111 / 140
第3章 学園に通おう
91話 言霊
しおりを挟む
「と、とりあえずバナくんは大丈夫なの?」
見た限りは気持ちよさそうに寝ているだけだけど……。
「ああ、そのラビィ種、バナといったか?
そいつは魔法で眠らせただけだから問題ない」
その言葉を聞いて一安心。
そういえばアッキーとは初対面だったっけ。
「うん、ラビィ種のバナくん。
えーっと……」
バナくんについて説明しようと思うけど、どこから説明していいのか難しいな。
とりあえず、奴隷商さんのところでの出会いからかな?
「いや、説明されなくても大丈夫だ」
おおっ、さすがはアッキー。
犯罪者印と奴隷印を見てあらかた把握してくれたのかな?
「お前の新しい恋人だろ」
……全然把握してなかった。
あ、いや、どうなんだろう……手を出してしまった今となっては否定できない。
違うともそうだと言い切れずに頭を抱えてたら、アッキーに笑われた。
「まあ、細かいことは良い。
とりあえず、その元気なモノをしまえ。
我がお預け食らっている気分になる」
あっ、これは、失礼。
慌てて脱ぎ捨てたパンツとズボンを履き直して、ついでに、精液にまみれたまま安らかな顔で寝てるバナくんにとりあえずシーツを掛けておいた。
「しかし、また、面倒なものを拾ったな」
その様子を見ながらアッキーにしみじみと言われたけど……。
「面倒なものって?
なにか知ってるの?アッキー」
面倒なもの、そう言われて思いつくのはさっきのエッチだ。
僕が嫌がってる……と言ったら、嘘になるか。
少なくともする気のなかったことなのに、パナくんに『おねだり』されたら逆らうことが出来なかった。
明らかに異常な状態だったし、魔法的ななにかなんだろうけど……。
「魔性、というものを知っているか?」
「えっと、魔性の女とか魔性の男とかそういうやつの魔性?」
「うむ、そうだ。
まあ、よく異性をたらし込む魅力を持つ者を表す言葉として使われるが、そういう属性とは別に、万人に1人ほど本当に能力としての『魔性』、つまり人をたらし込む能力を持つものが生まれることがある」
えっと?
ちょっとこんがらがってきたぞ。
「『魔性』って言う能力が本当にあるって言うなら、その人と一般的な魔性の〇さんはどう違うの?」
どっちにせよ人をたらし込んでるのは変わんないよね?
「そうだな。
自分の魅力や手管によって人をたらし込むものもいれば、『魔性』によって人をたらし込むものもいる。
その差は極めて分かりにくいものだ」
そうだよね?
人を好きだなーとか、良いなーって思う時、その理由をいちいち細かく考えたりとかしないもんなぁ。
『雰囲気が好き』なんて話もよく聞くし、その『雰囲気』がもし『魔性』だとか言われても納得いくようないかないような……。
本当に『魔性』なんてものがあるのか?って感じさえする。
「そして、そこが『魔性』の厄介なところでな。
結局のところ万人に1人の『魔性』持ちも単なる不思議な魅力を持った人間などと言われて見逃され、『魔性』の存在自体を認知できているのは、魔力に異常なまでに敏感な我々エルフくらいだろう」
まあ、アッキーの話を全面的に信じるとしても、人間にはわからないんじゃ『魅力的な人』と『魔性を持った人』っておんなじようにしか思えないだろうしなぁ。
話の流れからして、バナくんがその『魔性』持ちだとしても、『魔性』を持っているからっていって、バナくんの可愛さが変わる訳じゃないし……。
『魔性』の効果で可愛さが底上げされてるとかそういう事?
「そうして見逃されてきた結果、下等種共は万人に1人の『魔性』持ちのうち、さらに万人に1人の確率で特に『魔性』の強いものが生まれるということを知らずにいる」
おっと、なんか話が不穏になってきたぞ。
「と、特に『魔性』が強いとどうなるの?」
「波長の合うものを言葉で自在に操る能力、『言霊』を使えるようになる」
お、おおう。
凄い心当たりあります。
「つまり嫌がっていることを無理矢理やらせたり出来るってことだね?」
「いや」
はぇ?
違うの?
