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十五年前。
朝からすっきりと晴れたのは、何日かぶりだった。
交流会に梅雨の時期を選んだのは、四月五月と立て続けに大きなセールが入っていたからだ。
空は青く澄んで、気温は程よく、鳥がさえずっていた。絶好のバーベキュー日和。
河川敷でお酒を飲み、会話を弾ませていた社員たちは誰一人として、その直後に起こる悲劇を予測できなかった。
川の上流に当たる一帯で、午前中にゲリラ豪雨が降ったこと。川は急激に水かさを増し、激しくうなる濁流となって下流に押し寄せたこと。すべては、事故が起きてから、ずっとあとに知らされた事実だ。
姉がふと、わたしの姿がそばにないことに気がついた。ママは姉と一緒に焼きそばを焼いていた。パパは他の社員たちからお酒を勧められていた。
わたしは一人で中州にいた。そして、一人で事故に遭った。
その瞬間の衝撃を、今の姉はよく思い出せない。
ただ、濁った水の中に妹の姿が消えて間もなく、どこからともなく現われて飛び込んだ制服姿の男性が、まるでイルカのようだったことは、鮮明に覚えていた。
全身ぐっしょりと濡れて川から上がってきた彼は、通りすがりの高校生だった。短髪で肌は浅黒い。顎が細く、背が高かった。彼の腕の中、やはり水を滴らせて、ぐったりと身体を預けるわたしがいた。
彼はすぐにわたしに応急処置をほどこした。ほどなくして呼吸を取り戻したわたしを確認すると、何も告げずに去ろうとした。両親は慌てて引き留めて、名前だけでも教えてほしいとすがった。彼は焦れたように、福永周平、と言って足早に立ち去った。
日曜日だったけど、水泳部の練習で学校に行っていた福永さんは、急いで自宅に戻る途中だった。自宅には、身体の弱い妹さんが一人で留守番していた。急に体調が悪くなり、兄のスマホに連絡を入れたのだ。
福永さんが自宅に帰り着いた時、妹さんはすでに意識を手放していた。間に合わなかった。
わたしを助けるために、寄り道したから。
「違うよ」
嗚咽しながら話すわたしの背中をさすって、琴音も泣きそうな声を出した。
「優愛のせいじゃない」
「だって……わたしが家族のそばを離れて中州に行かなければ、事故に遭わなければ」
そしたら、福永さんの時間を奪うことはなかった。妹さんの意識があるうちに駆けつけられて、妹さんは今もあの町で暮らせていたはずだ。
福永さんと十歳の年の差があるのなら、妹さんの年齢はわたしとほぼ一緒。当時は小学生。わたしの身勝手が、幼かった彼女の命を奪ってしまった。
「選んだのは福永さんだよ。その時点ではまだ、流されたのが子供だって知らなかったかもしれない。自分の妹が危険だってわかってて、それでも無視せずに、まったくの赤の他人の子供を助けることを決めたのは、福永さん自身なんだ。優愛が責任を感じることないんだよ」
わたしに口を挟む隙を与えないようにか、琴音は一息に言った。
「だけど……」
わたしは首を振る。
「だけどじゃないってば」
「それでやっと腑に落ちたんだよ……なんで福永さんが、わたしにひときわ冷たかったのか」
福永さんがあの時の恩人だって判明した今、そんなの当たり前だってわかる。
琴音が言ってくれたことも、わからないわけではなかった。
確かに、あの時福永さんには選択ができたし、わたしを助けることを選んだのは福永さんだ。
でも、福永さんという上司が、誰かが溺れかけているのを目の当たりにして、見捨てていけるような人間ではないことも、わたしはもう知ってしまった。
妹さんを優先しなかった自分を、福永さんは嫌と言うほど責めてきたに違いない。でも、どんなに悔やんでも時間は戻らないし、妹さんも還ってこない。
頭では理解できているつもりでも、感情は別物。お店でわたしの声を耳にするたび、姿を見るたび、暢気な笑顔に憎しみがつのっても無理はないと思うのだ。
わたしが無責任でいるなんて許されない。
姉が、福永さんに必要以上に近づくなと忠告した意味が、じりじりするほどにわかった。お見合いを勧めたパパに憤った理由も。
それも当然だ。誰も幸せにならない話ではないか。
琴音は口をつぐんだ。
車内にしばらくの間、わたしの泣き声だけが響く。
やがて、「やめよっか」と琴音が言った。
「ショッピングモール行くの。福永さん、今日も新店の準備で来てるだろうし。ばったり会わないとも限らないし。そしたら優愛、普通に笑える?」
首を振る。
「でも」
「下見はするよ。ジャンクションの手前で降りて、で、また高速に乗って。ショッピングモール近くのインターの確認だけしたら、適当なところで降りてランチしよう。人気のサービスエリアでもいいし」
予定が決まったらこの場所に用はないとばかりに、琴音はシートに座り直して、シートベルトを着けた。
正直、琴音の申し出はありがたかった。
「でも、ワンピース……」
か細い声で言うと、琴音は口を開けて笑う。
「ついでにと思っただけだからさ。他のお店でいいし、ネットでも買えるし」
「ごめん……」
「また謝るー。優愛はほんと社長令嬢のオーラがないと言うか。少しくらい気位高くしてていいって」
琴音は口をとがらせた。エンジンを起動させて、車をゆっくりと本線へ向かって走らせる。
「き、気位? それってどうやって」
「自分以外のみんな、下々の者だと思えばいいんだよ」
