記憶喪失の君と…

R(アール)

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10.すれ違い

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泣きつかれて寝てしまっていたみたいだ。

もう終わりにしよう。

このままじゃ前に進めないし、湊にも迷惑かけちゃうだろうし…

湊が他の子と付き合ってその子を大切な目で見ているのを耐えきれそうにない。

だから、今日はしっかり言いに行こう。

そう思い支度を始めた。

支度を終え、大学に向かった。

湊とは講義を被っていたものもあり、すぐに会えた。

なんて切りだそう…いや、わざわざ言わなくてもいいかもしれない。

湊から話し掛けられた時にだけ話して、そうして周りと変わらないような人になろう…

湊が講義室に入ってきて、きょろきょろと辺りを見渡しているようだった。

きっとあの子を探しているのかもしれない。

その様子を見たくなくて下を俯いた。

「陽、おはよう」

えっ、と思い、上を向くとそこには湊がいた。

「お、はよう」

「何?どうしたの?なんかあったのか?」 

冗談のような軽さで話し掛けてきた。

「ん、別になんでもないよ」

「そっか。それより今日の講義って…」

そこから他愛ない話を交わし、隣で講義を受けた。

また、言い出せなかったし、これじゃあ何も変わらない。どうすればいいんだろう。

このままじゃいけないことくらい自分が一番分かってる。

でもどうすればいいんだろう…




___________
《湊視点》


大学に着いて講義室内を見渡すと陽がいた。

話し掛けに行くと二、三言会話を交えたけれどなんだか様子がいつもと違うように感じた。 

けれど何に悩んでいるのかも分からず講義が始まったこともあり、聞き出すこともできなかった。

終わったら一緒にカフェにでも誘おうかなと思い、先生の話に耳を傾けた。
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