「嫌よ嫌よも好きのうちじゃないが、本心では嫌がってないことしかさせられん」
えっと、あの……はい……本心では全然嫌じゃなかったです。
「……結構しょぼくない?それ?」
「そうか?嫌がってないことなら、延々とさせられるぞ。
お前も心当たりあるだろう?」
そう言うと、ちょっといやらしい笑いを浮かべて、腰を動かすふりをする。
アッキーはたまにおっさんくさい。
……まあ、たしかに、延々と腰動かさせられそうになったわ。
その時は、イッたばかりでキツいから嫌ではあったけど、本心から嫌ではなかったから操られちゃってたわけか。
外に出そうとしても中に出させられたし、男同士だったからまだ良かったけど考えてみると怖いかも。
「大体『言霊』持ちは、悪い男とか悪い女とか言われることになるな」
……やっぱり、えーっと、万に万だから1億?1億人に1人の能力にしては響きがしょぼい。
「えっと、もっとこう、『言霊』で国を乗っ取ったとか、歴史を変えたとか、一大宗教を作ったとか……」
「無理だな。
さっき言ったとおり、『波長が合ったもの』にしか効果ないから、そうだいそれたことはできん」
ちょっと拍子抜けしたと同時に、ちょっとホッとした。
バナくんのこと、あんまり難しく考えなくて済みそうだ。
というか、『言霊』が通じるってことは僕とは波長が合ってしまったのか。
「波長ってどういう相手と合うんだろ?
僕とはあったわけだよね?」
「そうだな、波長が合わないと『言霊』の効果が出ないのは間違いないから、お前とこの兎は合ったことになる」
ん?ちょっと不機嫌そうだけどどうしたんだろう?
「つまり相思相愛ということだ」
あー、波長が合うってそういう事。
「……?一瞬納得しかけたけど、僕はともかくバナくんも僕の事好きってこと?」
確かに懐いてはいるけど、奴隷商さんのお店で出会ったときからこんな感じだったし、なんていうかそういう性格の子だと思ってた。
言い方は悪いけど、処世術的な懐き方だと思ってたんだけど。
「まあ、そこら辺はこやつ自身に聞いてみるがいい。
起こすぞ」
そう言いながらアッキーはバナくんの肩をゆすりだす。
ただ寝ているだけらしいし、それで起きるんだろうけど……。
「お、起こしちゃって大丈夫なの?
またさっきみたいに僕操られちゃうんじゃ……」
「心配するな。
こやつ程度の魔力じゃ、お互いに気分が盛り上がっている時くらいにしか効果は出ん」
「……えっと、気分が盛り上がってるときって言うと……」
「エロい気分になってる時だな」
ですよねー。
見た限りは気持ちよさそうに寝ているだけだけど……。
「ああ、そのラビィ種、バナといったか?
そいつは魔法で眠らせただけだから問題ない」
その言葉を聞いて一安心。
そういえばアッキーとは初対面だったっけ。
「うん、ラビィ種のバナくん。
えーっと……」
バナくんについて説明しようと思うけど、どこから説明していいのか難しいな。
とりあえず、奴隷商さんのところでの出会いからかな?
「いや、説明されなくても大丈夫だ」
おおっ、さすがはアッキー。
犯罪者印と奴隷印を見てあらかた把握してくれたのかな?
「お前の新しい恋人だろ」
……全然把握してなかった。
あ、いや、どうなんだろう……手を出してしまった今となっては否定できない。
違うともそうだと言い切れずに頭を抱えてたら、アッキーに笑われた。
「まあ、細かいことは良い。
とりあえず、その元気なモノをしまえ。
我がお預け食らっている気分になる」
あっ、これは、失礼。
慌てて脱ぎ捨てたパンツとズボンを履き直して、ついでに、精液にまみれたまま安らかな顔で寝てるバナくんにとりあえずシーツを掛けておいた。
「しかし、また、面倒なものを拾ったな」
その様子を見ながらアッキーにしみじみと言われたけど……。
「面倒なものって?
なにか知ってるの?アッキー」
面倒なもの、そう言われて思いつくのはさっきのエッチだ。
僕が嫌がってる……と言ったら、嘘になるか。
少なくともする気のなかったことなのに、パナくんに『おねだり』されたら逆らうことが出来なかった。
明らかに異常な状態だったし、魔法的ななにかなんだろうけど……。
「魔性、というものを知っているか?」
「えっと、魔性の女とか魔性の男とかそういうやつの魔性?」
「うむ、そうだ。
まあ、よく異性をたらし込む魅力を持つ者を表す言葉として使われるが、そういう属性とは別に、万人に1人ほど本当に能力としての『魔性』、つまり人をたらし込む能力を持つものが生まれることがある」
えっと?
ちょっとこんがらがってきたぞ。
「『魔性』って言う能力が本当にあるって言うなら、その人と一般的な魔性の〇さんはどう違うの?」
どっちにせよ人をたらし込んでるのは変わんないよね?
「そうだな。
自分の魅力や手管によって人をたらし込むものもいれば、『魔性』によって人をたらし込むものもいる。
その差は極めて分かりにくいものだ」
そうだよね?