言い切った琴音がおかしくて、わたしは噴き出す。満足そうに琴音も笑った。
朝からすっきりと晴れたのは、何日かぶりだった。
交流会に梅雨の時期を選んだのは、四月五月と立て続けに大きなセールが入っていたからだ。
空は青く澄んで、気温は程よく、鳥がさえずっていた。絶好のバーベキュー日和。
河川敷でお酒を飲み、会話を弾ませていた社員たちは誰一人として、その直後に起こる悲劇を予測できなかった。
川の上流に当たる一帯で、午前中にゲリラ豪雨が降ったこと。川は急激に水かさを増し、激しくうなる濁流となって下流に押し寄せたこと。すべては、事故が起きてから、ずっとあとに知らされた事実だ。
姉がふと、わたしの姿がそばにないことに気がついた。ママは姉と一緒に焼きそばを焼いていた。パパは他の社員たちからお酒を勧められていた。
わたしは一人で中州にいた。そして、一人で事故に遭った。
その瞬間の衝撃を、今の姉はよく思い出せない。
ただ、濁った水の中に妹の姿が消えて間もなく、どこからともなく現われて飛び込んだ制服姿の男性が、まるでイルカのようだったことは、鮮明に覚えていた。
全身ぐっしょりと濡れて川から上がってきた彼は、通りすがりの高校生だった。短髪で肌は浅黒い。顎が細く、背が高かった。彼の腕の中、やはり水を滴らせて、ぐったりと身体を預けるわたしがいた。
彼はすぐにわたしに応急処置をほどこした。ほどなくして呼吸を取り戻したわたしを確認すると、何も告げずに去ろうとした。両親は慌てて引き留めて、名前だけでも教えてほしいとすがった。彼は焦れたように、福永周平、と言って足早に立ち去った。
日曜日だったけど、水泳部の練習で学校に行っていた福永さんは、急いで自宅に戻る途中だった。自宅には、身体の弱い妹さんが一人で留守番していた。急に体調が悪くなり、兄のスマホに連絡を入れたのだ。
福永さんが自宅に帰り着いた時、妹さんはすでに意識を手放していた。間に合わなかった。
わたしを助けるために、寄り道したから。
「違うよ」
嗚咽しながら話すわたしの背中をさすって、琴音も泣きそうな声を出した。
「優愛のせいじゃない」
「だって……わたしが家族のそばを離れて中州に行かなければ、事故に遭わなければ」
そしたら、福永さんの時間を奪うことはなかった。妹さんの意識があるうちに駆けつけられて、妹さんは今もあの町で暮らせていたはずだ。
福永さんと十歳の年の差があるのなら、妹さんの年齢はわたしとほぼ一緒。当時は小学生。わたしの身勝手が、幼かった彼女の命を奪ってしまった。
「選んだのは福永さんだよ。その時点ではまだ、流されたのが子供だって知らなかったかもしれない。自分の妹が危険だってわかってて、それでも無視せずに、まったくの赤の他人の子供を助けることを決めたのは、福永さん自身なんだ。優愛が責任を感じることないんだよ」
わたしに口を挟む隙を与えないようにか、琴音は一息に言った。
「だけど……」
わたしは首を振る。
「だけどじゃないってば」
「それでやっと腑に落ちたんだよ……なんで福永さんが、わたしにひときわ冷たかったのか」
福永さんがあの時の恩人だって判明した今、そんなの当たり前だってわかる。
琴音が言ってくれたことも、わからないわけではなかった。
確かに、あの時福永さんには選択ができたし、わたしを助けることを選んだのは福永さんだ。
でも、福永さんという上司が、誰かが溺れかけているのを目の当たりにして、見捨てていけるような人間ではないことも、わたしはもう知ってしまった。
妹さんを優先しなかった自分を、福永さんは嫌と言うほど責めてきたに違いない。でも、どんなに悔やんでも時間は戻らないし、妹さんも還ってこない。
頭では理解できているつもりでも、感情は別物。お店でわたしの声を耳にするたび、姿を見るたび、暢気な笑顔に憎しみがつのっても無理はないと思うのだ。
わたしが無責任でいるなんて許されない。
姉が、福永さんに必要以上に近づくなと忠告した意味が、じりじりするほどにわかった。お見合いを勧めたパパに憤った理由も。
それも当然だ。誰も幸せにならない話ではないか。
琴音は口をつぐんだ。
車内にしばらくの間、わたしの泣き声だけが響く。
やがて、「やめよっか」と琴音が言った。
「ショッピングモール行くの。福永さん、今日も新店の準備で来てるだろうし。ばったり会わないとも限らないし。そしたら優愛、普通に笑える?」
首を振る。
「でも」
「下見はするよ。ジャンクションの手前で降りて、で、また高速に乗って。ショッピングモール近くのインターの確認だけしたら、適当なところで降りてランチしよう。人気のサービスエリアでもいいし」
予定が決まったらこの場所に用はないとばかりに、琴音はシートに座り直して、シートベルトを着けた。
正直、琴音の申し出はありがたかった。
「でも、ワンピース……」
か細い声で言うと、琴音は口を開けて笑う。
「ついでにと思っただけだからさ。他のお店でいいし、ネットでも買えるし」
「ごめん……」
「また謝るー。優愛はほんと社長令嬢のオーラがないと言うか。少しくらい気位高くしてていいって」
琴音は口をとがらせた。エンジンを起動させて、車をゆっくりと本線へ向かって走らせる。
「き、気位? それってどうやって」
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