

「なんだか照れるな…なあ俺たちは?どんなことしてたんだ?」

「んーとね、水族館に出掛けたりもしたけど家で映画を見たりだとかドライブしたり色んなことしてたかな…?」

「そっか、なあ他に…他に俺たちどんな距離感だった?」

「え~、なに急に。ふふっ」

「いいだろ?こんなこと聞くのも本当は恥ずかしいんだから…」

「なに…照れてるの?」

「そうだよ?悪いか…」

「ははっ、湊可愛いね~」

「からかうなよ…」

「からかってないよ、ふふっ。んーとね、でもね今みたいなそんな感じの距離感だったよ?」

「そっか」

「なあ陽。なんか悩んでたりすることでもあるのか?」

「うん?特にはないよ?」

「特にじゃなくても。なんかある?」

「え~、今日出された課題どうしようかなとか…?」

「おい、ちゃかすなよ。ははっ。」

「ちゃかしてないよ~。そのくらいしかないし…」


「そっか、ならいいや。なんかあったらまた言って」

「わかったよ」

その後も他愛ない話をしてその日は家に帰った。

ダメだって分かってるのに、それでも言えなくて。このままの距離でいいはずないのに…どうすればいいんだろう…












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