人を好きだなーとか、良いなーって思う時、その理由をいちいち細かく考えたりとかしないもんなぁ。
『雰囲気が好き』なんて話もよく聞くし、その『雰囲気』がもし『魔性』だとか言われても納得いくようないかないような……。
本当に『魔性』なんてものがあるのか?って感じさえする。
「そして、そこが『魔性』の厄介なところでな。
結局のところ万人に1人の『魔性』持ちも単なる不思議な魅力を持った人間などと言われて見逃され、『魔性』の存在自体を認知できているのは、魔力に異常なまでに敏感な我々エルフくらいだろう」
まあ、アッキーの話を全面的に信じるとしても、人間にはわからないんじゃ『魅力的な人』と『魔性を持った人』っておんなじようにしか思えないだろうしなぁ。
話の流れからして、バナくんがその『魔性』持ちだとしても、『魔性』を持っているからっていって、バナくんの可愛さが変わる訳じゃないし……。
『魔性』の効果で可愛さが底上げされてるとかそういう事?
「そうして見逃されてきた結果、下等種共は万人に1人の『魔性』持ちのうち、さらに万人に1人の確率で特に『魔性』の強いものが生まれるということを知らずにいる」
おっと、なんか話が不穏になってきたぞ。
「と、特に『魔性』が強いとどうなるの?」
「波長の合うものを言葉で自在に操る能力、『言霊』を使えるようになる」
お、おおう。
凄い心当たりあります。
「つまり嫌がっていることを無理矢理やらせたり出来るってことだね?」
「いや」
はぇ?
違うの?
「嫌よ嫌よも好きのうちじゃないが、本心では嫌がってないことしかさせられん」
えっと、あの……はい……本心では全然嫌じゃなかったです。
「……結構しょぼくない?それ?」
「そうか?嫌がってないことなら、延々とさせられるぞ。
お前も心当たりあるだろう?」
そう言うと、ちょっといやらしい笑いを浮かべて、腰を動かすふりをする。
アッキーはたまにおっさんくさい。
……まあ、たしかに、延々と腰動かさせられそうになったわ。
その時は、イッたばかりでキツいから嫌ではあったけど、本心から嫌ではなかったから操られちゃってたわけか。
外に出そうとしても中に出させられたし、男同士だったからまだ良かったけど考えてみると怖いかも。
「大体『言霊』持ちは、悪い男とか悪い女とか言われることになるな」
……やっぱり、えーっと、万に万だから1億?1億人に1人の能力にしては響きがしょぼい。
「えっと、もっとこう、『言霊』で国を乗っ取ったとか、歴史を変えたとか、一大宗教を作ったとか……」
「無理だな。
さっき言ったとおり、『波長が合ったもの』にしか効果ないから、そうだいそれたことはできん」
ちょっと拍子抜けしたと同時に、ちょっとホッとした。
バナくんのこと、あんまり難しく考えなくて済みそうだ。
というか、『言霊』が通じるってことは僕とは波長が合ってしまったのか。
「波長ってどういう相手と合うんだろ?
僕とはあったわけだよね?」
「そうだな、波長が合わないと『言霊』の効果が出ないのは間違いないから、お前とこの兎は合ったことになる」
ん?ちょっと不機嫌そうだけどどうしたんだろう?
「つまり相思相愛ということだ」
あー、波長が合うってそういう事。
「……?一瞬納得しかけたけど、僕はともかくバナくんも僕の事好きってこと?」
確かに懐いてはいるけど、奴隷商さんのお店で出会ったときからこんな感じだったし、なんていうかそういう性格の子だと思ってた。
言い方は悪いけど、処世術的な懐き方だと思ってたんだけど。
「まあ、そこら辺はこやつ自身に聞いてみるがいい。
起こすぞ」
そう言いながらアッキーはバナくんの肩をゆすりだす。
ただ寝ているだけらしいし、それで起きるんだろうけど……。
「お、起こしちゃって大丈夫なの?
またさっきみたいに僕操られちゃうんじゃ……」
「心配するな。
こやつ程度の魔力じゃ、お互いに気分が盛り上がっている時くらいにしか効果は出ん」
「……えっと、気分が盛り上がってるときって言うと……」
「エロい気分になってる時だな」
ですよねー。
1
お気に入りに追加
1,078
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される
Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木)
読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!!
黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。
死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。
闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。
そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。
BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)…
連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。
拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。
Noah
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したから継母退治するぜ!
ミクリ21 (新)
BL
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したダンテ(8)。
弟のセディ(6)と生存のために、正体が悪い魔女の継母退治をする。
後にBLに発展します。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません
柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。
父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。
あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない?
前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。
そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。
「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」
今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。
「おはようミーシャ、今日も元気だね」
あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない?
義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け
9/2以降不定期更新
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる